2007年7月8日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 音について 第1回

 今回はいつもと少し趣向を変えて「音」についてお話しようと思っております。少しだけ理屈っぽいお話になりますが、我慢して聞いてください。

物体が振動するとその周囲の空気に疎・密が生まれ、それが連続的に空気中を伝わって私達の耳に入って鼓膜を振動させたとき、それを音と感じるのですが、この空気の疎・密を1秒間に440回繰り返すと、皆さんよくご存知の「A」の音、ギターでいうと1弦の第5フレットの音、つまり「周波数が440Hz(ヘルツ)の音」になります。

それでは音は空気中をどれくらいの速さで伝わるかというと、1秒間に約340メートルといわれています。時速に直すと340m×3600sec.(秒)で時速1224キロということになり、新幹線の4倍以上の速さになります。結構速いようですが、人間は伝わってくる音の方向を、右と左の耳に到達する時間差で感じ取っているのですから、音に対するセンサーとしての人間の耳の性能は結構優れているといえます。さらにコンサートホールなんかでは、演奏者の演奏する音がホールの壁や天井などにさまざまに反射し、無数の時間差でもって私達の耳に入ってきますが、私達はそれらを総合的に聴いてひとつの「響き」として感じ取っています。そしてこの無数の方向から来る時間差をもった「反響音」は、私達がいつも耳にする全ての音の中に随分大きな比率で含まれています。自分の部屋でギターを練習している時耳に入ってくる音にも、楽器から聞える直接音に加えて壁や天井、床などから反射してくる音が大きな割合で含まれています。人と話しているときも、相手の口から出る直接音だけでなく、あらゆる方向からの反響音成分を沢山含んだ音を聞いていることになります。しかも今自分の周りにはいつもあらゆる音があふれていて反響音のことだけを意識することはあまりありませんが、しいて言えば広い野原のようなところでは音を反射するものが極端に少ないので、いつもより大きな声を出さないとお互いに相手の声が聴き取り難く、後で喉が枯れてしまうことがありますよね。これが音をテストするときに使用する無響室ともなるともっと大変です。そこでは耳に入ってくる音にまったく反響音が含まれないわけですから、他人の話している声や自分の口から出る声が、いつもとまったく違って聞えます。これを一度経験すると、私達が普段いかに多くの反響音成分を含んだ音を聞いているのかがよく分かります。

というところで、今回は「音」というものについてえらく大雑把なお話をいたしましたが、次回はコンサートなどにおける「音」というものについて、もう少し突っ込んだお話をするつもりです。


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