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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

老犬神社

2010-06-06 11:55:00 | ももちゃん
               



 数日前に撮った写真だが、この翌朝大変なことに...

 朝起きて居間にやってきた私の気配を察して、寝床から飛び出してきたももちゃん。
途中でスッテンと転んだ後、もがいてももがいても起きあがることが出来ない。
しかも身体中が吐瀉物で汚れていて悪臭ぷんぷん。
手足をバタバタさせ苦しそうな悲鳴をあげている。
ももちゃんも自分の身に何が起こったのか信じられないという様子だった。
痙攣は数十秒で治まったが、私にはとても長い時間に思えた。
このまま命尽きてしまうのだろうかと、うろたえて為す術もなかった。
しかし元気がなかったのは一日だけで、現在はすっかり回復している。

 このところずっと調子がよくて安心していた。
最近私と夫は、ももちゃんの耳が遠くなったのをよいことに
ももちゃんが死んだら、車でゆっくり日本一周しようね。
うん、ヨーロッパにも行こう!
などと楽しそうに内緒話をしていたのだが、もしかしたらばれていたのか?
申し訳ないことを聞かせてしまった。
私は慌ててももちゃんの耳元で叫んだ。
「ももちゃん、あれは嘘だからね。ルーブル美術館やオペラハウスになんか行かなくたっていい!死なないでずっと私たちの側にいてね。」

 
 私たちは自分たちの行いを反省し、ドライブと贖罪を兼ねて秋田県大館市にある【老犬神社】に出かけた。
『老犬神社』は忠犬を祀っているという全国的にも珍しい神社だ。

 [その昔、定六と名乗るマタギがいてシロという犬を飼っていた。ある日定六は、狩猟免状を忘れて猟をして捕らわれ投獄されてしまった。定六はシロに家に戻って免状を取ってくるように伝え、シロは十幾里の雪の山河を家へと駆けようやく戻ってきたが、すでに定六は処刑された後だった。それ以来毎夜、森の山頂からはシロの悲しい咆哮が響き、やがてこの地方には天変地異がおこり、定六の処刑に関連した人々は無惨な死を遂げた。村人はシロの怨念だと恐れ、供養のため山腹に神社を建ててシロを祀ったという]

 前もって調べてから行けばよかったのに、突然の思いつきで出かけたものだから、場所を探すのにも大変難儀した。
ナビにも登録できないような人里離れたうら寂しいところだ。


            
            

 
 やっとたどり着いたそこは、横溝正史の映画の舞台となるような鬱蒼とした山腹だった。
そこここに悪霊や妖怪が潜んでいるようなおぞましい空気が漂っている。
神社は車を降りて、険しい山の細道をもっと登っていかなければならないらしい。

オレは行かない。ここで待っているからお前一人で行ってこい!

 誰彼となく道を尋ね苦労してやっと探し当てたのに、なんとも頼りにならない冷たい夫。
どうしよう? そっと辺りを見回してみた。
ホラー小説は好きでもホラー体験はしたくない私、ますます恐怖感が募ってくる。
ひとりで登る勇気は出ず、無念だが諦めた。
次回は絶対に夫とは来ない!
屈強な【】でも連れてきて出直すことにしようと心に決めた。

 本当のところ私は、この老犬神社で、ももちゃんの【ピンピンコロリ】を祈願しようと考えていたのだが......
それは叶わなかった。ごめんね、ももちゃん。