「いい音」のするステレオ?その2 - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 「いい音」のするステレオ?その2

ずっと以前、富士通テンのスピーカーのことを解説させてもらった時も少し書かせてもらいましたが、とにかくスピーカーから音が聞こえてくるのではなく、聴いている自分の目の前からスピーカーの存在がまったく消えて、まさに自分の目の前でギタリストが演奏してくれているようにステレオを聴くためには、とにかくスピーカーの箱(エンクロージャー)をまったく鳴らさないような(共鳴、振動しないような)構造にする必要があります。なぜかというと、普通スピーカーは振動板が前後に振動して音を出しますが、そのスピーカーユニット自体の振動によって箱が共鳴・振動させられた時に、録音時にはまったく存在しなかったその箱固有の音が発生してしまうからです。せっかくスピーカーユニットが録音した音を忠実に再生したとしても、それによって箱が振動してしまっては、余計な音が(録音の時には無かったはずの音が)盛大にスピーカーの箱から出て聴いている人の耳に入ってくることになる。そしてひとつの音像のはずのギターが、左右両方のスピーカーから聞こえてきてしまうということになってしまうのです。

一度皆さんのご自宅のステレオでも試してみてください。果たしてクラシックギターの音がふたつのスピーカーの中央少し後方の空間から聞こえてくるか。録音した場所の音場感がはっきりと感じられるか。もしそういうわけにいかないようでしたら、皆さんは持っているCDの本当の魅力の半分も味わっていないと言えるかも知れません。持っているCDを、本当の意味でのステレオとして再生できたら、きっと「こんなにいい録音だったのか!」と感激してしまうことでしょう。但し、誤解のないようにお話しておきますが、テレビでも放送局がモニターとして使用するもののように、とにかくできるだけ生の色を忠実に再現することを目的としたものと、家庭用テレビのように、できるだけきれいな色で表現できるように調整されたものと二通りありますが、スピーカーでもまったく同じです。CDに刻まれた音(演奏家やディレクターが意図した音)を出来うる限り忠実に再現しようとするものと(富士通テンのイクリプススピーカーはこれに属しますが)、どんな音のCDであろうと、とにかくなるべくきれいに聞えるように設計されたものとがありますので、そのあたりについてはメーカーとしての考え方の違いであり、どちらが優れたものということではないということをご理解ください。

ところで今月、7月の29日(日)、ミューズサロンにおいて、イクリプススピーカーの開発者である富士通テンの小脇宏さんにより、オーディオに関するとても分かり易いお話と、クラシックギターの優れた録音のCDが聴ける機会を企画してもらっています。この機会にぜひとっておきのサウンドを味わってみられることをお勧めします。
尚、このオーディオのスピーカーというものと、皆さんのいつも弾いておられるギターとは音を発生させるという面では同じなんですが、構造からいうと実はまったく正反対のことを要求されるものなのです。しかしまったく正反対であるが故に、良いスピーカーの構造やコンセプトを知ることは良い楽器を選ぶ目を育てるという面でも大いに役立つことになりますので、そのあたりも期待される良いチャンスではないでしょうか。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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