沖縄県国頭郡東村高江は、沖縄本島の、県都那覇市等がある中南部からみて北部北端にあたり、所謂中南部の都市化整備傾向に対蹠する手付かずの亜熱帯動植物生息地帯で、通称「やんばる」、字義からすると「山原」と言われる自然豊かな樹林帯であるが、一方、所謂琉球島嶼全体(与那国石垣宮古といった八重山先島群島を含め)をユネスコ世界自然遺産に推奨する動きがある。
その詳細は沖縄県のホームページに依拠するとして、問題は上記「やんばる」におけるこれとは真逆の実情、米軍のジャングル軍事訓練(北部訓練場)に供されているばかりか、例の甚だ危険な欠陥機MV22オスプレイの格好の飛行訓練場にするため、そのヘリパッド建設(北部訓練場一部返還による代替施設)が急ピッチで行われているということだ。
その様子について日々詳細に報告するブログが、沖縄県北部今帰仁村出身の芥川賞作家目取真俊氏によるgooブログ「海鳴りの島から」内「高江の様子」で、工事実態はもちろん、高江区の住民、活動家、協力者、あるいは憂慮する識者、議員が連日「座り込み」的に工事中止要請、抗議、調査活動をしている様子が描かれている。(氏の文学上の作物に通底するものがなんであるか、本土人で半可通の筆者には未だに把捉困難だが、沖縄に関する歴史的な文献のいくつかを繙けばいくらかは推し量れるのかとも思ってはいる。)
現在ここで生じている自然破壊事実は、ヘリパッド工事によって引き起こされた土砂崩れによる生態系への悪影響という内容らしいが、当然ながら日常的に実施されている米軍軍事訓練自体が、全体として環境破壊につながっていることは誰の目にも明らかである。
つまり、ここでも米軍基地公害が貴重な人類的遺産に襲いかかっているという危惧の視点が必然的に据えられるということになろう。
こうしたところに見られる、沖縄における非戦反基地思潮のうねりとは別に、国家における国防意思を眺望すると、日本国は明瞭に米軍と自衛隊によって用心棒的に国土を守護しているというのだが、何げにこの事振りを鵜呑みにして安心しているとして、例えば尖閣をめぐり中国戦艦が近接して航行したり、ロシアの爆撃機が上空を掠めたりしているのに、米軍がこれを牽制する行動に打って出ることもないのを、全然「安心」できる状態として感じられるのだろうか。
あらゆる本土的傾向にみられる体制迎合的な言説には、「沖縄封じ込め」(非戦反基地傾向への嫌がらせ)論しか見当たらないし、実際軍事的戦略的要諦を持たないと暴露されている事実に目を向けない、これらの泡沫的軍国主義亜流たちの辟易する汚文が巷に跋扈している状態では、如何に軍事専門家が事詳細に国防論を展開しても、所詮眉唾物にしか映らないという次第。君らは本気で自分を守る気がないのだ(というより幻想的に国家安保体制を鵜呑みにしているということ)。奇妙な話、国際関係上の日本国の立ち位置はどう見ても客観性を喪失したその場しのぎの論議で決められている。(つづく)