世田谷文学館の事業としての講演会の記録で、加藤周一さんの事業を顕彰する催しとして実現し、草野昭正氏の編 岩波書店から出版されています。
講演者=執筆者は、大江健三郎氏、姜尚中氏、高階秀爾氏、池澤夏樹氏、海老坂武氏、山崎剛太郎氏、清水徹氏そして、草野昭正氏となっています。
「赤旗」学問・文化欄「朝の風」には、学問・知識人の紹介がよくされていたのですが、私にはほとんど興味がありませんでした。
加藤周一さんも「夕陽妄語」(せきゆうもうご)・・・・ずーと(ゆうひもうげん と思ってました)なども紹介されていたのですが、こうした知識人もいるんだなあくらいでした。
靖国史観や憲法9条改悪の動き、侵略戦争美化の教科書採択の動きの中で、日本人とはなにかという問題意識から、最初は、司馬遼太郎氏の日本人論など数冊読んだのですが、がっかり。
次に、鶴見俊輔氏を読んでみると、加藤周一という人物が出てきました。
海老坂武氏は、加藤周一さんの「運命」という小説が素晴らしいとわかったのは、ずっと後になってから・・・その理由はフランスの生活、建物、食事など言葉で言われても分からなかったからと言っています。
不破哲三氏は、マルクス・エンゲルスの古典を理解する前提として、その時代背景、単位などを知っておくべきだと、今回の古典講座の一回目に述べています。
3人の方が、加藤周一さんのカトリックの洗礼を受けられたことについて書かれています。
清水氏は加藤氏が「母も妹もカトリックで、自分一人が無宗教を貫けば妹も困るだろう。母がもし生きていたなら、私が入信しなければひどく悲しんだろう、自分はカトリックに対する共感は十分にある。何もわざわざ母を悲しませ、妹を困らせることをしたくない」と話されたことを紹介しています。
私は無宗教ですが、その気持ちはわかりますし、なにか、あかい気持ちになりました。