2005年7月19日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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引越し荷物を整理していたら添付の様な懐かしい写真が出てきました。
知っている人は知っている、あのサインス・デ・ラ・マーサの写真です。今では知らない人も多いかも知れませんが、かつてはマドリッド・ロイヤル・アカデミーのギター科の主任教授を長年務めた人で、ホアキン・ロドリーゴがあの有名なアランフェス協奏曲を捧げた人です。もちろんこの名曲を世界初演した人はこのデ・ラ・マーサです。

これは私がまだ20代の頃、ヤマハの名古屋店に勤務していた頃の事ですが、現代ギター社が企画したギター愛好家にとっては垂涎の海外ツアーの一幕なのです。今は亡き小原安正先生が引率者となり、ロンドンでセゴビアのコンサートを聴き、マドリッドでサインス・デ・ラ・マーサのレッスンを受けて更にギター工房巡りをし、尚且つグラナダでアルハンブラ宮殿を見て、コルドバ、セビリアまで足を伸ばして洞窟でフラメンコショーを見ると言う、ギター愛好家なら絶対に見逃せないツアーなのです。

当時は今ほど有給休暇が取り易い時代ではなく、何日も休むには勇気の要った時代ですが思い切って上司に相談して許可を得ることが出来たときはもう天にも昇る気持ちでした。
セゴビアのコンサートのことはまたいつか別の日に譲るとして、サインス・デ・ラ・マーサのレッスンの事を少々お話します。

レッスンは彼のマンションで受けました。小原先生と数人の受講生で胸をドキドキさせながら訪問しました。この日のためだけに自分のギターをこのツアーに持って行きました。玄関のドアを開けて出てきたデ・ラ・マーサは赤いガウンを着ていました。非常に小柄な人でしたが、ピンと張り詰めた空気に彼の偉大さを感じました。私のレッスンでは兎に角左手の力を抜く事をしきりに注意されました。この時私はソルの魔笛でレッスンを受けましたが、第一バリエーションのスラーをそんなに力を抜いたら弾けませんと言うほど脱力をするように注意されました。この写真では右手について指導されていますが左手の注意しか覚えていません。それ程強烈に左手の脱力を注意されたんですね。しかし、偉大な先生にレッスンを受けれたことは今でも大きな喜びになっています。

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