こうした雰囲気に乗じて自民党の極右議員らは「軍拡」の声を高めている。これまでタブー視されてきた「核共有」発言まで出た。安倍晋三元首相は最近フジテレビの番組に出演し、・・・・

2022-03-05 20:39:38 | これが岸田・元安倍内閣の本質

[特派員コラム]

日本の軍備拡張の名分提供したウクライナ戦争

登録:2022-03-05 05:14 修正:2022-03-05 08:16
 
キム・ソヨン|東京特派員
 
 
ウクライナの首都キエフ(現地読みキーウ)のテレビ送信塔が今月1日(現地時間)、ロシア軍の爆撃で炎上している=キエフ/ロイター・聯合ニュース

 先月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。日本でも放送や新聞、ソーシャルメディアを通じてウクライナの状況がリアルタイムで配信されている。写真や動画を通じて目にしながらも、信じがたい光景だ。ウクライナ戦争の可能性が提起された数週間前までも、周りの日本人の大半の反応は「まさか」だった。予想は無残にも破れ、戦争は1週間以上続いている。ロシアのウラジ―ミル・プーチン大統領がウクライナを侵攻するために1年以上綿密に計画を立てたという英国の著名な研究所の分析も出ている。

 ウクライナを見守る日本の状況はかなり複雑だ。ウクライナの戦争は「脅威」であり「不安」であり、また軍備拡張のための「名分」となっている。岸田文雄首相はウクライナ侵攻に対し「ロシアによる侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、ヨーロッパのみならず、アジアを含む国際社会の根幹を揺るがす行為」だと強く非難した。言葉だけにとどまらなかった。 日本は、先進7カ国(G7)と歩調を合わせ、プーチン大統領の資産凍結などロシアに対する制裁に素早く乗り出した。日本は、同じ東アジアにいる韓国よりもウクライナ事態に積極的に対処している。

 日本はクリル諸島(千島列島)南端の4島(日本では北方領土と呼ぶ)問題など、ロシアと解決しなければならない懸案があるため、関係がこじれることにはこれまで慎重な態度を示してきたが、今は状況が違うと判断したようだ。クリル諸島問題に進展がみられないことも影響を及ぼしたかもしれないが、ウクライナ事態が自国の外交と安全保障に波及力が大きいと認識している。

 ロシアの力による一方的な現状変更が認められると、国際秩序を揺るがし、中国にも影響を与えかねないとみているのだ。日本は、米中戦略対立の最前線である台湾海峡と中日間の領土紛争地域である尖閣列島(中国名・釣魚島)で、中国と対峙している。ロシアのウクライナ侵攻は、中国も軍事行動に乗り出しかねないという恐怖を助長する。

 日本国民は不安がっている。日本経済新聞が先月25~27日に行った電話世論調査(回答者992人)の結果、回答者の77%がロシア侵攻の影響で中国が台湾に武力を行使する可能性があると見ていることが分かった。全ての年代で懸念が高かった。

 こうした雰囲気に乗じて自民党の極右議員らは「軍拡」の声を高めている。これまでタブー視されてきた「核共有」発言まで出た。安倍晋三元首相は最近フジテレビの番組に出演し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部が採択している「核共有」政策を日本も議論すべきだと述べた。核共有とは、米国の核兵器を自国領土内に配備し、共同運用することで、抑止力を拡大する戦略だ。これに同調する自民党内の一部の極右議員らもいる。一方では、ウクライナ戦争後、日本の負担増加を懸念する声もあがっている。軍事・経済分野で浮上する中国、権威主義国家である中国とロシアの緊密な協力、国際社会で米国の影響力低下で、日本が引き受けるべき役割が多くなるということだ。

 直ちに「核共有」を進めるのは簡単ではないが、日本政府が今年積極的に推進している「敵基地攻撃能力」の保有と国防予算の拡大には弾みがつくものとみられる。事実上の「先制攻撃」を意味する日本の敵基地攻撃は中国と北朝鮮を想定しており、朝鮮半島に対する軍事的緊張感は大きくならざるを得ない。東アジアにも平和より武力衝突の可能性が一層高まっている様子だ。ウクライナ戦争が一日も早く平和的に解決されるのは、私たちが住んでいる東アジアにも重要なことだ。

 
//ハンギョレ新聞社

キム・ソヨン|東京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1033374.html韓国語原文入力:2022-03-05 02:31
訳H.J
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台北と北京、ソウルと東京の市民たちが帝国主義戦争の危険をともに防ごうと街に出てこそ、平和は回復する。モスクワとベルリンに集まった数十万人の反戦デモは、東アジアの平和とも無関係ではない。

2022-03-05 20:34:33 | 世界平和を実現するために

[寄稿]東アジアに広がった反戦デモとドイツの軍備増強の逆説

登録:2022-03-05 09:58 修正:2022-03-05 11:39
 
[ハンギョレS]ホン・ミョンギョの異床同夢 
キエフの危機と東アジアの平和 
 
ウクライナの影響…台湾「中国への警戒強化」 
中国も「現状維持」のため複雑な本音 
市民社会では国境を超えて「平和」を要求 
時ならぬ軍備増強の声に警戒すべき
 
 
先月27日(現地時間)、ドイツ・ベルリンのブランデンブルク広場の前で、ロシアのウクライナ侵攻に反対する市民が道を埋め尽くしている/EPA・聯合ニュース

 ウクライナ戦争が東アジアに及ぼす影響は少なくない。ロシアがミサイルを発射する前日の2月23日、台湾の蔡英文総統は軍に「警戒態勢を強化せよ」と指示した。それでいながら、蔡総統は最近になってロシア・ウクライナ情勢を中国・台湾に例えるメディアに向かって「二つの状況は根本的に違う」と述べた。ウクライナ戦争が台湾社会に及ぼす政治的影響を無視はしないが、すぐにでも中国が侵攻してくるという見解に対しては警戒するという立場だ。ただし、蔡総統は継続的に兵器輸入を増やしている。今年の台湾の国防予算は17兆3千億ウォンで過去最大規模だ。

 昨年末以降、ウクライナ周辺地域にロシアが軍事力を集中させるなど緊張が高まると、台湾ではウクライナと台湾を比較する見解が出てきている。中華圏の保守主義者たちは、米国が中国に関心を集中するためにウクライナには関与できないだろうとか、ウクライナに関与しない場合は中国の地政学的な脅威について深刻には受け取らないだろうと主張する。特に、国民党などをはじめとする中国との関係回復を主張する政治勢力は、米国がウクライナ情勢に介入しないのと同様に、台湾に対してもそうするだろうとみている。このような主張は、中国との関係回復が必要だという主張を後押しする。遠くウクライナで惨劇が始まった状況でも、自分の立場の有利・不利ばかりを気にしているということだ。

複雑化した中国・台湾

 ウクライナ侵攻のような国際情勢の激変に対する大衆の認識の変化は、政治にも大きな影響を及ぼす。そのため、中国共産党による強権統治を批判しながらも、台湾社会の非民主性や漢族中心性を批判してきた社会運動団体「ニューブルーム」は、ウクライナ戦争勃発後、まるで中国がすぐにでも台湾に侵攻してくるかのように騒ぐ政治勢力に批判的だ。国際情勢の激変を悪用し、半世紀以上独裁政権を保った保守勢力が羽振りを利かせかねないからだ。

 中国政府も本音は複雑だ。王毅外相は「すべての国の主権・独立・領土を保全することは、国連憲章に基づいて作られた国際関係の基本原則であり、ウクライナも例外ではない」としながらも、「2015年に締結されたミンスク協定(ウクライナ政府とドンバス地方の反政府軍との間で締結)がウクライナ事態解決に向けた唯一の出口だ」と述べた。ロシアと近い関係を維持しつつ、事態を見守るという態勢だ。中国がNATOの東進に対しては批判しながらも、ロシアの侵略行為を遠まわしに批判していることは、原則ではなく実利が中国政府の判断基準であることを傍証する。このように中国が中途半端な態度を見せるのは、ロシアに対する歴史的不信があり、中央アジアの激変と欧州連合(EU)との関係悪化を望んでいないためだ。米国の対中圧迫が最大の関心事である習近平国家主席は、現状維持を最も好む。しかし、このような計算法は覇権競争の強化につながるだけだ。

 一方、東アジアで市民社会の反戦の声も拡大している。1日、台北に位置するロシア代表部前では、約160団体の台湾の社会運動団体とウクライナ人たちが共に戦争に反対する集会を開いた。この行動は今後も毎週金曜日に行われる予定だ。言論の自由が保障されていない中国でも、平凡な人々の反戦の声は少なくない。先月26日未明、ある北京市民はロシア文化センターの門前に赤いラッカースプレーで戦争を糾弾するメッセージを残した。沈黙する多数は、バランスの取れた視点でこの戦争に反対している。

 国境を超えた反戦運動は平凡な人々が選択できる最後の砦だ。戦争が起こり、どちらか一方の勝利で終わったとしても、それは市民の勝利とは言えない。戦勝国であれ敗戦国であれ、平凡な人々の死は報われない。

 米国、中国、ロシア、NATOなどの帝国主義の競争が激化すれば、世界は再び戦争という過ちを繰り返す危険性が高い。20世紀に起きた二度の世界戦争が人類を抹殺寸前に追い込んだとすれば、来るべき世界戦争は人類そのものの破滅をもたらすだけだ。それは、海を渡った遠くで起こることではなく、私たちが愛する人々の死そのものだ。

 ベトナムやイラク、アフガニスタン戦争が勃発した際、世界の市民が通りに出て「戦争反対」を叫びながら米国とロシアの帝国主義政策を批判したのは、決して無気力な両非論でも、現実と無関係な原則論でもなかった。それはむしろ、世界各国が民族主義とショービニズムに陥ることなく、ともに戦争反対の声を上げる基盤を提供する。

 ロシアのプーチン大統領がキエフ(現地読みキーウ)に向けて自国軍の戦車を進撃させると、ロシアでは平和と民主主義を支持する市民による反戦デモが続いた。2月24日から3月1日まで主要都市で数十万人の市民が戦争反対の声をあげ、約7千人が逮捕されたが、市民不服従は続いている。平和を愛するという点で、ウクライナとロシアの平凡な人々はひとつだ。

時ならぬドイツの軍備増強に憂慮

 こうした状況で、NATOの主要メンバーであるドイツ政府は、第2次世界大戦後から概ね守ってきた平和主義外交路線を破棄した。ドイツのオラフ・ショルツ首相は先月27日、国防費を国内総生産(GDP)の2%以上にまで引き上げ、「兵器の現代化に1千億ユーロを投入する」と明らかにした。さらに、対戦車兵器1千丁と軍用機撃墜のための地対空ミサイル「スティンガー」500機をウクライナに供給することを決めた。ドイツが軍備を増強し、兵器を支援すれば、ロシア市民の自発的な反戦運動は打撃を受けざるを得ない。真っ向から対立しているロシア内の反戦世論が武力侵攻に賛成する方向に傾けば、プーチン大統領にとっては非常に嬉しいことだろう。2020年の改憲で自分の出馬履歴を削除したプーチンは、次の大統領選挙にまたも出馬することが予想されるが、反戦デモは政治の構図を覆す要因になり得る。プーチンの狂気はNATOの東進では止まらなかった。EUの兵器増強の前でも同じだ。むしろ状況を極端へと押い込むだけだ。

 東アジアも同様だ。私たちができる最善のことは、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備などの無分別な兵器増強を支持したり、K防衛産業を称賛する詐欺師に投票したりすることではない。台北と北京、ソウルと東京の市民たちが帝国主義戦争の危険をともに防ごうと街に出てこそ、平和は回復する。モスクワとベルリンに集まった数十万人の反戦デモは、東アジアの平和とも無関係ではない。毎週金曜日の夕方、ロシア大使館前で開かれる反戦集会に注目しなければならないのもそのためだ。

ホン・ミョンギョ|東アジア研究活動家。プラットフォームC活動家 。東アジアの話を書く。タイトルには、それぞれの社会の違いを理解し同じ夢を目指す(異床同夢)という意味が込められている。理想を抱く東アジアの夢(理想東夢)という意味も込められている。

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1033618.html韓国語原文入力:2022-03-05 08:59
訳C.M
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「2年前までユース代表だったエフゲニー・マリシェフが、ハルキウでの戦闘中に死亡した。深い哀悼の意を表し、永遠に記憶する」と明らかにした。2002年生まれのマリシェフは軍に入隊して服務中

2022-03-05 07:23:07 | ロシア帝国主義とアメリカ帝国主義

輝く20歳を目前にして…

バイアスロンの元ウクライナ代表が戦闘中に死亡

登録:2022-03-03 03:08 修正:2022-03-03 08:34
 
20歳の誕生日を2カ月後に控え、ハルキウ戦闘で 
ユース代表チームでプレー…バイアスロン連盟「深い哀悼」
 
 
ロシア軍との戦闘中に死亡したエフゲニー・マリシェフ。ウクライナバイアスロン連盟のフェイスブックより//ハンギョレ新聞社

 バイアスロンのウクライナ元ユース代表選手が、ロシア軍との戦闘中に死亡した。

 「マルカ」などの外国メディアによると、ウクライナのバイアスロン連盟は1日(韓国時間)に報道資料を発表し、その中で「2年前までユース代表だったエフゲニー・マリシェフが、ハルキウでの戦闘中に死亡した。深い哀悼の意を表し、永遠に記憶する」と明らかにした。2002年生まれのマリシェフは軍に入隊して服務中で、満20歳の誕生日を2カ月後に控えていた。

 バイアスロンは、クロスカントリースキーと射撃を組み合わせた冬のスポーツ競技。

キム・ヤンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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