マイワシはニシン、カタクチイワシと共にニシン目に属する海水魚。主に水温11~20.7度の海域に生息するため、冬は済州島海域で過ごし、春になると北上し、秋になると南下する。

2022-10-16 08:18:41 | 韓国を知ろう

鎮海湾で「マイワシ大量死」…出現も原因もミステリー

登録:2022-10-14 11:13 修正:2022-10-15 09:05
 
 
                                              大量の死んだマイワシ=昌原市/聯合ニュース

 「昨日きれいに回収して帰ったんだけど、今朝来てみたらまた死んだ魚で海がいっぱいになっていた。今日の午前だけで300キロの袋が9袋いっぱいになった。50年漁師をやっているが、こんなにひどいのは初めてだ」

 13日午後、慶尚南道昌原市馬山合浦区(チャンウォンシ・マサンハッポグ)の3・15海洋ヌリ公園の沖で死んだマイワシの回収作業をしていた漁船「ポンジン号」の船長、Rさんは「マイワシ回収作業を1週間手伝っているが、片付けても片付けてもきりがない。このままだと南海のマイワシがいなくなってしまうかもしれない」と苦笑いした。

 マイワシの大量死が初めて観察されたのは先月30日、昌原市馬山合浦区の海洋ドラマセット場の沖合だった。マイワシの大量死はその後、近くのトマン港、タグ港、馬山人工島、3・15海洋ヌリ公園など、鎮東(チンドン)湾と馬山湾の沿岸全域に広がりつつ、13日になっても続いている。昌原、固城(コソン)、巨済(コジェ)に囲まれた鎮海(チンヘ)湾の最奥の海域で、14日間にわたってマイワシが謎の集団死を遂げているのだ。

 
 
13日、慶南昌原市馬山合浦区の3・15海洋ヌリ公園の沖が死んだマイワシであふれている。ここでは今月2日から死んだマイワシの回収作業が続いている=昌原市提供//ハンギョレ新聞社

 この日までに同沿岸で回収されたマイワシは176トンを超える。国立水産科学院は死んだマイワシについて「体長14~16センチ、重さ20グラムほどの成魚」と判定した。死んだマイワシの数を数えるのは事実上不可能だが、回収量から考えて880万匹を超えると推定される。韓国でこれまでに報告されている魚の大量死に比較事例がないほど大きな規模だ。軍部隊と市民団体の助力まで受けて回収作業を行っているが、翌朝には死んだマイワシが海を白く覆う。

 昌原市は、「マイワシの大量死」発生初期には、回収した死んだマイワシを肥料工場に送っていた。しかし腐臭に対する苦情が相次いだため、今は焼却場に送って廃棄している。国立水産科学院と昌原海洋警察署はマイワシの大量死の原因を調べている。調査結果が出るのは10月24日以降になる予定だ。

 
 
鎮海湾で大量死したマイワシ。国立水産科学院は死んだマイワシについて「体長14~16センチ、重さ20グラムほどで、孵化して1年ほどたった成魚」と判定した=チェ・サンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「マイワシの大量死」が半月近く続いていることから、原因をめぐってはあらゆる推論が飛び交っている。地震の前兆現象だという怪談まで広がっている。真っ先に言及された仮説は「水質汚染説」だ。しかし昌原市の調査の結果、水質には問題がないことが確認された。実際に「マイワシの大量死」発生5日前の先月25日には、3・15海洋ヌリ公園沖で水泳大会が開かれている。海水浴場の基準を満たすくらい水質は良いということだ。

 漁師が死んだマイワシを捨てたという推測も出ていた。水産資源管理法は、体長が20センチ以下のニシンはとることも売ることも禁止しているが、マイワシをニシンと誤認した漁師民が捕まえたマイワシを丸ごと海に捨てたのではないかというのだ。ニシンの幼魚とマイワシは区別が難しく、昌原市も「マイワシの大量死」初期には死んだ魚をニシンと発表していた。

 だが漁師が捨てたと考えるには死んだマイワシの量が多すぎるうえ、事件発生から半月たっても漁師がマイワシを海に捨てる姿は一度も目撃されていないため、「漁民マイワシ投棄説」も説得力は高くないというのが衆論だ。

 溶存酸素量の少ない水塊を指す「貧酸素水塊」原因説も提起されている。実際に「マイワシの大量死」発生直後には、近隣海域で貧酸素水塊が発見されている。だが、貧酸素水塊のせいなら発生海域の魚介類などの様々な水中生物が死んでいるはずで、マイワシのみが死んでいることは説明が難しい。

 国民の力のイ・ダルゴン議員(慶尚南道昌原市鎮海区選出)が海洋水産部から提出を受けた資料によると、この5年間に慶尚南道で発生した貧酸素水塊による被害規模は151億9000万ウォン(約15億7000万円)に達するが、被害魚種はカキ、ムール貝、ホヤ、エボヤなどの付着性のものだけだった。貧酸素水塊は自由に移動する魚にとって脅威ではないということだ。

 
 
13日、慶南昌原市馬山合浦区の3・15海洋ヌリ公園沖が死んだマイワシであふれている。ここでは2日から死んだマイワシの回収作業が続いている=昌原市提供//ハンギョレ新聞社

 大規模なマイワシの群れのせいで溶存酸素の不足現象が発生した可能性も提起されている。2011年3月8日、米カリフォルニア州南部のレドンドビーチで250万匹のマイワシが死ぬという出来事があった。一度に非常に多くのマイワシが狭い海域に集まったことで海水の溶存酸素が不足し、大量死が発生したという研究結果が発表された。今回の「マイワシの大量死」は当時の状況と似ている。しかしこの仮説は、大規模なマイワシの群れが狭い鎮海湾になぜ押し寄せたのかという新たな疑問を生む。

 国立水産科学院南東海水産研究所のイム・ヒョンジョン所長は「マイワシが大量死したのも特異だが、大規模なマイワシの群れが鎮海湾に入ってきたということ自体が非常に特異な現象だ。今のところ疾病、水質、水温、汚染、貧酸素水塊など、あらゆる可能性を考慮して調査している」と述べた。昌原市のキム・ジョンムン水産課長も「これほど大規模な集団死は国内で初めて。時間がかかっても徹底的かつ精密な調査が必要だと思う」と語った。

 マイワシはニシン、カタクチイワシと共にニシン目に属する海水魚。主に水温11~20.7度の海域に生息するため、冬は済州島海域で過ごし、春になると北上し、秋になると南下する。最大で体長25センチまで育つが、孵化して1年後に15センチになると、2~4月に朝鮮半島南岸で産卵する。

チェ・サンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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