1分間はなんとか持ちこたえた。どんなに難しいことでも、乗り越えられる。でも、心理的なハードルを越えるのは難しく、勇気を振り絞ってやっと歩くことができた。

2021-10-23 09:48:54 | 中国を知らなければ世界はわからない
 

四川大地震で右足を失った義足のモデル、

ランウェイを歩く

人民網日本語版 2021年10月22日10:59
 

上海ファッションウィークで、義足のモデル・牛鈺(24)さんがランウェイを歩いた。機械の一部のような鉄の細い足で歩いた時間はわずか1分ほど。多くの観客はあまりに突然のことで反応できず、カメラを向けた時はすでに彼女の後姿しか見えなかったという人も多かった。しかし、その1分には、運命に屈することなく、伸び伸びと生きてきた彼女の長い24年間が詰まっていたとも言える。

牛さんは、「春游哥哥」というハンドルネームで、ショート動画共有アプリ「抖音(TikTok)」のアカウントを開設しており、フォロワー85万人を抱えている。そんな彼女は、11歳の時に、四川大地震で右足を失い、以前は「ランウェイとは全く縁がない」と思っていたという。

1997年生まれの牛さんの本職はショート動画の脚色演出家、写真家で、アルバイトで服のブランドのモデルの仕事することもあるという。

今回、上海ファッションウィークのランウェイを歩くよう服飾ブランドからオファーが来た時は、驚き、緊張したという。

ランウェイを歩いたことについて、牛さんは、「やっぱり、他のモデルには敵わない。義足なので、スポーツシューズなど、履き心地の良い靴しか履けないから。でも、それは小さな事で、1分間はなんとか持ちこたえた。どんなに難しいことでも、乗り越えられる。でも、心理的なハードルを越えるのは難しく、勇気を振り絞ってやっと歩くことができた。本当のファッションショーを初めて体験し、私にとっては大きな一歩となった」と振り返る。

四川大地震の被災者

3日間崩れた学校の下敷きに

牛さんは写真家で、モデルのアルバイトをする時もあるため、撮影される人の気持ちや状態も分かる。これまでに、服飾ブランドからモデルのオファーを何度か受けたことがあるが、義足なので、ゆったりとしたデザインの服である必要があり、これまでにパンク系の服のモデルをしたこともあるという。

「今回モデルとなったのはスポーツ系のブランドで、スタッフから、『義足とスポーツは全く異なる概念でつながりはないけど、スポーツに対する情熱の妨げにはならない』と言われて、とても感動した。確かに、片足を失って走ったり、飛び回ったりすることはできなくなったけど、卓球や水泳はでき、スポーツの楽しさを味わうことができる」と牛さん。

牛さんは2008年の四川大地震で右足を失った。当時、11歳だった彼女は、北川チャン族自治県の曲山小学校でがれきの下敷きになり、地震発生から3日後になってやっと救出された。

地震発生から丸10年経った2018年5月12日、彼女は汶川マラソン大会に参加した。そして、最後の数キロで、足の感覚がなくなり、もうダメだと感じた時に、「中国がんばれ!汶川がんばれ!」という周りの応援する声が聞こえ、力を取り戻して、ゴールまでたどり着いたという。小学生の時、牛さんは陸上選手だったものの、義足になってからはずっとマラソンをすることはなかった。2018年に初めてマラソン大会に参加したのは、「もう一度、自分に挑戦するため」だったという。

(写真ソース・ネット画像より)

マラソンの舞台で「復活」を果たした彼女は、「ショート動画ブロガー」というもう一つの舞台にも立つようになった。「この何年も愛に包まれて育ってきた。微力であるものの、私も何かしたい。街中で身体障がい者を見ることは少ないかもしれないが、公式統計では、2020年の時点で中国には8500万人の身体障がい者がいる。そうした人々のために何かできることをしたいと思い、ショート動画のアカウントを開設した」と牛さん。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年10月22日

 

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宇宙ロケット「ヌリ号」の打ち上げは、宇宙飛行において半分の成功に終わった。課題を残したが、久しぶりに多くの国民が大歓声を上げ、遠い宇宙を思い描いた「15分間のリハーサル」だった。

2021-10-22 10:04:22 | 韓国も宇宙目指す!

「韓国、自国ロケットで1トンの物体を打ち上げた

7番目の国家に」 外国の通信も反応

登録:2021-10-21 20:06 修正:2021-10-22 06:58
 
発射直後に主要メディアから反応相次ぐ
 
 
韓国型発射体「ヌリ号」が21日午後5時、定刻通りに全羅南道高興の羅老宇宙センターの第2発射台から発射された=韓国航空宇宙研究院提供//ハンギョレ新聞社

 韓国が自主開発ロケット「ヌリ号」を成功裏に打ち上げたというニュースに、外国の通信も強い関心を傾けた。だが、衛星を軌道にうまく安着させられず、残念な「半分の成功」に留まった。

 AFP通信は21日午後5時の発射直後に「発射された」事実を速報で伝え、再び5分後には実況中継する韓国のテレビ放送を引用し「大きな問題なく空に上昇している」という反応を伝えた。

 通信はさらに17分には「韓国は世界12位の経済規模を備え、世界最大のスマートフォンとメモリーチップを生産する技術的に進んだ国家に成長したが、宇宙飛行の分野では立ち遅れていた」とし、今回の成功で「アジアで中国・日本・インド・北朝鮮に続き衛星発射技術を備えた国家になった」との分析を伝えた。1トン以上の物体を自国で製作したロケットを通じて打ち上げた国家は、現在までに6カ国のみで、ヌリ号の発射が成功と確認されれば韓国は7番目となる。

 北朝鮮は2012年12月、長距離ロケット「銀河3号」に人工衛星の「光明星3号」を載せて高度500キロメートル余りの宇宙軌道に乗せることに成功したが、光明星3号の重さは1トンにはるかに及ばないと推定される。

 AP通信とロイター通信も相次いで速報を出し、「韓国が自国で製作したロケットの発射に成功し、野心的な宇宙計画を実施する重要な跳躍をした」と伝えた。日本の読売新聞も「韓国が人工衛星を搭載できる初の国産宇宙ロケット『ヌリ号』を打ち上げた」という速報を伝え関心を見せた。共同通信も、北朝鮮のミサイル試験で韓国・日本などの周辺国家に緊張感が漂う時期に、ヌリ号の発射がなされたと伝えた。

 ロシアと中国の官営マスコミも、ヌリ号発射のニュースを迅速に伝え、ヌリ号は韓国初の自国技術による飛翔体だと報道した。英国BBC放送もヌリ号発射のニュースを伝え、韓国が宇宙にロケットを成功裏に打ち上げた7番目の国家になったと紹介した。しかし、弾道ミサイルと宇宙ロケットは類似の技術を使うという事実を指摘して、こうした動きが韓国が推進してきた軍備強化事業の一部にみられるとも指摘した。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

韓国初の国産ロケット「ヌリ号」、半分の成功…

衛星軌道投入の課題残す

登録:2021-10-22 06:04 修正:2021-10-22 07:15
 
国内技術のヌリ号「半分の成功」 
高度700キロメートルまで到達 
ダミー衛星、軌道には安着できず 
世界7大宇宙大国に一歩前進
 
 
韓国の国内技術で設計・製作された韓国型ロケット「ヌリ号」(KSLV-II)が今月21日午後、全羅南道高興郡蓬莱面の羅老宇宙センターから打ち上げられ、成層圏に向かっている/聯合ニュース

 韓国の国内技術で開発された宇宙ロケット「ヌリ号」の打ち上げは、宇宙飛行において半分の成功に終わった。課題を残したが、久しぶりに多くの国民が大歓声を上げ、遠い宇宙を思い描いた「15分間のリハーサル」だった。

 科学技術情報通信部(科技情通部)のイム・ヘスク長官は21日午後7時、全羅南道高興郡(コフングン)の羅老宇宙センタープレスセンターで「ヌリ号打ち上げ結果発表」を行い、「午後5時に打ち上げられたヌリ号の全飛行は正常に行われた。しかし、3段エンジンが早く燃焼し、衛星模写体(ダミー衛星)が高度700キロメートルの目標には到達したにもかかわらず、秒速7.5キロの速度には届かず、軌道に安着できなかった」と述べた。

 700キロ地点に到達したというニュースとともに「事実上の成功」とされていたヌリ号の成果は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領によって正確に修正された。文大統領は打ち上げから1時間10分後、国民向けメッセージを発表し、「打ち上げの管制から離陸や空中で行われる2回のエンジン点火とロケット分離、フェアリングとダミー衛星分離まで滞りなく行われた。完全に韓国独自の技術だ。ただし、ダミー衛星を軌道に安着させることが未完の課題として残った」と述べた。

 韓国航空宇宙研究院(航宇研)は分析の結果、ヌリ号は3段に搭載された7トン級液体エンジンが目標の521秒間燃焼できず、475秒で早期終了したと発表した。足りない46秒がヌリ号の運命を決めたわけだ。

 ただ、ヌリ号は、1段目とフェアリング、2段目の分離まで順調に進み、最後のダミー衛星の分離までスムーズに行われており、運用の面ではほぼ成功したと言える。2013年に打ち上げに成功した韓国初の宇宙ロケット「羅老(ナロ)号」に続き、独自開発した韓国型ロケットで、独自の宇宙輸送能力を確保したことに意味がある。羅老号の1段目は、ロシアから購入したエンジンだった。

 イム長官は「航宇研の研究陣と外部の専門家が参加する打ち上げ調査委員会を直ちに構成し、3段エンジンの燃焼が早期に終了した原因を正確に究明して、問題点を補完して2回目の打ち上げに備える予定」だと明らかにした。科技部と航宇研は、ヌリ号の1回目の打ち上げの成功如何にかかわらず、来年5月19日に2回目の打ち上げを計画している。

 航宇研のコ・ジョンファン韓国型飛翔体開発本部長は「すべての計測されたデータを検討するのに数日はかかる。早期燃焼終了の原因は、3段燃料および酸化剤タンクの圧力不足や燃焼終了命令の誤りなど様々な原因があり得るが、テレメトリー(遠隔資料転送装備)のデータを分析し、搭載されたバルブなどの入出力データを分析してみなければ結論を下せない」と説明した。ヌリ号の3段には機体供給系バルブだけで49個、エンジン供給系だけで35個のバルブがある。

 ヌリ号は打ち上げ前日の20日午前7時20分、組立棟から移動し、第2発射台に立てられた。21日には各種の電気・電子装備などを点検し、燃料と酸化剤を充填した。午後4時50分ごろ、打ち上げ自動運用(PLO)に入ったヌリ号は、10分後の5時0分に打ち上げられた。

 ヌリ号は同日、当初午後4時に打ち上げられる予定だったが、発射体と外部システムとの間をつなぐバルブに関連した異常現象が見つかり、点検のため、打ち上げ時刻を1時間遅らせた。しかし午後4時50分に自動発射システムに突入し、「12年プロジェクト」の初飛行は可視化された。

 ダミー衛星が非正常飛行をしたことで、韓国は7番目の実用衛星発射国入りを一歩手前で逃してしまった。最初の打ち上げで成功した4番目の国というタイトルもしばらくの間、保留されることになった。ヌリ号の打ち上げを成功と見るのかという質問に対し、航宇研のイ・サンリュル院長は「当初の目標は100%達成できなかったが、重要な部分はほぼ達成したため、成功の方に重きを置きたい。燃焼時間が短かった部分は早期に原因を突き止め、対策を講じることができる」と述べた。航宇研のコ・ジョンファン本部長も「ロケットの姿勢制御や誘導アルゴリズムなど、すべての発射進行過程が正確に行われたのに、最後の3段エンジンの燃焼時間が短く、軌道に入れなかったのが残念だ。第3段の早期燃焼終了の原因を見つけるのはそれほど難しくないだろう」と述べた。

 文大統領は「ロケットを宇宙700キロの高度まで上げただけでも素晴らしいことであり、宇宙に近づいた」とし、「今日足りなかった部分を点検して補完すれば、来年5月にある2回目の発射では必ず完璧な成功を収めることができるだろう」と述べた。来月から宇宙産業の質的成長に向け、国家宇宙委員会委員長は、科技情通部長官から首相に格上げされる。

イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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私は臆病なので、副反応のニュースを見ると怖くて打てないと思ってしまいます。『死んだらどうしよう』、『子どももまだ幼いのに母親がいなくなってしまうじゃない』なんて考えてしまうんです」

2021-10-21 09:37:57 | 問題がないは、大問題

韓国の500万人のワクチン未接種者、

彼らはなぜワクチンを避けるのか

登録:2021-10-19 01:34 修正:2021-10-19 09:03
 
31歳の会社員「コロナに感染してもすぐに良くなる…あえて接種する必要あるのか」 
10人の青壮年に対する深層インタビュー…安定性や効果に疑問
 
 
                   //ハンギョレ新聞社

 ソウルに住むイ・サンインさん(33)は、新型コロナウイルスに感染することよりもワクチンの方が怖い。保険設計士の仕事をしているイさんは顧客から、20代のいとこが接種後に脳に問題が起きて死んだという話を聞いた。同じチームの仲間も接種後3日間苦しんだので2回目の接種をするか迷っていると言っていた。一方、仕事で出会った感染者はほとんどが無症状だった。熱が出てもすぐによくなった客が多かった。「そういうのを見ると、政府は恐怖を植え付けすぎではないかと思います。コロナにかかった人より接種を受けた人の方がむしろ苦しんでいるみたいだから、ワクチン接種が嫌になるんですよ」

「若い感染者は軽症…接種の後遺症は深刻」

 釜山(プサン)に住むホン・スアさん(39)は、ワクチン接種のことを「ロシアン・ルーレット」だと思っている。副反応が発生する確率は高くなくても、発生すれば致命的だと考えるからだ。ホンさんは最近、職場の同僚にまだワクチンを打っていないと言ったら、「拒否者ですか」と言われたという。社会に逆行する人間になったようで気分が悪かったものの、ワクチンの安全に確信を持つには根拠が足りないと思っている。「ワクチン接種を受けて無事だった人はロシアン・ルーレットを切り抜けた人のように感じます。私は臆病なので、副反応のニュースを見ると怖くて打てないと思ってしまいます。『死んだらどうしよう』、『子どももまだ幼いのに母親がいなくなってしまうじゃない』なんて考えてしまうんです」

 青年・壮年層はコロナに感染しても危篤や死に至る確率が低い。ただ、彼らは社会活動を活発に行う世代であるため、未接種のままでいればウイルスに感染する確率がより高まる。政府は彼らに対し、より積極的な接種を求めているが、本紙が深層インタビューを行った20代から50代までの10人の青壮年は、概ね「あえて接種しなくてもよい」と考えていた。コロナ感染より接種後の異常反応の方が深刻だと考えているうえ、科学的な理由を挙げてワクチンの安全性は確認されていないと主張する人も多かった。

「ビッグデータが蓄積されるまで待つ」

 10人の青壮年層のうち7人は、コロナワクチンの開発期間が他のワクチンより短いため、長期的な副反応などがまだ確認されていないと考えていた。ソウル松坡区(ソンパグ)に住む会社員のソン・ジヨンさん(31)も「コロナ感染よりワクチンの方が怖い」と話した。同じ会社で3人の感染が確認されたが、息苦しさを少々訴えただけで、すぐよくなったという。「臨床試験期間が1年足らずだから、どんな副反応があるのか正確に発表されたわけでもないのに、何も分からない状況で接種を受けろというのは違うと思います。最大限情報を収集して、ビッグデータが蓄積された後に、誰が多く死に、なぜ人が死ぬのか、どのように死ぬのかを確認した後に石橋を渡るということです」

政策に一貫性がないし、異常反応の因果関係は認めない

 光州(クァンジュ)広域市に住む基礎生活保障受給者のホ・テインさん(46)は「コロナが急に広がったことで、ワクチンをとりあえず作り出すために検証を急ぎすぎた。他の検証されたワクチンのように接種を受ければ一生ものの安全装置になるわけではない」と指摘した。保険設計士のイ・サンウンさんも、「風邪薬も数年にわたって臨床試験を行い、安全が確認されてから出てくるのに、そもそもより深刻な病気なのに、より早く出てきたこと自体が話にならない」と語った。

 政府の支援体系の不備を主張する人も3人いた。ソウル在住の会社員パク・ソウンさん(32)は「当初から接種の間隔が長くなったり短くなったりする過程を見ていて、政府の政策には一貫性がないと思った。異常反応を示す人が多かったのに、政府が因果関係を認めた事例も少なすぎる。どこに異常反応を届け出ればいいのかもよく知られていないし、届け出るとしても因果関係を明らかにするのは難しいと言われている。病院でも医師は扱ってくれないという後日談をよく聞いた」と話した。ホ・テインさんも「政府は、ワクチンの異常反応について無条件に持病のせいにするのではなく、少なくとも死んだ人に対しては無条件に支援と補償を行うべきだ。解剖を通じて因果関係を明らかにすべきだとか、因果関係がなければ我々のせいではないなどというのは、政府の言うべきことではない」と指摘した。

「自営業者は忙しくて接種を受ける時間もない」

 社会活動の活発な青壮年層らしく、仕事が忙しいために接種を先送りする人もいた。京畿道金浦市(キンポシ)に住むト・ヨンスさん(50)は、「インテリアの仕事をしていると、休みは月に1日ほど」と話した。トさんは「受けたら1、2日は休まなければならないと言われているが、休む暇がない。先延ばしにしているうちに、500万人の未接種者のうちの1人になってしまった」と話した。ソウル城東区(ソンドング)で美容室を営むキム・ドンミンさん(32)も「美容室をオープンしたばかりなので、お客さんを確保する期間だから店を開けられないのが不安。防疫守則をよく守って働いて、今年中には打とうかと考えている」と語った。

クォン・ジダム、キム・ジフン、イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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北朝鮮が19日、戦略兵器である潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定されるミサイルを発射し、北朝鮮の意図と背景に関心が集まっている。

2021-10-21 09:08:42 | アメリカの対応

韓国大統領府、

終戦宣言論議の局面で北朝鮮のミサイル発射に「困惑」

登録:2021-10-20 06:09 修正:2021-10-20 07:15
 
「北極星-3型」より小型化したものと推定
 
 
今月19日午後、ソウル駅の待合室に設置されたモニターに北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射に関するニュースが映し出されている/聯合ニュース

 北朝鮮が19日、戦略兵器である潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定されるミサイルを発射し、北朝鮮の意図と背景に関心が集まっている。特に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の終戦宣言提案をめぐり、周辺国の協議が本格化している中、北朝鮮が米国の先制的な制裁緩和を求めて「実力行使」に出たという見方もある。

■新型SLBM発射か

 北朝鮮が同日発射した短距離弾道ミサイルは、北朝鮮が最近、国防発展展覧会で公開した新型小型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定される。今回のSLBMは、2016年と2019年に北朝鮮が発射した従来のSLBMの高度や飛行距離などとは諸元が異なるという。同日、北朝鮮のミサイル高度は60キロメートル、飛行距離は約590キロメートルとされた。北朝鮮が2019年10月2日にバージ船から水中発射したSLBM「北極星-3型」は飛行距離が450キロメートルだったが、高角発射により上昇高度が910キロだったため、実際の射程はグァム米軍基地に打撃を与える2500キロメートルと推定された。同日発射されたSLBMは、高度が2年前に比べてはるかに低く、実際の射程距離も2年前より短いとみられる。米軍インド太平洋司令部は同日、声明を発表し、北朝鮮ミサイル発射を地域情勢を不安定にする行為だと糾弾しながらも、「米軍は今回のことが米国と同盟の人命と領土に直ちに脅威にならないと判断した」と明らかにした。

 韓国軍当局は、北朝鮮が水中のバージ船から発射した過去2回のSLBMとは違って、運用中の潜水艦から発射した可能性について分析している。北朝鮮が実戦配備した潜水艦は規模が小さく、ミサイルも小型化を選んだという分析だ。SLBMは地上での発射実験と水中バージ船からの発射実験を経て、最後に潜水艦で発射実験を実施する。大統領府が同日午後1時5分ごろ、NSC会議の結果を記した報道資料で、今回の飛翔体を「短距離弾道ミサイル」と規定したのも、こうした背景を踏まえたものといえる。2年前に北朝鮮が発射したSLBMは米国本土を脅かす兵器であるため、米国が「レッドライン」(挑発阻止線)と見なすが、この日のSLBMが米国にとって脅威とならなければ、米国は北朝鮮との対話意志を放棄しないとの見方もある。

■対内結束と制裁緩和の「二重の布石」

 同日の北朝鮮のSLBM発射をめぐり、専門家の間ではさまざまな分析がある。まず、北朝鮮が今年1月の第8回党大会で明らかにした「国家防衛力強化5カ年計画」を実践し、対内結束を強化しているという見方だ。当時、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は「国家防衛力を質と量の両面からさらに強化することを重要課題に掲げていかなければならない」とし、長距離打撃能力を高められる原子力潜水艦と、核弾頭を搭載したSLBMも国防力強化の課題として掲げていた。同日のSLBM発射が予見された手順とみられるのもそのためだ。

 さらに、米国の先制的な制裁緩和を狙って圧迫の強度を高めているという解釈もある。特に、この日ソウルで行われたパク・チウォン国家情報院長、米国のアブリル・ヘインズ国家情報長官(DNI)、日本の滝沢裕昭内閣情報官による韓米日情報機関会談や、米ワシントンで18~19日(現地時間)に開かれるノ・ギュドク外交部朝鮮半島平和交渉本部長、米国務省のソン・キム北朝鮮政策特別代表、日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長が出席する韓米日の北朝鮮核問題担当高官協議などを狙ったというのだ。「条件なしの対話」を強調する米国に対抗して、北朝鮮の交渉力を高めようとする「軍事行動」という分析だ。

■大統領府「深い遺憾」

 慎重な立場を示した大統領府は北朝鮮のミサイル発射直後、ソ・フン国家安保室長の主宰で国家安全保障会議(NSC)常任委員会緊急会議を開き、「深い遺憾の意」を表明した。大統領府は同日、会議後に配布した報道資料で「NSC常任委員らは北朝鮮の未詳短距離弾道ミサイル発射状況についてウォン・インチョル合同参謀本部議長から報告を受け、関連状況を評価した」とし、「深い遺憾の意を表明した」と明らかにした。SLBMと推定されるミサイルを「短距離弾道ミサイル」と規定し、「挑発」や「脅威」などの表現も使わなかった。大統領府のこうした「慎重な」態度は、北朝鮮が強く不満を示した「二重基準(ダブルスタンダード)」を意識したものとみられる。先月、キム・ヨジョン朝鮮労働党副部長は「北は『挑発』、南は『抑制力確保』という二重基準は絶対に見過ごすわけにはいかない」とし、金正恩総書記も11日の国防発展展覧会記念演説で「今や南朝鮮では『挑発』と『脅威』という単語を『対北朝鮮専用述語』として使っている」と批判した。今回の大統領府の反応は、これを受け、北朝鮮を刺激せず、文在寅大統領の終戦宣言提案後に動いている朝鮮半島平和プロセスの動力を維持するための努力といえる。しかし、朝鮮半島情勢を平和的かつ安定的に管理することが何より重要な時に、相次ぐ北朝鮮の軍事行動が朝鮮半島の緊張と不安を高めているという批判もある。大統領府高官は同日、記者団に「今回のSLBM発射について、北朝鮮がレッドラインを超えたと判断しているか」という質問に対し、「関連する状況をもう少し鮮明に把握してから答える」とし、即答を避けた。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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合同参謀は午後、国防部記者団に対し「韓米が事前動向を注視しており、韓米情報資産が1発を探知した」と説明した。

2021-10-20 10:28:47 | アメリカの対応

韓国は「1発」、日本は「2発」…

北朝鮮のミサイル発射めぐり情報分析が正しいのは?

登録:2021-10-20 06:05 修正:2021-10-20 07:09
 
北朝鮮、19日午前にSLBMとみられる弾道ミサイル発射 
韓日軍当局の情報判断、微妙に異なる
 
 
             日本の岸田文雄首相=東京/ロイター・聯合ニュース

 19日午前、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定される弾道ミサイルを発射したことを受け、岸田文雄首相は遊説の日程を取り消し、急遽東京に戻るなど、敏感な反応を示した。防衛省レベルで対応する一般的な「弾道ミサイル」の際の対応とは異なり、自身の動線を分単位で公開し、日本の徹底した対応態勢を強調しようと努めた。

 岸田首相は発射後約1時間後の午前11時16分、福島市内で記者団に対し「2発が発射された」とし、北朝鮮が連続的にミサイルを発射していることについて「大変遺憾に思う」と述べた。岸田首相は、31日に行われる衆院選のため、宮城県仙台駅で街頭演説をしてから秋田県に移動する予定だったが、午後3時頃、急遽首相官邸に戻り、今後の対応について協議した。首相官邸のホームページを見ると、岸田首相が北朝鮮のミサイル発射から6分後の10時24分、「不測の事態に備え、万全の態勢を取ること」などを指示した。それから52分後に記者団に対し、北朝鮮に対する遺憾の意を表明したことが確認できる。

 岸田首相は国家安全保障会議(NSC)を開いた後、午後4時ごろ再び会見を行い、「北朝鮮による核ミサイル関連技術の著しい発展は、我が国と地域の安全保障にとって、見過ごすことができないものであると考える」としたうえで、「こうした状況に備え、いわゆる敵基地攻撃能力の保有を含め、あらゆる選択肢を検討するよう、改めて確認した」と強調した。

 
日本政府の対応状況を知らせる首相官邸の公知=首相官邸ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 米国も懸念を共有した。米インド太平洋軍司令部は声明を発表し、「我々は北朝鮮の弾道ミサイルが今朝日本海(東海)に発射されたことを把握しており、韓国と日本はもちろん地域の同盟、パートナーとも緊密に協議している。我々はこうした行動を糾弾し、北朝鮮にこうした不安を助長する行動の自制を求める」と述べた。米国務省も、立場について質問した「聯合ニュース」の書面質疑に対し、「米国は北朝鮮の弾道ミサイル発射を糾弾する。これは多数の国連安全保障理事会決議に違反しており、地域にとって脅威となる」とし、「さらなる挑発を自制し、持続的かつ実質的な対話に出ることを北朝鮮に求める」と強調した。

 同日、改めて浮き彫りになった問題は、韓日間の意思疎通の不在だった。韓国合同参謀本部は北朝鮮の短距離弾道ミサイル「1発を(発射したことを)把握した」と発表したが、岸田首相と防衛省の発表を引用したNHKなどは「2発が発射された」と報じた。これに対し合同参謀は午後、国防部記者団に対し「韓米が事前動向を注視しており、韓米情報資産が1発を探知した」と説明した。韓日軍当局間で疎通はなかったが、韓国の情報分析が正しいという意味に解釈できる。

 中国は予想どおり関係国の自制を求めた。中国外交部の汪文斌報道官は定例記者会見で「最近の朝鮮半島問題関連国の軍事動向も注目している」とし、「現在、朝鮮半島情勢が決定的な時期を迎えた。関係諸国は大局的に考え、自制を維持し、朝鮮半島の平和安定の守護に力を入れるべきだ」と述べた。さらに「各国が対話と交渉という正しい方向を守り、『双軌並進』(非核化プロセスと朝米平和協定交渉の同時推進)と段階的かつ同時的原則に基づき、朝鮮半島問題の政治的解決プロセスを共同で進めることを望んでいる」という中国の従来の立場を繰り返した。

東京・ワシントン/キム・ソヨン特派員、ファン・ジュンボム特派員、クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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