読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

水彩で秋の果物を描く

2019年11月11日 | 水彩画

◇ 定番ながら新鮮な果物

  
     clester  F4 中目

  先週の水彩画教室では秋の果物を描きました。
  昨年は栗が入っていました。りんご、ブドウ、柿は秋の果物の代表でしょう。レモンは?今年はまだ
 青いもののキンカンが入りました。ちなみに柿は我が家の庭で育った次郎柿です。枝付きが欲しいとい
 う幹事さんの希望に応えて、木に登って手折り持参しました。
  ステンレスの器がいまいちです。もっと丁寧に描かないといけないと反省しています。
                                      (以上この項終わり)

 

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吉川 英梨の『十三階の神』

2019年11月05日 | 読書

◇『十三階の神
   

               著者: 吉川 英梨  2018.7双葉社 刊

  


      サリン殺人事件のオウム真理教宗教団体をモデルにした新興宗教団体と警察庁
 公安部門との息詰まる闘い。アメリカ生まれのスパイサスペンスを思わせる痛快
 なテンポとスリルが小気味よい。刺激的なシーンが連続して起こるノンストップ
 活劇である。

  主人公は「公安のモンスター」と異名をとる黒江律子。巡査部長ではあるが、
 警察庁警備局警備企画課直轄諜報組織別名「13階」の「作業員」(エージェント
 =秘密工作員)の一人。腕扱きの作業員として、職務のためなら敵とのセックス
 も厭わないという猛者。本書でもR15を超える男女の際どい描写に目を剥いたが、
 アメリカの小説によく見られる読者サービスかと思ったがさにあらず。後々重要
 な意味を持ってくる伏線だった。
 
  サリン事件から22年。解散させられた教団から派生した新興教団の一つに警察
 庁公安から一人の男が潜入させられた。サリン事件首謀者として死刑執行を前に
 した元教祖が病死した。元教祖の遺骨争奪を契機に騒乱が起こる恐れがある。

  次々と起こる作業員襲撃事件。かつての黒江の上司古池慎一郎が新興教団への
 侵入工作途上に瀕死の重傷を負う。恋慕の情を抱く黒江は死の淵をさ迷う古池の
 恢復に手立ての限りを尽くす。そしてそこに起こる「13階」の指揮を巡る上司の
 権力争い。次いで潜入者救出を巡る熾烈な抗争が繰り広げられる。

  黒江の泣き所は新興教団に入信した母、教祖直属グループに潜入させた妹の動
 向。目まぐるしい事態の展開に読者も付いていくのが容易ではない。
                            (以上この項終わり)

 

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道尾 秀介の『球体の蛇』

2019年11月02日 | 読書

 ◇ 『球体の蛇

  著者:道尾 秀介     2009.11 角川書店 刊



 これは主人公(私・智彦)が少年から青年に脱皮する過程を描いた「青春の門」で
ある。
 
 友彦は幼いころに両親が離婚、どちらにも捨てられて、隣の家に引き取られて育っ
た。隣の橋塚家には主人の乙太郎と妻の逸子、サヨ、ナオという同世代の娘がいて、
兄弟同様に過ごした。

 サヨは友彦より歳が上でちょっと変わってたが、家族で行ったキャンプで火災が発
生し、母親の逸子トサヨは大やけどを負った。逸子はそれがもとで死んだあ。そして
サヨもまもなく縊死した。友彦のせいで。
 橋塚乙太郎はシロアリ駆除を仕事にしていて、高校生になった友彦は土日にはアル
バイトとしてこの仕事を手伝った。ある日から休憩場所のふ頭から白いワンピースで
自転車を駆る女を見て気に掛けるようになった。悲劇のスタートである。

 シロアリ駆除勧誘がきっかけで白い自転車の女(智子と知った)と言葉を交わすこ
とになる。その家の男との関係を知るために、ある夜勝手知った床下に忍び入り、彼
女と男の男女の秘事を聴く羽目に陥る。智子と言葉を交わし、唇を合わせる中になっ
た友彦は、ある日、あろうことか父親同然に思っていた乙太郎と智子が、裸で絡み合
う現場を見てしまう。ショックを受けた友彦は大学受験の勉強も手につかず自暴自棄
のような毎日を過ごす。

 「自らの力では手に入れられないものを欲しがったり、ありえない未来を想像して
身を震わせたり、そんな日とはもう名残さえ見つけらえなかった。」(p197)
 同じ家に住むナオは友彦より年下であるが、なぜか一緒に住む男二人が同じ女性と
関係しているというおぞましい(ばかばかしくて情けない)やめて現実を知っていて、
「もうあの女と会うのはやめて」と友彦を諭す。

 そのうち智子は自殺する。友彦はその原因を知っている。彼が智子に対し彼女が捨
てたタバコの火がサヨと逸子のテント火災の原因だったと責めたことがあったから。
 ナオは友彦が智子に舞い上がっているときも、落ち込んで荒んでいるときも、常に
冷静に見守っていた。友彦が好きなのに。この冷静沈着さはやや異様である。
 
 ナオはキャンプン火災は実はサヨが自分で花火に火をつけた失火だったと打ち明け
る。友彦は自分の軽率な追及で智子を死に追いやったことを知り苦悩する。
 サヨが自殺した原因も自分のせいである。あの日「僕はサヨと結婚する」と言った
から。顔にやけどを負って醜い姿になって結婚もできないサヨはかわいそうだからと
いう思い上った気持から。サヨにそんな同情がたえられななかったのだ。
 僕は二人を殺した。

 「トモん。ナオと一緒になってくれ」と言っていた乙太郎はがんで死んだ。結局ト
モ君はナオと一緒になって子供を設けた。あっけない結末だった。

                            (以上この項終わり)
 

 
 


 

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