竹やササの一種であるスズタケは、数十年~百数十年の周期で一斉に花を咲かせ実をつけた後に枯死する。なぜこのように独特の生活史を示すのかは謎だが、スズタケが大量の種をつけると、それを餌に・・

2022-10-03 10:13:44 | 韓国を知ろう
 

120年に一度花と実をつけるスズタケ…

野ネズミたちには「世紀の食卓」

登録:2022-09-17 09:36 修正:2022-09-17 11:19
 
[アニマルピープル] 
日本と韓国で2010年代に開花…日本、野ネズミを研究 
「スズタケが開花する時、野ネズミが繁殖」伝説のような話を立証 
密度が最大10倍以上増加、開花翌年も続く
 
 
スズタケは120年周期で花を咲かせ一斉に枯死する。理由は未解明だが、明らかなのは野ネズミの宴が起きるという事実だ。写真は2015年に雪岳山で一斉開花したスズタケ=チョ・ホンソプ記者//ハンギョレ新聞社

 竹やササの一種であるスズタケは、数十年~百数十年の周期で一斉に花を咲かせ実をつけた後に枯死する。なぜこのように独特の生活史を示すのかは謎だが、スズタケが大量の種をつけると、それを餌にする野ネズミが大発生するという研究結果が出てきた。

 名古屋大学の梶村恒教授ら同大学の研究チームは、2017年に頂点に達した日本のスズタケの一斉開花が、森林性の野ネズミの個体群の大量発生につながる現象を確認したと、科学ジャーナル「生態的過程(Ecological Processes)」最新号に掲載した論文で明らかにした。

 
 
スズタケが一斉に開花すると野ネズミが増え、木や農作物を害し伝染病を広げるという話は、古くから言い伝えられていたが、実際に調査することは極めて困難だ=マツシタレイコ氏提供//ハンギョレ新聞社

 竹の開花は非常に長い周期で起きるため、生態の影響は調査が難しい。日本では2010年代に入って全国各地でスズタケが花を咲かせ始めたが、これは120年ぶりのことだった。

 幸運なことに、研究者らは愛知県の大学の研究林で2011年から野ネズミの個体群の生態を調査しており、ちょうどそこでスズタケが一斉開花し、野ネズミの個体群が開花の前後でどう変化していくのかを調査できた。梶村教授は同大学の報道資料で、「竹が開花すると野ネズミが大発生とするという事実は昔から伝説のように知られていたが、今回これを解明した」と述べた。

 
 
スズタケが開花して枯死し栄養価の高い実がなると、近隣の野ネズミが押しよせ繁殖し大発生する過程=鈴木華実ほか(2022)「生態的過程(Ecological Processes)提供//ハンギョレ新聞社

 調査地には3種類の野ネズミが生息していたが、当初から個体数が極めて少なかった1種類を除く残り2種類のアカネズミとヒメネズミは、スズタケが開花し栄養分の豊富な種をつけると急増した。

 アカネズミの密度は、2017年の前年度に比べ10倍以上増えた。研究者らは論文で「周辺地域のネズミ個体が一斉結実地へ移入し、そこで繁殖したことで大発生を招いた」と明らかにした。

 普段はドングリなど1年周期の木の実を食べる野ネズミは、翌年には個体数がふたたび元に戻る。しかし、スズタケの開花時の野ネズミは2年が経過しても増加した状態を維持した。

 第一筆者である同大学の博士後期課程学生の鈴木華実氏は「落下種子が、堅果などとは比べ物にならないくらい莫大な数で、林床に長期間残存するため」だとし、「メスが多くを占め」ていることは「一斉結実によって、繁殖メスのコンデションが平時に比べて良好になったことを示唆して」いると述べた。

 
 
スズタケの開花で個体群の密度が10倍以上増えたアカネズミ=ウィキメディア・コモンズ提供//ハンギョレ新聞社。

 竹は寿命が長いのになぜ一生に一度花を咲かせて枯死するのかは、昔から謎だ。有力な仮説は、野ネズミなどの捕食者が全部を食べられないほど多量の種をつけ、一部を生き延びさせるという「捕食者飽食仮説」だ。

 普段は地下茎を通じての複製(クローン)により同じ遺伝子の個体を増やしていき、一定周期で開花し有性生殖をするという戦略だ。今回の研究は、この仮説を裏付けるものとみられる。

 韓国でも日本とほぼ同じ時期にスズタケが一斉開花した。江原大学生命科学科のチョン・ヨンスク教授チームは、スズタケの全国的な同時開花現象が2013年に始まり2015年に頂点に達したとして、開花を触発した要因は、2014年と2015年に相次いだ春の日照りにより累積されたストレスだという仮説を提示した。

 
 
                       2015年に一斉開花した雪岳山のスズタケ=チョ・ホンソプ記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、順天大学のパク・ソッコン教授と釜山大学のチェ・ソンヒョン教授は「スズタケの一斉開花は韓国内だけでなく日本でもほぼ同時に発生した」とし、「これほど遠く離れていたり全く異なる成育環境で育っても、同一年齢の個体は同時に一斉開花するということは、環境ストレスでは説明できない」と、2017年の「韓国環境生態学会誌」に掲載した論文で明らかにした。

 パク教授とチェ教授は、環境ではなく遺伝的な素因がカギだとしたうえで、「生物時計によって周期的に発現する特定遺伝子が一斉開花の触発の原因」だと主張した。また、「広範囲にスズタケが花を咲かせた後に枯死しても一部は生き延びる」とし、「一斉開花がスズタケの生存の戦略上に発生した現象である可能性が高い」と明らかにした。

引用論文: Ecological Processes, DOI: 10.1186/s13717-022-00385-x

チョ・ホンソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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