読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ(下)』

2024年06月15日 | 読書

◇『巨匠とマルガリータ(下)

   著者:ブルガーコフ
   訳者:瑞夫 忠夫    2015.6 岩波書店 刊

  

  <承前>
  巨匠の恋人マルガリータは著名な科学者の妻で裕福な生活をしている。巨匠が消えて
から1年。マルガリータは焼け焦げた巨匠の原稿、彼と映った写真帳などを目の前につ
らいひと時を過ごしたあと、クレムリンの公園で魔術者ヴォラントの使いアザゼッロか
ら魔術師の大舞踏会で女主人として協力して欲しいと頼まれる。この機会を利用して巨
匠に逢えるかもしれないと申し出でを受け入れる。

 全身に謎のクリームを塗ると魔女の力を得た。箒に乗ったマルガリータは空を飛び手
始めに巨匠の作品を悉く否定した批評家ラトゥンスキイの家をぶち壊す。
 モスクワの地でヴォラントに会ったマルガリータは手下の小悪魔らと共に無事に女主
人としての役目を果たす。
 舞踏会の成功に満足したヴォラントはマルガリータに一つだけ望みをかなえてやると
いう。マルガリータは最愛の巨匠に会わせてほしいと頼む。

 ヴォラントの杖の一振りで巨匠が現れ、焼かれた小説の原稿も再現した。
 巨匠の病的症状は改善し、二人は以前巨匠が小説を執筆していたアパート地下の書斎
に戻る。二人は詩人のイワンを病院に訪ねる。
 巨匠が綴るローマ時代のヨシュアの処刑と総督ピラトゥスの話。ピラトゥスはヨシュ
アの処刑が正しかったのか2千年渡ってゴルゴだの丘で悩み続けていたのであるが、巨
匠はマルガリータの勧めでピラトゥスに対し”お前は自由だ、自由だ”と呼びかけて神へ
の負い目から解消してやる。同時に巨匠が抱えてきた永年の不安に満ちた記憶も解消さ
れた。

 ヴォラントの配慮で巨匠とマルガリータは二人の永遠の隠れ家に向かう。

 この作品では魔術師集団の首領ヴォラントは当初魔術を駆使して社会に混乱(悪さ)
を巻き起こす将に悪魔的存在と思わせる存在と認識していたが、大舞踏会の前後から
巨匠とマルガリータの擁護者のような善的存在として行動する。
                             (以上この項終わり)                     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする