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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

ウミネコが棲む島

2010-07-07 12:00:00 | Weblog

          




 青森県八戸市の港内にある蕪島(かぶしま)
八戸までの高速料金が無料となったので30年ぶりに出かけてみた。

 蕪島はウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている。
写真ではわかりにくいが、あちこちに点在している無数の白い物体がウミネコだ。
この島には約4万羽のウミネコが棲息している。
島に近づくと、ミャーミャー、ニャーニャーと子猫のような鳴き声が聞こえてくる。
実にすさまじく、耳を覆いたくなるような騒がしさだ。
島と言っても現在は埋め立てられて陸続きになっているので、ごく間近でウミネコの生態を観察できる。
今なら6月に孵化したばかりの可愛いヒナたちを見ることができる。
蕪島の頂上には商売繁盛・子授けの弁財天が祀られている。 



         



 糞害避けの傘と、かっぱえびせんの袋を手にして車を降りると、即刻大勢のウミネコたちのお出迎えを受け、嬉しいと言うよりはひるむ。
これだけの数のウミネコに囲まれると恐怖心の方が先立ち、私はかっぱえびせんの袋をいやがる夫に無理矢理手渡した。
現金な彼らは餌を持っていない人間には見向きもしない。
夫は執拗に追いかけ回されて悲鳴をあげていた。


 このような光景を目にして思い出すのは、ヒッチコックのパニック映画『
ある日突然人間が凶暴化した鳥に襲われるという衝撃的な内容だったが、最後までその理由は不明、為す術も全くないという救いのない娯楽映画だった。
まだCGの技術が生み出されていない頃の古い映画だから、剥製や本物の鳥を大量に使って撮影したそうだが、リアルな演出が怖くて震え上がった。
それまでは愛玩動物としての存在でしかなかった鳥だったが、この映画を見た後は否応なく意識が変わり、しばらくは鳥を見るのもイヤだった。

 ウミネコもよく見ると、どう猛で意地悪そうな顔をしている。特に目が冷酷だ。
蕪島のウミネコたちもある日突然......



          



  二羽の海猫が、1匹の魚の死骸を取り合って喧嘩をしていた。
彼らは威嚇しあったりにらみ合いを繰り返すばかりで、なかなか闘いの勝負がつかない。
喧嘩の様子をみていると、かなり冷静な鳥であることがわかる。
育ち盛りの我が子に与える食事を賭しての闘いだからどちらも真剣だ。
ヒナたちが周りに寄ってきて、懸命に親鳥を応援している。
 食べる!生きる!子を作る!
たったそれだけの短くシンプルな一生だ。どちらも頑張れ!



          


  
 静かに佇むウミネコの集団を見ると映画『鳥』のラストシーンが思い出される。
神社へと上る階段には、足の踏み場もないほどの数のウミネコがいて、人間に慣れているのか近寄っても全然逃げようとはしない。
生まれたばかりのヒナたちも、よちよちと愛らしい姿で散歩している。
手を差し伸べたら容易に捕獲できそうな感じがするが、この人間と鳥の共存の関係が破壊された時......
映画『鳥』のような不幸が起きないとは限らない。