ロシアのウクライナ侵攻によって住み慣れた土地を離れているのはウクライナ人だけではない。多くのロシア人も国際社会の制裁と孤立の深化を懸念し、外国に脱出している。

2022-03-11 12:32:05 | ロシア帝国主義とアメリカ帝国主義
 

「まかり間違えばここでは身動きが取れなくなるかも」…

国を離れるロシア人たち

登録:2022-03-11 02:48 修正:2022-03-11 06:37
 
国際社会の制裁、孤立、統制強化を懸念 
脱出した市民も「帰るのは怖い」
 
 
モスクワの市民たちが9日、飛行機のチケットを手に入れるためターキッシュ・エアラインズのオフィスの前に並んでいる=モスクワ/タス・聯合ニュース

 ロシアのウクライナ侵攻によって住み慣れた土地を離れているのはウクライナ人だけではない。多くのロシア人も国際社会の制裁と孤立の深化を懸念し、外国に脱出している。ウォール・ストリート・ジャーナルが9日に報じた。

 このようにロシアを離れる人々は、主に専門職の従事者や経済的余裕のある人々だ。彼らは、国際社会の制裁がますます強化されれば、ロシアで必要な物を手に入れることが難しくなるなど、経済的困難に陥る恐れがあると憂慮している。

 また、ロシア当局の市民への統制がさらに強化されれば、ロシアでは日常の自由も制約されるかもしれないと懸念している。ロシア議会は先週、意図的にウクライナ戦争について「偽」情報を広めれば、最高15年の刑に処せるとする法を可決している。

 一方、ロシアを離れる機会は、国際社会がロシアの航空分野にも制裁を実施していることで急激に減っている。欧州連合(EU)や英国、カナダなどは、ロシアの航空機の領空通過を禁止しており、これに対抗してロシアもこれらの国々の航空機のロシア領空への接近を禁止している。このためロシア人の間では、今後は外国への出国がさらに難しくなりうるという懸念も広がっている。

 ウクライナ戦争勃発後にロシアを去った人々の正確な数は確認が難しい。しかし、隣国のロシアからの旅行客の数から概算することができる。

 ロシアと国境を接するフィンランドでは、国境を越えてやって来たロシア人は、昨年2月の2万7000人から今年の2月には4万4000人に増えている。フィンランド行きの列車とバスのチケットは連日売り切れ。フィンランド国鉄は、ヘルシンキとサンクトペテルブルクを結ぶ列車便を増やす計画を明らかにしている。

 ビザ免除国や、入国手続きが緩いトルコやジョージア、アルメニアなどへ向かうロシア人も多い。ジョージア経済省は、この数日間に入国したロシア人の数を2万から2万5000人と発表しており、イスラエルはウクライナ戦争以降、1400人のロシア人に移民ビザを発給している。

 50代のロシア人男性は最近、列車でフィンランドのヘルシンキにやって来た。この男性は「妻にはインスリンが必要だが、西側の制裁でインスリン供給に問題が生じるのではないかと心配。ドイツに行って、そこに留学している娘としばらく過ごそうと思う」と語った。

 サンクトペテルブルクでの戦争反対デモで逮捕された映画俳優兼監督は、釈放されるやいなや荷物をまとめ、幼い息子と共にアルメニアへと向かった。彼は「アルメニア到着後、警察がサンクトペテルブルクの自宅を訪ねてきていたということを聞いた。ここで長い間過ごす経済的余裕はないが、帰るのは恐ろしいし、どうすればよいのか分からない」と述べた。

 最近フィンランド行きの列車で国境を越えたジュリア・ザハロワさん(36)は「父は『行きなさい。まかり間違えばここでは身動きもできなくなる恐れもある』と口癖のように言っていた。こうした状況では、ロシアでは子どもを産みたくない」と語った。

パク・ピョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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