労働や福祉などの専門家の非常対策委員を前面に
多重格差緩和のための「福祉モデル」も開発
未来統合党のチュ・ホヨン院内代表とキム・ジョンイン非常対策委員長内定者が22日午後、ソウル鍾路区にあるキム氏の事務所で取材陣の質問に答えている//ハンギョレ新聞社
長い難航の末に発足することになったキム・ジョンイン非常対策委員会が、未来統合党の刷新に向け、「青年中心実務主義路線」へと舵を切ることを決めた。非常対策委の人選も青年、外部専門家、初当選・2選グループを前面に立て、刷新の方向性を確実にする方針だ。
統合党のキム・ジョンイン非常対策委員長に近い人物は24日、ハンギョレの電話取材に対し「非常対策委に青年、外部の人材、初当選・2選議員を参加させることを検討している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以降の新たな状況に適応できる政党を作るため、人選段階から苦心している」と述べた。
非対委のコンセプトは「専門性」と「青年」に集約される。COVID-19大流行で脅かされている雇用と民生問題を解決するため、労働や福祉などに専門性を持つ40代以下の外部の人材が前面に配置される見通しだ。また党内では、初当選・2選グループが推薦した人物の中から斬新さを重視して委員の人選を進める予定だ。80代のキム・ジョンイン委員長と重鎮級のチュ・ホヨン院内代表(5期目)、イ・ジョンベ政策委議長(3期目)を除けば、若くて改革的な人物で非対委を埋めるという意味だ。委員数は9人が有力だという。
政策面でも革新か保守かを超えた実務主義路線が前面に押し出される予定だ。特にCOVID-19拡散以降に深まっている所得、資産、教育、介護の両極化問題の解消に焦点を当てる見通しだ。キム委員長側は「革新、保守といえばぱっと思い浮かぶ政策基調があるが、COVID-19拡散以降、こうした固定的な認識の枠組みを全面的に見直すべき時期に来ている。全国民雇用保険、基本所得など、すべての立場に変化が生じる」と述べた。伝統的な市場経済論から脱し、多重格差を補完する制度的装置を作ることで協力していくという意味だ。特に韓国式福祉制度の柱である健康保険(朴正煕(パク・チョンヒ)政権)と基礎年金(朴槿恵(パク・クネ)政権)が両者とも保守政権で導入されているだけに、次期大統領選で話題になるであろう「ポストコロナ福祉モデル」を掲げる可能性が大きい。キム委員長はこの週末にウォン・ヒリョン済州道知事などの党内の改革グループ関係者と相次いで会談し、政策懸案について意見を交わした。
キム・ジョンイン非常対策委体制を選択した統合党も、過去とは異なる様子で刷新の意志を明らかにている。統合党は23日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領11周忌を迎えて発表した公式論評で「盧武鉉元大統領の挑戦精神、権威主義を打破するための努力、コミュニケーションに対する意志は、今の青年と国民に対する大きな手本となっている」とし、「故人の冥福を祈り、遺族のみなさまに深い哀悼の意を表する」と述べた。チュ・ホヨン院内代表も慶尚南道金海(キムヘ)の烽下村(ポンハマウル、盧武鉉元大統領が引退後に過ごした地)を訪問し、「盧前大統領の温かい人間味や気さくな人柄、開かれた考え方などを今も多くの国民が懐かしがっているようだ」と述べた。昨年の10周忌追悼式にはファン・ギョアン代表(当時)ら指導部全員が不参加だったことに比べれば、極端な党派主義から脱した統合の動きを示しているかたちだ。
統合党はまた、COVID-19克服のため、年末までに歳費の30%を寄付することにした。来月から年末までに、議員1人当たり1600万ウォン(約140万円)相当を寄付し、感染症の拡散に苦しむ社会的弱者たちと温もりを分かち合おうというのだ。統合党は先の当選者総会で、歳費の一部を寄付することで意見が一致した。チュ院内代表は「歳費の寄付は統合党の新たなスタートを伝える第一歩になる」とし「統合党の新たなスタートは弱者との同行、保守の大切な価値である共同体のための献身などになるだろう」と述べた。
ノ・ヒョヌン、チャン・ナレ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )