習主席は、高官級対話の活性化に共感を示し、韓中両国間の(半官半民の)1.5トラック対話体制も構築しようと述べた」と伝えた。

2022-11-16 19:26:47 | 韓国を知ろう
 

習主席「経済協力の政治化に反対」…韓米日三角協力に牽制球

登録:2022-11-16 06:20 修正:2022-11-16 07:08
 
北朝鮮の核の脅威などの懸案に認識の相違を確認
 
 
尹錫悦大統領と中国の習近平国家主席が15日(現地時間)、インドネシア・バリ島のあるホテルで初の首脳会談を行っている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 15日(現地時間)、インドネシアのバリ島で開かれた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と中国の習近平主席の韓中首脳会談は、両国首脳が2019年12月以来2年11カ月ぶりに顔を合わせ、関係改善と疎通強化の意志を固めたという点で意味がある。しかし、25分間の短い会談で、両首脳は北朝鮮の核・ミサイルの脅威や米国主導のサプライチェーンの再編など懸案に関する認識の相違を表わした。

 両首脳は温かい言葉で会談を始めた。尹大統領は今年が韓中国交正常化30周年であることを想起し、「ソウル梨泰院(イテウォン)で起きた惨事に哀悼の意を表していただき感謝申し上げる」と述べた。これに習主席も「両国は非常に近い隣人であり、切っても切れないパートナー」だと応えた。先月起きた韓国の梨泰院惨事に関しても「心からのお悔やみ申し上げる」と語った。

 両首脳は対話の枠組みの新設に共感するなど、対立要素を管理し意思疎通を強化することで合意した。大統領室は「(尹大統領が)韓中両国間の高官級対話を定例かつ活発に進めていくことを提案した」とし、「これに対して習主席は、高官級対話の活性化に共感を示し、韓中両国間の(半官半民の)1.5トラック対話体制も構築しようと述べた」と伝えた。

 しかし、主要懸案をめぐる隔たりはあまり埋まらなかった。特に北朝鮮の核とミサイル問題に関して、尹大統領は習主席に積極的な役割を要請した。尹大統領は「北朝鮮が前例のない頻度で挑発を続け、核・ミサイルの脅威を高めている」とし、「安全保障理事会常任理事国であり隣接国として、中国がもう少し建設的な役割を果たすことを期待する」と述べたと大統領室が伝えた。

 これに対して習主席は「韓中両国は朝鮮半島問題において共同の利益を持つ。平和を守っていかなければならず、韓国が南北関係を積極的に改善していくことを望んでいる」と述べ、中国ではなく韓国の役割を強調した。習主席はさらに、北朝鮮が非核化の決断をすれば経済支援を行うという内容を盛り込んだ尹大統領の「大胆な構想」についても、「北朝鮮の意向がカギだ。北朝鮮が呼応した場合は、大胆な構想がうまく履行されるよう積極的に支持し、協力する」と述べた。「北朝鮮の呼応」を前提に支持するという「条件」をつけたわけだ。中国は北朝鮮の核問題に関して、米国の責任もかなりあるという態度を堅持している。実際、中国は4日、北朝鮮の弾道ミサイル発射など武力示威に対する国連安保理の追加制裁に反対した。

 尹大統領が「韓国政府の外交の手段と方法は普遍的価値と国際的なルールに基づいている」とし、「アジアと国際社会の自由、平和、繁栄の増進において、中国の役割が非常に重要だ」と強調した点も微妙だ。これは中国に「普遍的ルール」の順守を遠回しに要請したものとみられる。

 サプライチェーンなど経済分野でも習主席は強硬な態度を示した。中国官営の「中国中央テレビ」(CCTV)は、習主席が「グローバル産業網とサプライチェーンの安全と安定、円滑な流れを共に保障しなければならない。経済協力を政治化し、汎安保化することに反対すべきだ」と述べたと報じた。習主席はさらに「(韓中)二国間自由貿易協定(FTA)の(2段階)交渉を加速化し、先端技術製造業、ビッグデータ、グリーン経済などの分野の協力を深め、国際自由貿易体系を共同で守護しなければならない」と付け加えた。半導体サプライチェーン協議体(CHIP4)をはじめ、対中国封鎖のために米国が主導する多国間協議体への参加に対して向けられた発言とみられる。これはまた、13日に韓米日首脳が北朝鮮だけでなく中国に対する牽制を鮮明にした「インド太平洋における韓日米3カ国パートナーシップに関するプノンペン声明」への強い反感を示したものとも言える。3カ国首脳は、サプライチェーンの強化などに向けた韓米日経済安保対話の新設とインド太平洋経済枠組み(IPEF)における協力の強化を声明に盛り込んだ。

 習主席は「中国は韓国と共に中韓関係を維持発展させ、主要20カ国など多国間プラットフォームでの意思疎通と協力を強化すると共に、真の多国間主義を共に作り上げ、世界により多くの肯定的なエネルギーと安定性を提供することを望んでいる」とし、「真の」多国間主義を強調した。これは中国側が米国の対中国圧迫戦略を「保護貿易」と「一方主義」と批判する時に主に登場する用語だ。韓国の対外政策基調が急速に米国寄りになっていくことについて、習主席が尹錫悦政権を遠回しに批判したものとみられる。

 両首脳は互いに訪問を要請した。大統領室は「習主席はこれまで新型コロナウイルス感染症のパンデミックで韓国を訪問できなかったが、新型コロナの状況がある程度落ち着けば、尹大統領の訪韓招請に喜んで応じるとし、互いに都合の良い時期に尹大統領が中国を訪問することを希望した」と伝えた。ただし、解釈によっては習主席自身が訪韓するよりは尹大統領に訪中することを要請したともとれる。習主席の訪韓は、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2014年7月が最後。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代は文大統領の訪中があっただけで、習主席が訪韓したことはなかった。尹大統領と習主席は、両国の若い世代間の交流拡大を通じた歴史、文化をめぐる意思疎通を強化することで意見が一致した。

 25分という短い時間のため、両国の対立要素になっている在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備で浮き彫りになった外交的対立など、残りの2国間懸案については具体的な議論ができなかったものとみられる。直近の2019年12月、北京で開かれた文在寅大統領と習主席の首脳会談は、55分の会談と80分の昼食会など2時間以上続いた。

チョン・インファン記者、北京/チェ・ヒョンジュン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梨泰院惨事の遺族たちは、同意のないリスト公開に反発した。犠牲者のK君(17)の父親の叔父のチョン・インソンさん(62)は「遺族は政府に真の謝罪と真相究明を要求しているが、・・・

2022-11-16 09:13:18 | 韓国を知ろう
 

梨泰院惨事の犠牲者リストを無断公開…

遺族「もう一度傷つけられる」反発

登録:2022-11-15 09:46 修正:2022-11-15 12:59
 
「市民メディア・タンポポ」リスト公開 
遺族「改めて傷を与えること」 
キム・スンソプ教授「誰の位置からの正義なのか、一度考えて」
 
 
2日午前、「梨泰院惨事」現場近くのソウル龍山区梨泰院駅1番出口に設けられた追悼空間に犠牲者を追悼する犠牲者の写真と追悼文、菊などが置かれている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の新生インターネットメディアが梨泰院(イテウォン)惨事被害者のリストを遺族の同意なしに公開し、物議を醸している。

 14日、インターネットメディア「市民メディア・タンポポ」は、遺族の同意なしに梨泰院惨事の犠牲者155人のリストをホームページに掲示した。この報道で同メディアは「犠牲者を匿名の陰に埋もれさせ続けることで波紋を縮小しようとすることこそ、むしろ災害の政治化であり、政治工学だ。名前だけでも公開することが真の哀悼と責任究明に寄与する道だと判断する」とし「遺族協議体が構成されておらず名前のみの公開も遺族に同意を得られなかった点に対しては深く了解を求める」と表明した。

 梨泰院惨事の遺族たちは、同意のないリスト公開に反発した。犠牲者のK君(17)の父親の叔父のチョン・インソンさん(62)は「遺族は政府に真の謝罪と真相究明を要求しているが、この時点で名簿を公開することは遺族にもう一つの傷を与えることになる」と話した。また、別の遺族は「追悼するのは良いが、遺族の同意なしに名前が上がってきたので当惑した」と話した。

 セウォル号の遺族であるチョン・ミョンソン4・16民主市民教育院長は本紙に対し「セウォル号惨事でも遺族の同意なしに犠牲者の遺影などが出て、自分の孫が犠牲になったことを知らなかった祖父母が大きなショックを受けるということがあった。遺族の同意なしに犠牲者リストを公開することは、犠牲者の名誉を汚したり遺族のトラウマを刺激する恐れがあるため、国民の知る権利だと主張するなら受け入れがたい」として「遺族の意見が最も重要だ」と述べた。

 政界と市民社会からも批判の声が出た。国民の力のパク・チョンハ首席報道官は、名簿公開は「明らかな2次加害」だと批判し「法的検討や対応策も考えうる」と答えた。共に民主党のアン・ホヨン首席報道官も「同意なしにこのようなリストが公開されるのは適切ではないと考える」と話した。

 民主社会のための弁護士会(民弁)「10・29惨事」真相究明および法律対応タスクフォース(TF)は、この日声明を出し、「遺族の同意のない名簿公開に深い憂慮を表わす。名簿公開の撤回を要請する」と明らかにした。全国言論労働組合も、遺族の同意なしに犠牲者リストを公開したことに対して記事削除を求めた。

 セウォル号惨事の生存者などのトラウマを研究したソウル大学保健大学院のキム・スンソプ教授は、自身のSNSに「トラウマを経験した人たちにとって必要なのは、統制できないこと、望まないことは起きないという安定感」だとし「名前公開で遺族たちが得られるものが何なのか、私は分からない。もしその公開が社会正義を実践することだと考えるのなら、その正義が誰の位置から眺めた正義なのか一度考えてほしい」と書いた。

 「タンポポ」の関係者は本紙に「過去の大型惨事や災害において名簿公開で問題になったことはなく、ワシントン・ポストなど海外メディアは年齢と国籍まで公開する」と話した。ただし「倫理的な問題が全くないとは思わない。遺族の個別の要請がある場合は(名簿公開を)熟考する」と付け加えた。この関係者はリスト入手の経緯については「言えない」と話した。

 「市民メディア・タンポポ」は15日に正式創刊を控えたインターネットメディアで、今回の名簿公開は「市民言論ザ・探査」と共に進めたと明らかにした。

パク・スジ、コ・ビョンチャン、クォン・ジダム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする