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駅伝選手

2009-01-09 10:00:00 | おすすめ記事
 隣家の奥様が
「甥っ子が正月休みで遊びにきているから顔を見に来ない?」
と言ってくれた。
嬉しくて一瞬にして顔がほころんでしまった私。

 以前から私は隣家の甥っ子K君の大ファンだ。
私がK君に夢中なことを知っている隣家の奥様は、K君が休日帰省する度になにかと気遣いしてくれる。
夏には.......玄関のチャイムが鳴って扉を開けたら、両手にいっぱいのトウモロコシを抱えてにっこり笑ったK君が顔を出し......嬉しくて幸せいっぱいになったことがある。

 K君は現在、箱根駅伝常連校の陸上部員。
高校時代から駅伝の花形選手として有名だったが、隣家の甥っ子君であることを知ってからはますます応援に拍車がかかった。
高三の冬には、どこの大学に進学するのだろうかと、自分の子どものことのように気がかりだった。

 はたしてK君は入部1年目の箱根駅伝から、スーパールーキーとの鳴り物入りで登場し大いに私を喜ばせてくれた。
しかし彼は......1年目も、そして雪辱を誓った2年目も納得する結果を残すことが出来なかった。
毎日苛酷な練習をこなし、この日のために努力してきただろうと思うと、テレビの前の私も切なくて涙が滲んだ。

 今年も正選手として出場するだろうかと心配しながら、事前発表されたオーダー表で確認したら補欠選手の欄に彼の名を見つけた。
一縷の望みを抱きながら観戦していたが、往路・復路とも彼の登場は適わなかった。
新人の台頭、才能のせめぎ合い、自己との闘い......激しい競争社会の中で自分のポジションを獲得し続けることは並大抵の苦労ではないだろう。
厳しい日々の連続だったろうと想像すると胸が痛む。
 
 さてK君は、隣家の前の道路で元気にウォーミングアップをしていた。
これから近所を走ってくるという。
プレッシャーをかけるような応援は絶対にするまいと思っていたのに
「来年は頑張ってね!」
と、つい余計なことを口走ってしまって自己嫌悪に陥った。

 彼の着ているウインドブレーカーの背中
     【 TOYO・UNIV 】
今年彼の大学は、凄絶な死闘を繰り返し劇的な総合初優勝を遂げた。
K君は白抜きのロゴを一段と眩しく誇らしく左右に揺らしながら、風のように走り去って行った。