党指導部の関係者は「イ・ナギョン陣営が問題を提起する部分をどのように政治的に解決するかが残っている」と述べた。

2021-10-12 11:45:57 | 問題がないは、大問題
 

民主党「イ・ジェミョン大統領選候補で確定」…

予備選挙不服の動きを制御

登録:2021-10-12 02:55 修正:2021-10-12 08:38
 
イ・ナギョン陣営「無効票処理」異議申し立て 
ソン・ヨンギル党代表「民主党の大統領候補はイ・ジェミョン」と釘を刺し 
問題提起を受け入れる可能性は低い 
「大義名分がない…党内の対立招くだけ」批判の声
 
 
イ・ナギョン陣営のチェ・インホ総合状況本部長が11日午後、党選管による民主党大統領候補決定に対する異議申立書を提出するため、ソウル汝矣島の共に民主党本部を訪れている=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 共に民主党の大統領選予備選挙で2位となったイ・ナギョン元首相(前共に民主党代表)陣営は11日、「中途辞退した候補者の票を無効としたのは問題」とし、決選投票を公式に求めた。前日にイ・ジェミョン京畿道知事が50.29%の得票で辛うじて最終候補に選出された予備選挙に対し、事実上の不服を示唆したのだ。党指導部は「民主党の大統領候補はイ・ジェミョン」とし、鎮火に乗り出したが、民主党内外では政権党の大統領選予備選候補が前例のない不服申し立ての動きを示したことに対する批判の声があがっている。

イ・ナギョン陣営「イ・ジェミョンの得票率は49.32%」と主張

 イ・ナギョン元首相陣営の議員たちは11日、国会疎通館で記者会見を開き、「民主党選挙管理委員会と指導部の予備選挙結果発表は、明白な党憲・党規違反」と主張した。

 中心の争点は、特別党規に定められた「有効投票」をどのように解釈するかにある。民主党の特別党規第59条1項は、「予備選挙の過程で候補者が辞退した場合は、その候補者に対する投票は無効とする」と規定している。民主党はこれを根拠に、中途辞退したチョン・セギュン前首相とキム・ドゥグァン議員の得票を無効とした。過去の大統領選予備選挙(2002、2007、2012)で中途辞退した候補の票を無効処理した前例に従ったものだ。

 しかしイ元首相陣営は「辞退した候補」に投票されたものだけが無効であり、候補が辞退前に得た票は有効とみている。「選管は予備選挙投票で公表された開票結果を単純に合算して、有効投票数の過半数の票を得た候補者を当選者として決定する」(特別党規第60条1項)という条項が根拠だ。チョン前首相とキム議員が辞退する前に得た票は「予備選挙投票で公表された開票結果」であるため、これらの票も合算すべきという主張だ。この計算どおりなら、分母にあたる選挙人団の数が増え、イ知事の得票率は50.29%から49.32%に落ちる。過半数を割り込み、決選投票の実施が必要な数値となる。イ・ナギョン陣営の政治改革ビジョン委員長を務めるキム・ジョンミン議員は「党選管はすでに有効投票だと当時発表していたのに、後になっていきなり両候補の有効票を抜いてしまった」とし「意図したとすれば不正選挙であり、意図していないのなら誤りであり錯誤」と主張した。

 イ・ナギョン陣営はこの日午後、公式の異議申立書を民主党に提出した。ただし同陣営は「予備選挙に対する不服」ではないと繰り返し強調した。イ・ナギョン陣営の総括本部長を務めるパク・グァンオン議員は「スポーツの試合でも、審判の判定に問題が生じればビデオ判定を行う」とし「異議を申し立てたからといって試合そのものに対する不服というわけではない」と述べた。

実際に予備選挙への不服へとつながるか

 イ元首相の「異議申し立て」が受け入れられる可能性は高くはなさそうだ。同党のソン・ヨンギル代表がこの日「我が党は昨日、イ・ジェミョン氏を民主党の大統領候補として確定発表した」と釘を刺したうえに、無効票論争の当事者であるチョン前首相とキム議員のいずれもイ知事の側に立ったからだ。チョン前首相は「原則を守ることが勝利の始まり」と述べ、キム議員は「予備選挙を終えてからルールそのものを問題視しようとするのは、民主党の混乱を生むもの」と批判した。

 にもかかわらずイ元首相が「予備選挙に対する不服」という批判を甘受してまで予備選挙の結果に問題を提起したのは、「大庄洞(テジャンドン)特恵開発疑惑」をめぐる検察と警察の捜査の推移と、それによる「候補空位事態」まで考慮したものだという解釈が出ている。「問題を正すために最後まで頑張った」という大義名分作りだということだ。

 イ元首相は前日のソウル地域巡回予備選挙の政見発表でも、「与野党を襲った大庄洞開発不正が民主党の前途にも影を落としている。それは我々が一度も経験したことのない複合的な危機をもたらすかもしれない」と述べている。

 ひとまず党内では、イ元首相の異議申し立てが、実際の予備選挙に対する不服「行動」にまではつながらないだろうとの見方が強い。ある重鎮議員は「陣営側が決選投票に行けたのに行けなかった悔しさを吐露しているのではないか」と述べた。

 しかし、イ元首相側の主張は党内対立を引き起こすだけでなく、大義名分争いでも不利だとの評価が強い。異議申し立てによる予備選挙の後遺症が長引けば、党の大統領選本選準備に影響を及ぼさざるを得ず、結局は責任の矛先がイ元首相へと向けられる可能性もある。

指導部は「予備選後遺症」懸念

 党指導部は、予備選挙期間中に2回にわたる討論を通じて「特別党規第59条についての解釈を変えることはできない」と結論を下したにもかかわらず、イ元首相側が無理な要求をしていると判断している。党選挙管理委員会も先に全員一致で、無効票の処理に問題はないとの立場を明らかにしている。党指導部の関係者は「すでに検討が済んでいる事案」とし「政治攻勢と見るべきだ。実際には両者の得票率の差はかなり大きく、むしろ断固とした態度で対応すべきではないかと思う」と述べた。イ元首相の累計得票率は39.14%で、イ知事との差は11.15ポイントだ。

 ただし、大統領選を前に「ワンチーム選対委」を立ち上げることが必要不可欠であるだけに、指導部の苦心も深まるとみられる。イ元首相側が公式に異議申し立てをした状況で、指導部が沈黙で一貫したり強硬対応に出たりすれば、「溶鉱炉選対委」(予備選挙に出た候補らが共同選対委員長を務める選対委の構成)の結成が難航する可能性もある。このため、ソン代表が直にイ元首相と会談し、「ワンチームになってほしい」と要請する案も取りざたされているという。党指導部の関係者は「イ・ナギョン陣営が問題を提起する部分をどのように政治的に解決するかが残っている」と述べた。

シム・ウサム、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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