JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

土睦村小作争議と戦後直後の民主主義の息吹感じる「土睦村史」

2016年10月13日 | Weblog

睦沢町教育員会が、今年の7月31日発行で「土睦村史」の復刻版を作成しました。
 これは、昭和27年に土睦村長を終えた鵜澤昇作氏が編集した個人版とも言うべき「村史」ですが、302ページに上る著作です。
 民主主義の息吹
 序で「新憲法が特に『地方自治』 を治政の方針にしたことは誠に賛成を惜しまぬものである。」と地方自治体の団体自治・住民自治の基本原則へ期待を述べるなど、民主主義の息吹が感じられます。
 基督大学も研究
 この著作をきっかけに、国際基督大学社会科学研究所が、研究調査を行い「農村の権力構造」を出版しました。
県の歴史でも注目
独自の農民組合学校
 千葉県の歴史資料編近現代8にも「長生郡土睦村(睦沢町)の争議は、同村出身の平賀寅松が一九二四年に指導し、小作料の減免を要求した。・・・・・それは争議団の自主教育運動へと発展した。」と睦沢町の子育て支援の伝統の一端が表れています。
米を作って米を食べられない
 当時の土睦地域の農家は小作農が、地主に六割を小作料として納める半封建制度でした。小作料の減免・小作地取り上げ反対運動を通じて、「わが地方の日本共産党史」では「これらのたたかいをつうじて、先進的な労働者・農民は・・・・自覚を高め・・・県党組織が確立されていった」とあります。
 得票増に発表禁止
 平賀寅松氏は党員ではありませんでしたが、昭和五年の総選挙に日本共産党の要請を受け立候補。六九四票まで開票が進んだところで、得票の発表が禁止されるという理不尽な扱いを受けましたが、当時の平賀氏と日本共産党への期待の大きさを感じることができます。平賀氏は終戦の翌年病死しました。
「土睦村史」では、「小作争議」と題して「戦後農地改革での小作地解放が実現した」ことを示し、当時争議の先頭に立った、平賀寅松氏について「此の現象を地下で観て喜んでいることであろう」と書いています。