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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

舟を編む

2013-04-10 10:30:00 | 読書
          

 2012年の本屋大賞受賞作、三浦しをんさんの『舟を編む
ひとことで言えば、国語辞書を作る人々の愛と苦悩と友情の物語。
作者の三浦しをんさんは、このような遠大で難解なテーマを、誰にでも理解出来る平易な文章で軽くさらっと書き上げます。
そのライトノベルテーストの作風が物足りないと言う読者もいますが、私は、それこそが三浦しをんさん独特の個性と才能と魅力ではないかと思います。
確実に日本の読書人口の裾野を拡大することに貢献している作家のひとりでありましょう。
しかもこの作品以外にも、林業に目覚める青年[神去なあなあ日常]とか、便利屋で楽しく働く青年[まほろ駅前多田便利軒]とか、地味な職業で頑張る若者たちにスポットライトを当てている作品が多いので、文部科学省は彼女の著作を進路指導の参考書に指定するとよろしいのではないかと思います(なんっちゃって)

 この本を読むと、学生時代に愛用した国語辞典の埃をはらってきれいにして
ありがとうございました。その節は大変お世話になりました。」
と頭を下げたくなるような敬虔な気持ちになることは間違いありません。

 昨年大きな話題になった作品なので、今ここで取り上げるのはちょっと時期を逸しているようで気おくれがします。
でも映画[舟を編む]の方ならまだ封切りされていないので(4月13日から)レビューをすれば最新の話題の提供になります。

 実は不思議なことに、岩手めんこいテレビから私の手元に[舟を編む・試写会招待状]が届いたのです。 
阿呆な私は、招待状の出所について深く考えることが出来ないほど、この思いがけないプレゼントに舞い上がりました。
図書館の予約待ちの順番がやっと来て作品を読み終わったばかりの新鮮な気分のところに、さらに映画まで観ることが出来るなんて、しかも無料で・・・めんこいテレビよ、ありがとう!

 ところがそれもつかの間の幸せ。
さっそく友人[M嬢]がやってきて
nihaoさんの名前で私が申し込んだ試写会のハガキ、当選していたのなら返して頂きたいんだけれど。」

 彼女ったら、自分の名前だけでは心配で私の名前まで使ったと言うのです。
どちらも当選したら問題はなかったのですが、あいにく1枚しか当たらなかったのです。
考えてみたら、めんこいテレビが私に招待状をくれる理由なんかある訳はないのでした。
往復ハガキ代2枚分もM嬢の負担だし、築き上げてきた友情にひびが入るのもなんだから

 「私の幸運パワーがお役にたててよかったわ。どうぞお一人で楽しんできていらして。」

 にっこり微笑みながらM嬢に招待状は返したけれど、本当は全然納得がいかなかったのよ、私。
だって、今回はたかだか映画のチケットだったから平気でいられたものの、もし、すごく高額の商品や賞金だったら、一体どうなる?

 例えば ビール1年分とか、ひとめぼれ一俵とか、○○デパート商品券10万円、前沢牛10キロ、岩泉産松茸100本とか。
い、いや、仲良く分けられる商品ならまだよいけれど、高級ジュエリーとかハンドバッグとか旅行券とかだったら・・・
ああ、絶対に平静ではいられないわ。
私の名前を使ってM嬢だけが得するなんてことが許されるでしょうか?
いえ、苦労人の彼女のささやかな幸せを陰ながら支援することが真の友情というものでありましょうか?

 本当のところ、他人の名前で応募して当選したら、その権利は誰のものなのかしら?
ハガキを出した人? 当選した名前の人? 
そもそも他人の名前で応募して当選したものは有効なのかしら?
いろいろ考えているうちに我らの友情の舟は難破しそうになったけれど・・・

 今回は残念ながら映画[舟を編む]のレビューは中止となりました。
はなはだ申し訳ございません。