読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

『スコット親子、日本を駆ける』を読む

2015年08月10日 | 読書

◇『スコット親子、日本を駆ける』(原題:RISING  SON A Father and Son's
                    Bike Adventure across Japan)
                著者:チャールズ R.4 スコット(Charles R.Scott)
                訳者: 児島 修    2015.1 伊國屋書店 刊

  


  図書館の新刊入庫紹介で見つけた本。第一の職場をリタイアーしたときに、天狗党の軌跡を
 終焉の地敦賀まで自転車で辿ってみようと準備したことがある。いろんな事情で実現しなかっ
 たが、北海道宗谷岬から本州最南端の地佐多岬まで自転車で、しかも8歳の息子と一緒にとい
 う大冒険の旅日記にひかれて読んでみた。
 
  原書全体は膨大で、端折っているらしいが、要所は抑えていて、旅の素晴らしさと大変さが
 十分に伝わってきた。自転車旅行は2009年の夏のこと。
  私が予想していた通り、主として海岸線を選んだとはいえ厳しいアップダウンと梅雨時の悪
 天候に相当苦しんだ様子がつづられている。しかし、旅で知り合った親切な日本の人々と、自
 然の豊かさ景観の素晴らしさ、それよりも何よりも8歳の息子を2か月間も苛酷な旅に連れ出
 すことが果たして正しい選択だろうかという自問が、旅を終えてみて、成長した息子とこれか
 らの自分の人生の生き方を見出したことが、何事にも代えがたい大きな収穫であったと述懐し
 ていることで、貴重な2か月の体験であったことがわかる。

  チャールズはショウという8歳の息子とサヤという3歳の娘の父親。NYのインテルで働い
 ている43歳。妻エイコは日本人で国連事務局で働いている。
  チャールズは折からのリーマンショックでリストラの危惧を抱えながらの際どい選択だった。

  北海道の最北端宗谷岬からサロマ湖、知床、襟裳岬、二風谷と白老でのアイヌの人たちとの
 交流、そして函館からフェリーで本州にわたる。サロマ湖手前では61歳のサイトウさんという
 自転車で日本一周を目指すサイクリストに出会った。彼とは途中の何か所かで出会い、最終地
 点佐多岬で再会を約束することになる。
  二人は青森から白神山地を経て新潟そして直江津から信州に入り、善光寺を参詣ししい峠
 を越えて松本に出る。松本では、アメリカ国内線機内で知り合ったスギシタさん家族の歓待を
 受けて松本城を見学し、塩尻峠を越えて奈良井まで木曽路を辿る。ついでながら彼ら二人は単
 に日本を縦断するだけではなく、世界遺産など重要な史跡などにまめに立ち寄って観光してい
 る。奈良井から野麦峠を越えて高山に、そして白川郷から郡上八幡、彦根を経て京都に出る。
  京都では1日観光に費やし、奈良から高野山に上る。そして和歌山からフェリーで四国徳島
 に。鳴門の渦潮などを見て、高松から松山城、道後温泉に浸かり、しまなみ海道を渡って、広
 島から岩国、を経て九州へ。別府温泉から宮崎、青島、鵜戸神宮から終点佐多岬へ。
  およそ4000キロという道のりを経った二人で、のテントや自転車修理工具、着替えなど30
 キロもの荷物と、二人乗りとはいえ後ろの子供用のペダルはどれほど寄与してくれるか。急坂
 は10%(100mで10mの高度を上げる)、7~8%でもあごが出るのに。よくやったと思う。
 チャールズはその後サラリーマンを辞めて、作家・冒険家として著作、講演などで稼いでいる
 とか。今度は妻や子供とアイスランド、ヨーロッパ各地、アメリカを自転車で旅している。
    それにしても日本人は親切です。とりわけ欧米人には。根っからやさしさを持っている民族
 とは思うけど、紅毛碧眼に対しては憧れと劣等意識の裏返しもあるのでしょうか。
                                 (以上この項終わり)  
    

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ガクアジサイを描く

2015年08月02日 | 水彩画

珍しいガクアジサイ
  家にあるガクアジサイは普通の飾り花が額縁のように花序を取り囲んでいるが、
 今度幹事さんが持ってきた家のガクアジサイというのが、薄いブルーの星形の装飾
 花が花序を取り囲んでいた。
  全体に色はブルーなので背景色も葉もブルーで統一した。空気感を出すために後
 ろ側の花も背景に溶け込むように水を含んだ筆でさっと刷いた。
  ガラスの花器は花や葉や周辺の色を取り込んでいるので、それらの色を適当に配
 した。
  装飾花は白が基調なので最初からマスキング液で抜いた。白が基調ではあるが中
 心部から薄い青が走っている。これがこの花の命のように見えたので丹念に色を置
 いた。

     
      The Langton F4
      (以上この項終わり)

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