2007年7月のブログ記事一覧(2ページ目)-ミューズの日記
ミューズ音楽館からの発信情報  ミューズのHP  http://www.muse-ongakukan.com/

 



<あれも聴きたい、これも聴きたい> いい音のするステレオ?その3

 スピーカーの性能を決定するのに「箱を響かせない」というファクターがあることはこれまでにお話しいたしました。では箱が共鳴しなければ必ずいいスピーカーができるのかというとそうは簡単にはいきません。お聴きになったことはあると思いますが、さらに周波数特性と応答性というファクターがあります。一般的に周波数特性という言葉は、皆さんにも馴染みがあるのではないかと思いますのであまり詳しくは説明しませんが、スピーカーの性能を考える上で重要な要素であることには違いありません。しかし周波数特性が良いのにもかかわらず、実際の音を聴いてみるとさほどでもないと感じるスピーカーが多いのは、さきほどいったもうひとつの要素である「応答性」という従来カタログ上のスペックとしてはあまり重要視されてこなかったファクターが大きな要因になっていることが多いのです。応答性とは、スピーカーの振動板の入力信号に対する応答特性のことをいいます。つまり入力にパルスのような信号が入った時、振動板が止まることも含めて、それに正しく応答することができるかということです。当然応答性の悪いスピーカーでは、ギターの立ち上がる瞬間の微妙な音を再現できません。どうしても音が鈍り、名器が名器でなくなってしまいます。しかし物には全て質量があり、それを急激に動かしたり止めたりするというのはとても難しいことなのですが、これをうまく解決しないことには、いくら周波数特性がすぐれているスピーカーを作っても、原音再生は到底望めません。また振動板を瞬時に動かしたり止めたりすることができても、箱が振動していたのでは余計な音が発生してしまいますし、しかもその箱の振動も、振動板と同じように止まってくれなくては余計な音がいつまでも響くことになってしまって、これまた意味がありません。

そしてもうひとつ忘れてならないことは、振動板の材料的な強度です。応答性を高くするためには、振動板の質量を限りなく小さくしてやる必要がありますが、そうすると振動板が自らの振動によって歪みやすくなってしまい、正しい波形を再生することができなくなってしまいます。このようにオーディオのスピーカーはさまざまな制約に縛られて成り立っていますが、音の発生源として考えた時、ギターの場合、音はパルス波形に近く、表面板などを弦の振動に敏感に反応させてやることが必要なだけでなく、反対にどこまで長く振動していられるかが問われることになり、それはそれでまた難しい問題を抱えています。いずれにしてもギターは、音そのもののパワーは他の楽器と比べて大変小さいですが、ダイナミックレンジは広く、しかも音色の変化は無限で、繊細な響が特徴です。そんなギターのもっている周波数範囲はかなり低く、決してスピーカーで再生し易い帯域ではありません。従ってクラシックギターの音をよく再現してくれるスピーカーは大変少ないということがいえますし、反対にクラシックギターの音をうまく再生してくれるスピーカーは、その他の音もよく再生できるといえるかもしれません。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




昨日ハウザーⅢ世の新作が入荷しました。
二日前に裏・側がローズのものとハカランダのものの2本が通関されたばかりのを見に行き、選んできました。ローズのハウザーもバランスがとても良く、温かい音色でしたが、ハカランダを選びました。ハカランダの方がハウザーらしい重厚な低音とスキッと切れの良い高音だったんです。スタッフ曰く『ロマンスグレー、渋いけど気品のある音』
それに、ご存知のようにハウザーは世界のギター製作家の名門。I世、II世から譲り受けた、今日ではなかなか手に入らない長年にわたり乾燥された材料が大量に保管され、その材料がIII世のギターに使用されています。入荷したギターの表板もあちこちにフが散りばめられたいいドイツ松が使用されています。

しかし、高いんですよ。ヨーロッパの物価上昇、材料の高騰に輪をかけてユーロ高・円安と言う環境の下、欧州製ギターはどんどん値上がっていますからね。今回の新作は定価を360万円+税にさせていただきました。もちろん実売価格はご相談下さいね。

ハウザーⅢ世は1958年生まれ。1978年には、20歳でドイツのギター製作展示会で初のゴールド・メダルを受賞しています。2年後、Ⅲ世のギターはアンドレス・セゴビアの手に渡されたそうです。そして今年49歳。製作家として油が乗っている年齢です。是非一度試奏にお越し下さい。


コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )




<あれも聴きたい、これも聴きたい> 「いい音」のするステレオ?その2

ずっと以前、富士通テンのスピーカーのことを解説させてもらった時も少し書かせてもらいましたが、とにかくスピーカーから音が聞こえてくるのではなく、聴いている自分の目の前からスピーカーの存在がまったく消えて、まさに自分の目の前でギタリストが演奏してくれているようにステレオを聴くためには、とにかくスピーカーの箱(エンクロージャー)をまったく鳴らさないような(共鳴、振動しないような)構造にする必要があります。なぜかというと、普通スピーカーは振動板が前後に振動して音を出しますが、そのスピーカーユニット自体の振動によって箱が共鳴・振動させられた時に、録音時にはまったく存在しなかったその箱固有の音が発生してしまうからです。せっかくスピーカーユニットが録音した音を忠実に再生したとしても、それによって箱が振動してしまっては、余計な音が(録音の時には無かったはずの音が)盛大にスピーカーの箱から出て聴いている人の耳に入ってくることになる。そしてひとつの音像のはずのギターが、左右両方のスピーカーから聞こえてきてしまうということになってしまうのです。

一度皆さんのご自宅のステレオでも試してみてください。果たしてクラシックギターの音がふたつのスピーカーの中央少し後方の空間から聞こえてくるか。録音した場所の音場感がはっきりと感じられるか。もしそういうわけにいかないようでしたら、皆さんは持っているCDの本当の魅力の半分も味わっていないと言えるかも知れません。持っているCDを、本当の意味でのステレオとして再生できたら、きっと「こんなにいい録音だったのか!」と感激してしまうことでしょう。但し、誤解のないようにお話しておきますが、テレビでも放送局がモニターとして使用するもののように、とにかくできるだけ生の色を忠実に再現することを目的としたものと、家庭用テレビのように、できるだけきれいな色で表現できるように調整されたものと二通りありますが、スピーカーでもまったく同じです。CDに刻まれた音(演奏家やディレクターが意図した音)を出来うる限り忠実に再現しようとするものと(富士通テンのイクリプススピーカーはこれに属しますが)、どんな音のCDであろうと、とにかくなるべくきれいに聞えるように設計されたものとがありますので、そのあたりについてはメーカーとしての考え方の違いであり、どちらが優れたものということではないということをご理解ください。

ところで今月、7月の29日(日)、ミューズサロンにおいて、イクリプススピーカーの開発者である富士通テンの小脇宏さんにより、オーディオに関するとても分かり易いお話と、クラシックギターの優れた録音のCDが聴ける機会を企画してもらっています。この機会にぜひとっておきのサウンドを味わってみられることをお勧めします。
尚、このオーディオのスピーカーというものと、皆さんのいつも弾いておられるギターとは音を発生させるという面では同じなんですが、構造からいうと実はまったく正反対のことを要求されるものなのです。しかしまったく正反対であるが故に、良いスピーカーの構造やコンセプトを知ることは良い楽器を選ぶ目を育てるという面でも大いに役立つことになりますので、そのあたりも期待される良いチャンスではないでしょうか。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




<あれも聴きたい、これも聴きたい> 「いい音」のするステレオ?その1

富士通テンのタイムドメインスピーカーを使ったギターのPA(SR)システムをやっている関係上、最近いろいろな方が拙宅にお越しになりますが、そこでクラシックギターのCDをかけてみると、まず必ずといってよいほど「このスピーカー、いい音しますねえ」という感想を口にされます。どこででも聞かれる会話ですから、聞き流したらなんてことはないんですが、ちょっと待ってほしい。問題はその後です。

今度はスピーカーを前にしてリスニングポジションに座った途端、皆必ずといってよいほど、一様に「あれ?スピーカーから音が聴こえないですね」とおっしゃいます。ギターのソロは当然音源がひとつだから、前に置いた二つのスピーカーの少し後方の空間から音が聞こえてくるのは至極当然。こちらとしては当たり前。むしろひとつのギターの音が両側のスピーカーから聴こえてくる方が、それこそおかしいことと思っています。
でもそれらお越しになった方々は、皆二つのスピーカーから音が聞こえないことが不思議でならないようです。訊いてみると、その方達が考えておられる「いい音のするスピーカー」というのは、どうも「生のギターの音かと思えるような音」がスピーカーから聞こえてくるもののことを言っておられるようなんですね。

しかし、そうだとすると1本のギターの音を再生するには1本のスピーカーでよいことになるわけですが、そうなるとそれはステレオではなくモノラル再生ということになってしまいます。ギターの生の音がスピーカーそのものから聞こえてくるのがステレオだとすると、例えばギターの2重奏のCDをかけた時、左のスピーカーから第1ギターの音が、右のスピーカーから第2ギターの音が聞こえてくることになり、そうなってくると10人で合奏して録音したCDを再生しようとしたら10本のスピーカーが要ることになってしまう。極端ですが100人のオーケストラのCDを再生するには100本のスピーカーが必要になり(当然のことですが、100人の演奏者全てにマイクを立てて録音をしなくてはいけなくなる)、これではいくらなんでもおかしいことに気が付くはず。

ステレオというものは、録音された楽器の音をスピーカーからそのまま聴かせるのではなくて、録音された時のマイクから楽器までの距離、演奏者から発せられた音が反響する左右の壁、天井までの距離、つまりその部屋の広さ、そしてマイクから見て演奏者達の前後左右の位置関係を立体的に表現してやろうというものなのです。つまりステレオというのは、音で空間を表現するというか、そんな音場感といったものを自分の部屋に再現するものなのです。ちょっと極端なことを言わせてもらえば、4畳半の部屋で聴いているのに、あたかもシンフォニーホールで聴いているような空間を感じられるようにするのがステレオというものなのです。そしてそのためには、少なくとも最低2つのスピーカーが必要になるということなのです。決して楽器の音をスピーカーそのものから出そうというのとは違います。
しかし現在一般的なステレオ装置に採用されているスピーカーは、それがなかなか難しく、どうしても左右のスピーカーから音が聞えてしまうものですから、さきほど言った「このスピーカー、いい音しますねえ」などという勘違いが起きてくることになる。

続く・・・

内生蔵 幹(うちうぞう みき)


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




こんにちは、渡辺なつ実です。

先日はお休みを利用して、とあるギターの合宿に行ってきました。

場所は飛騨の方のペンションです。
すごく素敵なペンションで、身も心もリフレッシュ!

鳥の声や涼しげな虫の声が当たり前に聞こえてきて、下界とは違って涼しいし、その上携帯電話もつながらないし(?)、と本当に貴重な時間を過ごしました。
やっぱり自然の中にいるとストレス解消になりますね~。

こんな所で1週間くらいこもって作曲できたらいいな~なんて考えてしまいました。

もちろん、ギターの練習もしました。普段と違った静かな環境の中で思う存分音を出していると、また違った音楽の発見があったりしておもしろいです。

合宿が終わって名古屋に帰っていくときは本当になんだか下界に下りてきたような気持ちでした。

合宿は集中できるのと、仲間との交流がたくさんあるのでいいですね。

それでは今日はこの辺で。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 前ページ 次ページ »