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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

文学館めぐり

2008-06-22 10:00:05 | 読書
 会津若松からの帰途、日本海に面した山形県の湯の浜温泉を目指して移動している途中【浜田広介記念館】がありました。

浜田広介は日本のアンデルセンと呼ばれている童話作家で、生涯に約1000編の作品を世に送り出しています。
代表作は『泣いた赤鬼』『椋鳥の夢』『りゅうの目に涙』などです。
『椋鳥の夢』は、私が小学生の時の教科書に掲載されていたような記憶があります。
私の子どもたちは『泣いた赤鬼』(あらすじはここ)の世代で、確か道徳の教材に使われていたと思います。

 

 『泣いた赤鬼』を子どもたちと一緒に読んだ時は、友情のために自己犠牲を払った青鬼君の愛や優しさに心打たれ 「青鬼君はかわいそう!」
誰かが不幸にならなければ誰かの幸福はありえないのだろうかと涙ぐんでしまいましたが......
今になって思えば、本当に哀れなのは赤鬼君。
ひとり取り残された赤鬼君は、今後一生青鬼君の重すぎる友情を背負って生きていかなければなりません。
一方青鬼君は自己犠牲という善意を誇りに、別の地で生きていくことが可能なのです。
赤鬼君、今でもずっと『泣きっぱなしの赤鬼君』かもしれません。

 
 私たち夫婦は(否、私は!)、名所旧跡を訪ねるよりも地味な記念館や文学館を訪ねることを旅の楽しみとしています。
そこで次に立ち寄ったのが【斎藤茂吉記念館】、夫は車中で昼寝待機です。

               

 斎藤茂吉は、精神科医で近代短歌に業績を残したアララギ派の歌人。
精神科医・エッセイストの斎藤茂太氏は長男。作家北杜夫氏は次男で一族をモデルにした大河小説『楡家の人々』の作者です。
記念館には興味ある貴重な資料がたくさんありましたが、展示の仕方にちょっと不満が残りました。
資料が遠くて読みづらく、無理して読もうとした私は何度もガラスケースに頭をぶつけて痛い思いをしました。

 死に近き母に添寢のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる

 のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり

 高校の教科書に載っていた斎藤茂吉の短歌です。
緊迫した状況と作者の心象がくっきりと浮かぶ印象的な短歌です。

 毎度教科書短歌ばかりを話題にして恐縮です。
短歌の実作経験もなく教科書以外で短歌を読んだ経験もほとんどありません。
他に習ったことはすべて忘れているのに、なぜか今でも口をついて出てくるのが不思議です。

 先日、私の短歌関連の記事を読んだ同級生から
「あの短歌習った記憶がないんだけれど、私たち本当に同級生だった?」
とのメールが届きちょっと不安になりました。

 ......短歌の記憶の方ではなく彼女との記憶の方が......