バイデン大統領、度重なるミスか本音か…
「中国が攻撃すれば台湾を防御する」
米政府が40年間守った「戦略的曖昧さ」と異なる
8月にも同様の発言…米大統領府「政策は変わっていない」と鎮火に乗り出したことも
米国のジョー・バイデン大統領は21日(現地時間)、台湾が中国から攻撃を受けた場合、台湾を防御すると述べた。米政府が維持してきた「戦略的曖昧さ」を破る発言だ。
バイデン大統領は同日、CNNがボルチモアで主催した対話集会で、ある聴衆が台湾をめぐる米中対立について尋ねると、「私は中国との新冷戦を望んでいない。ただ、我々は退くつもりも、見解を変えるつもりもないことを中国に分かってほしいだけだ」と述べた。
これに対し、司会者のアンダーソン・クーパーが「中国が台湾を攻撃した場合、台湾を防御するということなのか」と尋ねると、バイデン大統領は「そうだ。我々には約束がある」と答えた。
この発言は中国が台湾を攻撃した場合、米国が軍事的に介入できるという意味で、台湾防御に乗り出すかどうかについて明確な立場表明を留保してきた米政府の「戦略的曖昧さ」に反する。
バイデン大統領が述べた「台湾との約束」は、台湾関係法を念頭に置いたものとみられるが、同法に台湾防御の義務は含まれていない。米国は1955年、台湾と米華相互防衛条約を結んだが、1979年に中国と国交を樹立する際、これを廃棄した。その代わり米国は公に、「一つの中国政策」に基づき台湾に対する中国の主権主張を認める一方、台湾関係法に基づき台湾への武器販売などを行うことで台湾の防御力を支えている。米政府は台湾に外部勢力が侵入した場合、軍事的に介入するかどうかについては肯定も否定もしない「戦略的曖昧さ」を維持してきた。
バイデン大統領は昨年8月にも同様の発言をした。彼はABCとのインタビューで、アフガニスタン事態について、北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛条項である相互防衛条約第5条に言及し、「日本や韓国、台湾に対しても同じだ」と述べた。当時、バイデン大統領の発言後、ホワイトハウスは「米国の台湾政策は変わっていない」と鎮火に乗り出す場面もあった。今回の発言も公の政策転換として受け止めるにはまだ早い。ただし、バイデン大統領の発言は、台湾で高まっている中国の軍事的圧力に断固として対応すべきという米国内のムードを反映したものとみられる。
最近、中国軍用機数十機が台湾防空識別圏(ADIZ)に進入し、米国やカナダの艦艇が台湾海峡を通過するなど、この地域の緊張が高まっている。