ミサイルは発射後、1段目の推進体と2段目の推進体の分離にそれぞれ成功した。また、今月3日に発射したミサイル(飛行距離約760キロ、高度約1920キロ、速度マッハ15)に比べ、技術的進展が確認できる。

2022-11-20 18:14:11 | 朝鮮を知ろう。
 

北朝鮮が撃ったICBM、米全域が射程圏内…

韓米日による圧力に強対強対峙

登録:2022-11-19 02:33 修正:2022-11-19 08:28
 
3日に発射に失敗した「火星17型」とみられる機種 
技術的進展示す…「米国に対する圧力となる」
 
 
        北朝鮮の大陸間弾道ミサイル「火星17型」/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮は18日、東海(トンヘ)上に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。北朝鮮のチェ・ソンヒ外相が17日の談話で、韓米日3カ国の拡大抑止強化に反発し北朝鮮の軍事的対応はさらに激しくなるだろうと述べたその翌日のことだ。

 合同参謀本部(合参)はこの日、「午前10時15分ごろ、平壌順安(ピョンヤン・スナン)一帯から東海上に発射された長距離弾道ミサイル(ICBM)1発を捉えた」と発表した。探知の結果、飛行距離は約1000キロ、高度約6100キロ、速度約マッハ22(音速の22倍)。このミサイルは約68分間飛行し、日本の西側の排他的経済水域(EEZ)に落ちた。日本の防衛省は、ミサイルは午前11時23分に北海道渡島大島の西約210キロの海域に落下したとみられると分析した。

 北朝鮮は今月3日に発射に失敗した「火星17型」と同機種を、この日改めて発射したという。このミサイルは発射後、1段目の推進体と2段目の推進体の分離にそれぞれ成功した。また、今月3日に発射したミサイル(飛行距離約760キロ、高度約1920キロ、速度マッハ15)に比べ、技術的進展が確認できる。日本の浜田靖一防衛相は「今回発射されたICBM級弾道ミサイルは、今回の飛翔軌道にもとづいて計算すると、弾頭重量などによっては、(正常な角度での発射では)1万5000キロを超える射程となり得るとみられる」と述べた。これは米国本土全域を射程圏に収めうる距離だ。またICBMは最大でマッハ20以上の速度が必要になるということを考えると、今回のミサイルはICBMの基本諸元を満たしているとみられる。

 航空大学のチャン・ヨングン教授は「3日に失敗したものを本日改めて撃ったとすれば、火星17型が成功したということを意味する」とし、「米国本土全体を攻撃できる推進体を見せるだけでも、米国に対する圧力になるだろう」と分析した。

 北朝鮮は、13日に韓米日3カ国の首脳が「プノンペン共同声明」を発表し、共同で北朝鮮に対する圧力を強めたことに反発し、「強対強」で対抗するという意志を明確に示したものとみられる。中国の習近平国家主席が米国のジョー・バイデン大統領(11月14日)、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領(15日)と相次いで会談し、対北朝鮮問題における意見の相違を再確認したことも、北朝鮮に自信を与えたものとみられる。北朝鮮のチェ・ソンヒ外相は17日、「米国が同盟国に対する『拡張抑止力提供の強化』に執着すればするほど、朝鮮半島地域で軍事活動を強化すればするほど、それに正比例して我々の軍事的対応はより猛烈になるだろう」と述べている。

 北朝鮮は「国家核武力完成宣言5周年」に当たる今月29日前後に7回目の核実験、または追加のICBM発射などの武力示威を行うだろうとの見通しが出ている。

 北韓大学院大学のヤン・ムジン教授はこの日のミサイル発射について、「米国の中間選挙(11月8日)が終わった中、『バイデン政権の対北朝鮮政策は失敗したのだから戦略的忍耐は廃棄せよ』という北朝鮮の圧力だとみられる」と述べた。ヤン教授は「核実験へと向かうための地ならしなのか、年末決算を控えた軍事的な業績づくりなのかは、もう少し見守らなければならない」とし「国家核武力完成宣言5周年に当たる29日前後の北朝鮮の状況を見てはじめて輪郭が明らかになると思う」との見通しを示した。

 北朝鮮のミサイル発射直後、韓米日は一斉に強く糾弾した。尹錫悦大統領はこの日午前、大統領室でキム・ソンハン国家安保室長の主宰で行われた国家安全保障会議(NSC)常任委員会に臨席し、「韓米連合防衛態勢を強化するとともに、韓米が合意した対北朝鮮拡大抑止の実行力強化策を積極的に履行しつつ、韓米日安保協力を強化していくように」と指示した。尹大統領は「米国および国際社会とともに、国連安全保障理事会での対応を含む強力な北朝鮮に対する糾弾と制裁を推進せよ」と述べた。政府はこのような内容を含めた「政府声明」も発表した。

 米国ホワイトハウス国家安保会議のエイドリアン・ワトソン報道官はこの日の声明で、「外交の扉は閉ざされてはいないが、北朝鮮は情勢を不安にさせる行為を直ちにやめるべきだ」と述べた。アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に出席するためタイのバンコクを訪問中の日本の岸田文雄首相も現地で記者団に対し、「これまでにない頻度で挑発行動を繰り返している。断じて容認できない」と強調した。

 APEC首脳会議が行われたバンコクでもこの日午後、韓国(ハン・ドクス首相)、米国、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国が北朝鮮のICBM発射について緊急に首脳会議を行ったと、日本の共同通信が伝えた。

 一方、合同参謀本部はこの日、北朝鮮のICBM発射に対応し、輸送起立発射機(TEL)攻撃訓練および東海上での連合攻撃編隊群飛行を実施した。空軍のF-35Aステルス戦闘機はピルスン射撃場で、精密誘導爆弾(GBU-12)によってTELの模擬標的を攻撃する訓練を実施した。東海上での連合攻撃編隊群飛行には空軍の4機のF-35Aと米空軍の4機のF-16戦闘機が参加した。

シン・ヒョンチョル、キム・ミナ記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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