沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩491 問題 4の1 憂国

2013年11月20日 23時43分14秒 | 政治論

 間もなく11月25日、憂国忌だが、語るに落ちた現今日本の有り様を眺めると、この、一時代の寵児が「憂えた」日本国の現状は、いよいよ悪化の一途を辿り、始末に負えない惨憺たる実情に放置されている、と言う、半ば諦めに似た心境たらざるを得ないものがある。当時仙台の下宿で、貧乏学生が辛うじて所有していた、崩壊寸前のラジオから聞こえてきた臨時ニュースを伝えるアナウンサーの声で、東京は市谷の自衛隊駐屯地東部方面総監室バルコニーにあの独特の地声を張り上げて、かなりの長文になるアジ演説を打った三島由紀夫が、直後、弟子森田必勝と共に割腹して果てた、ということを知った。聞き取りづらいラジオからは「三島事件」、という扱い方で繰り返す声が途切れ途切れに聞こえていた。晩秋の東奥は時雨の宵闇に暮れいく時刻であり、万年床の、湿った布団にくるまった青年にとって空虚な私的空間はどこまでもうらぶれて、寒々とした気配に満ちていた。43年の後、喧しい論評の跡を振り返ると、言いえてないものがどうしてもある。紛い物の「グローバリズム」に覆われて、世界性は粉飾に満ち、恰も大東亜共栄思想に復権があるとでも言いたげに、安倍政権は時代錯誤な戦前的展開を再現しようとする。問題は日米安保体制にあり、憂うべきはこれにより失権している主体的「大和魂」のことに尽きる。戦後日本の堕落は、提携し得ない二国間関係を不健全に損ねた講和条約付帯義務にある。(つづく)

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。