2007年7月7日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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一昨日ご紹介した「ギターを再開して良かった!」のご本人から、練習段階から演奏会当日の状況、心境、心の葛藤、意気込み、そして感動がつぶさに伝わってくる文章を頂きました。ミューズのモットーである「心豊かに、人生に潤いと感動を」の正に感動ストーリーに当たります。ミューズでは11月に教室の秋の大発表会を東文化小劇場で行いますが、スタッフと参加者が感動を共に出来るものにしようね、と社内で話し合ったところでした。そこでご本人にブログでの公開のお許しをいただきましたのでここにご紹介させていただきます。皆さんもひとつでも多くの感動を味わってください。そしてよろしければ感動ストーリーをお寄せ下さい。

演奏会終わる
 7月1日(日)私が所属するクラシックギターサークル「ろくげん」の発表演奏会が終わりました。今はほどよい満足感に浸っているところです。演奏自体は、ミスが多く、もう二つだったなあとは思いますが、あれが精一杯だったし、今の私の実力そのものです。最後の1週間は毎日、できる限りブーレとドーブルを繰り返して練習しました。延べ80回くらいは弾いたと思います。弾いても弾いても納得した演奏ができず、日は過ぎていき、なんだかこわくなって当日を迎えてしまいました。もう途中で止まってもいい、ブチッとやっても言い、とにかく最後までこれまで練習してきたことをより多く出そうと開き直った気持ちでした。午前中のリハーサルでもミス無く弾き通すことはできませんでした。昼休みはみんな外へ食べに出かけましたが、私は一人会場に残り、ステージで2回繰り返して練習しました。空腹感は全くありませんでした。もうここまでやったんだから、あとは野となれ大和撫子(?)の心境です。

 14:00,いよいよ開演です。知り合いの人たちには、聞いてほしいような聞いてほしくないような気持ちがあり、「聴きに来ないでほしい」と笑って伝えました。しかし、13:00の会場前後から、次々と知っている人がやってきました。びっくりしたのは愛知県の高浜から実家の親戚が3人来ました。「伊勢神宮に行ったついでだ」と言っていましたが、どちらがついでなのかよくわかりません。高速をとばしてきたから、2時間ちょっとしかかからないようです。
 第1部は2重奏、3重奏、ギターとフルートの競演です。私は2重奏の2番目で、「黒いオルフェ」と「放課後の音楽室」を弾きました。相方の初めてのステージなので、簡単な曲にしました。結構落ち着いて言い演奏ができたのではないかと思います。

 10分の休憩をはさんで、いよいよ第2部の独奏と全員合奏が始まりました。私は独奏の最後で6番目です。ステージの反響版の裏でじっと出番を待ちます。その時間の長く感じることといったらありません。音を出すわけにはいきませんから、練習はできません。かといって覚えているはずの楽譜が頭の中で白紙になっているような気がして、改めて楽譜を見て、音が出ないように右手のひらをギターのサウンドホールにあてて、左指を指版に確認しました。
 5番目の人の曲が終わりに近づいてきました。ギターをと足台をもって、反響版の端に移動しスタンバイしました。「ソロの最後はバッハ作曲無伴奏バイオリンパルティータ第1番ロ短調よりブーレとドーブルです。演奏しますのは、西川義則です」と言うアナウンスに促されて、ライトに照らされてステージ中央へと歩き出しました。もう何も考えたらいけない。とにかくブーレの出だしを弾くのみ。あとはきっと指が覚えていてくれるだろうとそれを信じていこう。

 観客席は薄暗くてよく見えません。それはありがたいことです。足台を調節してギターを構えて一呼吸おきました。さあ、いけっ! ところがそのブーレの5~6小節あたりで、運指を間違えてあわててしまい、音をはずしてしまいました。このまま続けようかと思ったけど、まだ初めだったので、もう一度最初から弾き直しました。あとで友人に聞いたらやり直したことに気づかなかったそうです。そんなわけないだろうと思いますが。少し調子が出てきたと思うとまた、なんだか右指がふわふわしたような状態になったりして弦をうまくはじくことができず、どうも落ち着きません。なんとか落ち着けと自分に言い聞かせながら演奏が進んでいきました。ドーブルの後半最後の繰り返しにきたときは、弾きながらやっとこれで重圧から解放されるなとほっとした気分になりました。最後はうまくまとめることができ、思い切りリタルランドをかけ、弾き終わったぞと言わんばかりのポーズをとり、右手のひらでそっと消音をして立ち上がりました。みなさんの温かい拍手が嬉しかったです。演奏自体は50%くらいのできだったでしょうか。それが今の私の実力です。でも50%も力を出せたという満足感もありますし、何とか弾き終えたという充実感もありました。ギターを持って舞台の端に向かって歩き出すと、観客の中から花束を持った大柄の若い女性が「先生!」と言って、私の方に近づいてきました。見ると彼女は、20年前、4年生で担任した教え子でした。当時10歳、今30歳。以前、私の消息をインターネットで調べた子です。その後時々メールのやりとりをしていました。ギターの演奏会のことは知らせてありましたが、まさか亀山からきてくれるなんて思っても見ませんでした。もう少しで涙をこぼすところでした。本当にありがたいことです。他にも知人、友人が結構きてくれていて、嬉しいやら恥ずかしいやら。花束も4つもいただいてし
まいました。

 ほっとした気分もありますが、もっとうまく弾けたのではないかとちょっぴり心残りもあります。しかし、今回の経験を生かして、来年6月22日(日)の演奏に向けて、早く曲を決めて、チャレンジしていきたいと思います。
2007年7月2日(月)
 西川義則


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