急激な人口減少は労働力の減少を招いて経済を萎縮させ、社会保障負担を重くして福祉体制の基盤を揺るがす。また、人口構造の高齢化と社会革新動力の萎縮を誘発する。

2024-05-25 10:39:12 | しらなかった
 

「この4つがないと韓国は少子化を克服できない」…

未来学者フレイの提案

登録:2024-05-25 00:50 修正:2024-05-25 08:16

 

[クァク・ノピルの未来の窓] 
ワークライフバランス、財政支援、両性平等、保育インフラを提案
 
米国の未来学者トーマス・フレイ氏が、韓国の少子化の流れを変える4つの戦略を提示した=ピクサベイ//ハンギョレ新聞社

 2023年の韓国の合計特殊出生率は0.72。人口の維持に必要な2.1の3分の1に過ぎないほど最悪の状況だと言える。合計特殊出生率とは、1人の女性が一生のうちに産むと期待される子どもの数をいう。昨年第4四半期には0.65まで下がったことを考えると、今年の合計特殊出生率は0.7を下回る可能性が高いとみられる。

 統計庁は、このような傾向が続けば、50年後の韓国の人口は3600万人台にまで減ると予想している。1970年には3200万人だった韓国の人口は、2012年には5000万人を超えたが、まるで一場の春夢から覚めるように70年代と同じ水準に戻ってしまうわけだ。

 長期的な社会の流れの代表的な指標の一つである人口部門で、このように短い期間に人口が激しく増減する例はおそらくほぼ見当たらないだろう。

 急激な人口減少は労働力の減少を招いて経済を萎縮させ、社会保障負担を重くして福祉体制の基盤を揺るがす。また、人口構造の高齢化と社会革新動力の萎縮を誘発する。

 政府は最近、仮称「少子化対応企画部」を設置して対応するとの方針を明らかにしたが、このかんの天文学的な予算投入にもびくともしない少子化の流れを変える妙案を見出すのは容易ではない。

少子化を固定化させる3つの要因

 米国の未来学者で、ダ・ヴィンチ研究所の設立者かつ所長のトーマス・フレイ氏は自身のブログで、少子化の流れを反転させる4つの戦略を韓国政府に提案した。フレイ氏はIBMの元エンジニアの未来学者で、2010年代に韓国を含む様々な国で活発に未来について語る講演活動を展開した。

 フレイ氏は「韓国は決断力のある行動が必要な岐路に立たされている」、「出生率下落の流れを覆し、人口の活力を再生させるには、複雑な複数の要素を扱う多角的な戦略が必要不可欠だ」と述べる。

 フレイ氏は、少子化の流れを固定化させた要因を3つ指摘する。最も大きな要因としてあげたのは、激しい就職競争、過度な住居費負担などによる若者たちの経済的不安定さだ。続いて労働時間の多さや両性不平等などの社会文化的圧力、そして激しい教育競争システムも結婚と出産を敬遠させる要因だとしている。

何が家族を作ることを阻んでいるのか

 このような分析にもとづいて彼が提案した少子化反転戦略の1つ目は、仕事と家庭生活の調和、すなわち「ワークライフバランス」が実現できるよう、家族親和型政策を強化することだ。出産の壁を下げるための対策だ。

 そのための具体的な政策として、育児休職の拡大と柔軟な勤務システムを提示する。育児休職の拡大は、休職期間を増やすとともに、父性(父親)の育児休職を積極的に奨励することをいう。フレイ氏は「これは早期の職場復帰によるストレスを感じることなく子どもとの絆を形成させるだけでなく、育児における両性平等を実現させる」と語る。また在宅勤務、弾力的な勤務時間、時間制勤務などの多様な勤務システムは、仕事と家庭生活のバランスの実現に役立つだろうと指摘している。

 反転戦略の2つ目は、財政的補助だ。親と子からなる家族を持つために越えなければならない障壁を低くするための対策だ。

 例えば、住宅補助金によって青年家庭の最も大きな負担となっている住居費を減らす一方、子どもを持つ家庭には児童手当を支給するほか、様々な教育費減免の恩恵を与えるというもの。

重大な変化の入り口…反転戦略は選択ではなく必須

 3つ目の戦略は、職場と家庭における仕事と性の伝統的な役割規範を変えるというもの。家族の成長を促進するための方策だ。例えば、勤務時間の持続的な短縮、育児休職などに起因する不利益をなくすこと、公平な家事負担などの、新たな社会規範作りに積極的に取り組むべき、というわけだ。

 4つ目の戦略は、強固な育児支援システムを構築すること。働く親を支援するための方策だ。

 フレイ氏は、そのためには国がきちんとトレーニングを受けた保育サービス提供者を養成し、良質のサービスの合理的な価格での利用を保障するとともに、企業が社内保育制度または育児支援プログラムを立ち上げて、子を持つ社員が仕事と家庭生活を困難なく並行できるようにしなければならないと述べる。

 フレイ氏は「人口構造の重大な変化の入り口に立っている今、反転のための戦略は選択ではなく必須」だとしつつ、「このような戦略は人口構造を安定させるだけでなく、未来世代のための弾力的で繁栄する韓国社会を作る基本要素」だと強調している。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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