犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

【日々是好日なり】「五人組帳前書」のこと

2022年09月22日 | 日々是好日なり
 古文書の会で配布された資料から。
 この「五人組」というしくみは、日本人の国民性に大いに影響したか。
 
差上申一札之事(差し上げ申す一札の事)

 五人組帳の前書きのはじめの標題である。
 一札は一通の書状のことで、身分の高い人に対して差し上げる書状についての文書である。 

「五人組」とは、
 江戸時代になりすぐの元和年間(1616-1624)に幕府や大名が始め、全国に広まった仕組みで、村内の家を何戸か組み合わせて組をつくった。五戸に決まったものでない。組で年貢納入や治安のために連帯責任をもたせた。
想像するに、
 村という集落が50戸から100戸程度であったのでこれを10分割して管理すれば、1組あたり5戸から10戸になる。各戸を家長が代表し、5戸組を「五人組」と呼んだのだろう。

「五人組帳」とは、
 組名、各戸の家長名を自筆で連名、連印した書面である。
「五人組帳前書」とは、
 五人組帳という書面の前に添えられる文書で、農民の守るべき事柄、いわば掟を記している。後に続く、「五人組帳」の各家長の自署は、ご法度を遵守しますと誓約することになる。

「差上申(差し上げ申す)」
 この書面は、毎年二通作成され、一通は領主に提出し、 一通は村役人が保存した。領主に提出したので、差し上げ申すという敬語を使った。

「五人組帳前書(天保7年〈1836〉)の一部の例」
 兼日被 仰出候通大小之百姓五人組を究置何事ニよら須五人組之内ニ而御法度相背候儀者不及申上悪事仕候もの有之候ハゝ其組ゟ早速可申上候若隠置脇ゟ申出候ハゝ其者ニハ品ニより御褒美被下五人組之もの名主共ニ曲事二可被 仰付旨奉畏候、、、、、(略)


【参考】
兼日(けんじつ):決まった日より前の日。「兼而(かねて)」との記述もある。「かねてより」の意味。
本百姓:大小の百姓に分けられる。
大百姓(おおびゃくしょう): 広い田畑を持っている百姓
小百姓(こびゃくしょう): わずかばかりの田畑を保有するだけの百姓
脇百姓(わきひゃくしょう):本百姓より低い身分の小農民。
曲事(きょくじ):法にそむいた者を処罰すること。処分。
曲事(くせごと):してはならない、けしからぬこと。
悪事(あくじ): 法や道徳にそむいた行ないあだ
あだ:恨み。
家抱(いえかかえ、かほう):江戸時代の主家の隷属した農民。主家から分与された土地(家抱地という)を耕作して、年貢・諸役は主家を通じて上納した。
前地(まえち):隷属身分の下層農民。
店(たな):店子(たなこ)。江戸時代の借家人。
判形(はんぎょう):符号風の略式の自署(サイン)で,判(はん),書判(かきはん),押字(おうじ)などとも。
名主(なぬし):江戸時代の村役人。村落の長として村政を統轄。組頭,百姓代と合せて村方三役。名主の呼称は主として関東で行われ,関西では庄屋と称した。
組頭(くみがしら):• 江戸時代の五人組の筆頭の五人組頭のこと。
百姓代(ひゃくしょうだい):百姓身分で、名主(庄屋)、組頭(年寄)と並ぶ村方三役のひとつ。名主と組頭に対する村の百姓たちの代弁者であり、名主の不正を監視する役目でもあった。名主と組頭が世襲か特定家系の持ち回りなのに対して、百姓代は村民の総意で選ばれるのが通例だった。(「ウィキペディア」より)
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