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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

ドカンと一発

2013-04-15 21:00:00 | Weblog
               

               『ドカンと一発 かまどけし

 岩手県和賀郡西和賀町・沢内の幹線道路で見かけました。
この道にはたくさんの交通標語が掲げられていて、それらはちょっと珍しいほどの光景です。
歩行者も車の数も少ない田舎道なのでついついスピードを出してしまいますが、道路脇すぐのところに人家が密集している上に、高齢者をたくさん見かけるので気をつけて運転しなければならない道路です。

 この先に岩手・秋田の温泉郷が点在しているのでよく通る道路なのですが、この標語の存在には初めて気がつきました。
しかしいくら考えても私には意味が分からない。
「ドカンと一発」の主語は何? 花火? 爆弾? 
「かまどけし」って何だろう? 
意味不明ではあるけれど、しかしとてもインパクトのある12文字です。
しばらく一人で謎に挑戦していましたがやっぱり無理。オットーの助言を仰ぎました。
皆様はお分かりになりますか? ちょっと考えてみてください。 
正解は記事の最後に。

 あちこち運転していると、なかなか含蓄のある面白い交通標語に出会うことがあります。
そこでちょっと提案いたしたい。
和賀町沢内は[交通標語の町]として、全国から大々的に交通標語を募集して交通標語大会を毎年開催し、優秀作品を道路脇に掲げて、交通安全推進の町として名を広めていくのはどうでしょうか?
俳句の町があるのだから標語の町があっても面白い。
斬新でセンス良く、人々の印象に強く残る交通標語が生まれたら、国民全体の交通安全の意識高揚に貢献すること間違いありません(なんちゃって)


 (A)[枯れ枝に からすのとまりけり 秋の暮れ] (by 松尾芭蕉)

 (B)[この土手に のぼるべからず 警視庁]   (by 警視庁)

 昔々、日本文学の先生が、文学と非文学の違いを上記のふたつの詞を使って説明してくださいました。
「どちらも同じ定型十七文字の詞であるが、(B)はただ単に禁止事項を述べているだけで作者の心情は窺えない。
(A)には奥深い味わいと情緒がある。ここに描かれた風景は枯れているが美しい。
要するに(A)のような深い余情と心情を描くものが文学で(B)のように事実を言葉で羅列したものは文学ではない。」と

 あまりにもわかりやすいたとえではありますが、文学の一面しか捉えていないのではないかと、今となっては思います。
しかし当時の私はかなり真剣に悩みました。
なぜならば私は(A)の俳句の良さが全く理解出来なかったからです。
むしろ警視庁の標語の方が「土手の向こうには一体何があるの?」
ワクワクドキドキ。あれこれと妖しく危険な世界を想像させるのには十分でした。

 私の感性は非文学的なのだろうか?
いや成熟した大人になれば理解出来るようになるかもしれないと思い直したものの・・・
何のことはない。やっぱり今でも私は[この土手にのぼるべからず警視庁]の方が好き! 
全く成長しておりません。



※「ドカンと一発 かまどけし」
「ドカンと一発」は交通事故のこと。
「かまどけし」は、かまどをかえす→かまどをけぇす→かまどけしの東北弁活用。
「交通事故をおこすと補償やらなにやら大変で、かまどをかえしますよ(破産しますよ)。気をつけなさい。」の意味です。
これは出色の標語ですね。