読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

湊かなえ『山女日記』を読む

2014年12月27日 | 読書

◇ 『山女日記』 著者:湊かなえ  2014.7 幻冬舎 刊

   

  まぎらわしい題名。
  やまめ?やまおんな?
  某市図書館では担当者が早とちりしたのか、わざわざ振り仮名付きで新刊紹介をした。
  「山女(やまめ)日記」。
  ところが本には小さい文字ながら赤い字で丁寧に<やまおんなにっき>と振り仮名を振
  っている。

  山男・・・は歌の文句にある通り「やまおとこ」だ。娘さんに、惚れてはいけない種類の男とし
  て例示している。余計なお世話であるが。
  山女も対句として「やまおんな」と通用しているが、同じ字でヤマメもあるから紛らわしい。
  山女、今は「山ガール」ともいう。
  
  ところで湊かなえはこれまで推理小説作家としては読んだが、実は山女だったのか?

   この本は幻冬舎発行の女性のための読書雑誌『GINGER L.(ジンジャー・エル)』に
  8回にわたって掲載された連作。
   本書には妙高山・火打山・槍ヶ岳・利尻山・白馬岳・金時山・トンガリロと7つの山登りに
  まつわるオムニバス形式の物語が綴られている。
   都心にある丸福デパートで働いている独身の女性・律子。婚活で互いに気にいった       
  お相手と山に来た美津子。離婚寸前の姉と利尻山に、そして姪も交えて白馬岳に登っ
  た希美。家の近くの餃子の店でバイトをしている彼と知り合い金時山に連れてこられた
  舞子。婚約直前で壊れた彼との思い出がある山トンガリロ(ニュージランド)に15年ぶ
  りに登った柚月。それぞれが同僚、妹、婚活のお相手、同好の老夫婦などとのエピソ
  ードを含めて山登りの過程が語られる。山の特徴やコースの詳細が綴られているわけ
  ではない。山登りはあくまでも背景の扱いである。しかし山に登ったことがある人には
   同感できる苦労や感動が素直に語られていてそれなりに楽しめる。

  巻末には Special Thanks 山と渓谷社 神谷浩之氏 柏倉陽介氏 とある。彼らに
  当該山に関する知識や山登りに関するアドバイスを受けたのではないか。とすれば著
  者自身はそれほどの山女ではないのかもしれない。
  ともあれ運動靴で妙高・火打の縦走山歩きを敢行した丸福デパートの由美が登場した
  時にはいささか呆気にとられた。 

  来年1月6日まで期限があるものの、後ろの予約者がいるので返却します。

  (以上この項終わり)
   
  

コメント (3)
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