安倍晋三が、いかに彼のアナクロニズムについて彼自身の政治的エゴイズムを貫こうとしても、彼が幻想的日米関係の中で、アジア的にも世界的にも、いよいよ孤立的立場にはまり込むスパイラルから逃れようもないことは、多くの識者が指摘していることで、この参議院選結果で自公政権大勝、安定政権確保に沸きかえろうが余り政治的実質性はないことを国民は承知しておく必要がある。
これはどういうことかというと、抑も反自公政権から生じた民主政権が無様に墜落し群小野党にばら撒かれたあと、本来望まれたはずの「政治主導」という正当性はどこに向かったか、なのだが、どこにもこれに見合った党派的表象がないという状態から、政治理念の喪失とその見返りとしての政治的ニヒリズムが大衆を覆っているという状態のわけで、この自動的に平準化した有権者の傾向は暫く如何ともしがたい状況で推移する。
これを政治的不毛と捉えるのは早計であり、むしろ「官僚主導」とはこういうことなのであって、「官僚」が陥っている似非世界観の誤謬性を払拭しない限り、誰ひとりこの国の鎖国的孤立による国家的凋落傾向に歯止めを加えることはできやしない。対米も対中も対北も外交は全て間違っているし、第一にこの国の戦後レジームを形成した張本人たる日米同盟が、なんの意味もないからくりにあることさえ周知されてないのだから、あらゆるグローバリゼーション化した現代政治状況のなかでは「開化」は到底不可能なことは目に見えている。(つづく)