アンタの評価は他人がするっちゅう教訓編

＜あれも聴きたい、これも聴きたい＞　アンタの評価は他人がするっちゅう教訓編

おらのような歳さなるど、どうもぐちっぽぐなっちまっていけねえとは思うけんども、めえからどうも気にさなって仕方がねえことがある。
それは、世の中みんな、自分の評価を自分でやっとるんでねえべが、つうことだ。
よーぐ考げえてみりゃあ分かるけんども、自分のごとさ、自分で「えれえ」とか「うめえ」とか言ってみたところで始まらねえもんだ。
ところが、なーんだか知んねえけども、世の中そんなお方が少なぐねえような気がしてしかだがねえ。
ギターさ弾いてるモンが、自分で「オラはうめえんだ！」なーんて言ってみたところで、誰も「おめえは上手い」って言ってくんねえことには、話にも何もなんねえべな？

楽器にしたって、その楽器がええ楽器かどうかは、作ったモンが決めるんではなぐて、あくまでも弾く方が決めるんだんべ？
いっくら「オラのつぐったギターは一番だぁ」って言われたところで、そったらこと困っちまうべな。
テレビさ出てる女の子タレントにしてからが、「オラめんこいべ？」と言ったって、おめえがめんこいかめんこぐねえかは、テレビさ見とるこっちが決めることだんべな。
おんなじように、会社で「オラは良い上司だー」っつうような感ちげえしとるヤツをよーぐ見かけるけんども、あんたがええ上司かどうかはあんたが決めるこってはねえ。

要するに、あんたの評価はあんた以外の他人がするっつうことだべさ。
この辺を何だか知らねえが、感ちげえしとるお人が大勢おる。
どうも感ちげえしとるやつぁどこにでもおって、何かっちゅうと口を挟みたがる。
何かきっかけをつかんで、「オラの方がえれえんだぁ」っつうことを言いたがる。
「オラの方が物知りだぁ」と、ついつい何にでも口さ出してくるもんだ。
自己顕示欲っつうか、そおいうもんが強ぐて、いつもウズウズしとるヤツ、いげえとおめえの近ぐにいるんでねえのけ？
よーぐ考げえてみれ。世の中自分の評価を自分でできるなんてこたあ、金輪際あるわきゃねえっつうことを忘れちゃあなんねえ。

ギターさ弾ぐ時、どうやって弾いたらよかんべっつうて、先生に訊いとるアホがおるけども、そったらこと勝手に自分で考げえて、勝手に弾けばええ。
現代だろうが、古典だろうが、そったらことかまうこたぁねえ。
おめえの弾きてえように弾けばええんだ。気にするこたぁねえ。
音楽てのは、文学とおんなじで、楽譜や活字になった瞬間から、作者の手さ離れで、一人歩きするもんだぁな。そういう宿命なんだぁ。
むしろ自分が好きで音楽さやっとるのに、自分がどう弾きてえのか分かんねえことの方が問題だわサ。

世の中進歩しとる。昔とおんなし演奏しなきゃあなんねえ、なんてこたぁねえ。
だども、結局自分が弾きてえように弾いても、それがええかどうかは他人様が決めることになるっちゅうことを忘れちゃあなんねえぞ。
そうでねえと、へたぁしたら、ただの自己満足っつうことになっちまうだ。
おめえの評価は他人様がするっつうことになるからこそ、いろいろ勉強せんならんようになってくるんだわ。
試しにソルやジュリアーニの原点版の楽譜さ弾いてみたらよかっぺ。
なーんにも運指がけえてねえやつよ。
分かんなぐて不安になっちまうんでねえのか？
そこが・・・おめえ、問題だべ？
「この音、何弦で弾いたらよかっぺ？」「ｐｉで弾いたらええべが、ｉｍで弾いた方がええべが、誰か教えてくんろ？」とか言っちゃって。
アホこぐでねえ、おめえ。そったらことサ自分で決めれなぐてどうするだぁ。
そこが自分の音楽性の限界っつうもんだ。
ンだからまず「古典とは」っつう勉強から始めなぐてはなんねえことさなるんだぁ。

そこで、なーんにも考げえねえで勝手に弾いて、他人様が「ええなあ」って言ってくれりゃあええけんども、「おめえ、なにアホなことさやっとるだぁ？」って言われてみろォ。やっぱりおめえの評価は、おめえ以外の他人様がするっつうことさわかったけ？　音楽っつうもんは、最終的には自分がどう表現してえかっつうことが重要で、自分が「こうやりてえ」っつうことさやって、大勢の他人様もそれを見て「ええなあ！」っつうてくれりゃあ大正解だぁな。
だからとことん勉強さして、いろんな音楽さ聴いて、いろんな芸術さ触れて、そして自分から表現してえものが、内からサ沸きあがって来るのを待つしかねえんだ。
くれぐれも「オラはうめえんだ」なんで、感ちげえしねえでけろ。
おめえがうめえかどうかは他人様が決めるもんだ。
内生蔵　幹（うちうぞう　みき）