消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

市民だけの話じゃない

2008-06-26 00:20:39 | 救急隊の本音
足代わり119番、救急車「予約」…非常識な要請広がる(読売新聞) - goo ニュース


数日前に出たニュースではありますが、現職の救急隊員の視点からちょっと思ったことを書かせて頂きます。


数年前より救急車の非常識、不適切利用が問題となっています。ここまで新聞に載って、番組の特集などでも取り上げられるようになったのは本当にここ最近でしょうか。


この記事で取り上げられている非常識な利用の仕方として挙げられている、『診察の順番を早めたい』、『診察の予約が入っているから』等の理由で119番するケース。

これは私が出場した中でも実際にありました。順番を待つからと言って119番したケースもついこの間ありました。決して初めてだったわけでありません。

また、自分で病院に連絡を取ってこれから行く旨を伝え、それから救急車を呼び『連絡はついているから』と言うこともありました。(意識清明、歩行可能です)


一般市民の非常識利用が今クローズアップされているところですが、こんな使い方ってどうなの?と言うのは、警察官や病院にも言えること。以下、私が実際に遭遇した事例です。


救急指令、内容は交通事故。現場にいる警察官からの通報。

現場到着して傷病者と接触すると同時に、警察官からも状況を聴取する。

ですが、半分以上が事故の後すぐに119番通報をしたわけでは無く、警察官が来て事故処理も終わろうかと言う時、もしくは事故処理後に警察官が119番するケースも多いのです。

事故から1時間以上経ってから呼ぶケースも多く、そんな時は搬送先だけ教えてくださ~いなんて軽く言われる始末。傷病者も意識清明歩行可能。事故処理後も容態変わらず。救急車で今すぐ病院に行かなければならないようなケガでもなく、タクシー等で自力で受診可能。


事故の当事者同士がぶつかってすぐに119番したのとはまた違う話。私が疑問なのは意識清明で歩行可能な方を事故処理終わるまで引っ張っておいて、終わったら救急車を呼ぶ。


どこかしらぶつけて痛いところはあるでしょう。診察の必要も出てくるでしょう。だけどそんなケガの軽い状態で、しかも事故発生から時間が経っているのにわざわざ今、救急車で行く必要はあるの?それじゃただの病院まで運ぶタクシーと変わらないんじゃないの?


もし見た目重症そうであれば警察官だってすぐ救急車を呼ぶでしょうし、そんな状態の人を事故処理終わるまで引っ張りはしないでしょう。

自分達の仕事が終わったから、さぁ病院まで運んで。一刻も早く医師の診察を必要とする人の下へ駆けつける救急車なのに、こんな使い方って違うんじゃない?

あなたたち(警察官)がケガも大したことが無いと判断して先に事故処理を済ませて救急車を呼び、私達救急隊に

『ケガは軽そうですかね~?』

なんて聞くのは間違ってるんじゃない?私達は医者じゃないから診察はできませんよ。


このケースは決して稀なことではありません。わりとよくあるケースなのです。

たぶん日本全国どこの救急隊も、同じようなことを思ってる方もいらっしゃると思います。

一般の方の非常識・不適切利用が取りざたされているところですが、同じ公安職の警察官でさえこんな使い方をするのです。こういったことも改めない限り、安易な救急要請は減らないでしょうね。


愚痴っぽくなってしまい申し訳ありません。

ですが、これは救急隊員の視点からみた実際にあるお話。現職の警察官の方はどう思っているのか、聞いてみたい気もしますね。

長くなってしまったので、日を改めて『こんな使い方どうなの?病院編』も書きたいと思います。

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4 コメント

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走快エイトさんへ (ムサシ)
2008-06-26 22:33:30
警察官にとっては患者のケガより事故処理や証拠を掴むことが先決なのでしょう。それが仕事。

我々救急隊は病院で診察を必要とする人を病院まで運ぶことが仕事。

お互いの仕事の目的が違う以上、こういったズレが生じるのはある意味仕方の無いことなんだろうなと言うのは理解しているつもりですが…

でもどうしても納得いかないし、違うんじゃないの?何だと思ってるの?って言いたくなるのです。

酷い時には、自宅で既に死亡していた方がおり、(家族から警察へ直接連絡したケース)警察が状況を確認に入ったのです。

警察で既に死体現象を確認しており、家族からも状況聴取し終わった後に、心電図モニターを取ってもらいたいと言うことだけで救急要請。


警察で死亡兆候を既に確認したのに、なんでそこで救急車を呼ぶ必要があるの?

通報内容を聞いた時点で、緊急走行をするのがバカバカしく思えてきました。


お互い目的は違えど、協力して活動することも多々あります。ですが、こんなことされるとこっちだって協力したく無くなるよなぁって思ってしまいます。

市民の不利益になりかねないので、実際にはそんなことはしませんが…。
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けいさんへ (ムサシ)
2008-06-26 22:13:27
警察が救急の現場に入ってる来るのは交通事故に限ったことではないのです。自損行為、または先日書いた酔っ払いで暴れるなどした場合は警察官を要請したり、または先に到着していることもあります。


ひき逃げなどの場合は早く証拠を掴まないといけないでしょう。そういったことも分かるのです。ただ問題にしているのは、事故後だいぶ経ってから救急車を呼ぶこと。時間が経ってから呼ぶと言う事は、緊急性があるとは考えにくいですよね。


けっして警察が憎いわけではないのです。我々救急隊の活動で、警察官の協力がないと厳しいこともあります。

警察官に対しても、この問題に真剣に取り組んでもらいたいと思うこの頃です。
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けいさんに同感 (走快エイト)
2008-06-26 21:50:38
警察とは仕事で多少つながりがあります。
残念ながら、ムサシさんが遭遇するような
警察の隠れた姿を私も見ています。

多くの署員は、額に汗を流し国民の治安を
守るために頑張っているというのに…

一部のピンとはずれの警察官のせいで、
警察のイメージが悪くなってしまうのは、
本当に残念です。

根本的に、誰のために働いているのか、
見直して欲しいものです。
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仕事は誰のため (けい)
2008-06-26 17:40:38
考えさせられました。
どっちを向いて仕事をしているか、という違いなのかもしれませんね。

警察官として働いておられる方の中にも、市民のためにと一生懸命やっておられる方もおられると思うので、一括りに批判しようとは思わないんですが、警察という機構に入っている以上、警察としての物事の優先順位が厳然とあるんでしょうかねえ。

人々の安全を守る、という同じ任務にあたっておられる同士、もっと協力的に仕事できたらいいのにですよね。このあたりは、個人の心がけというよりも組織的にやらないと難しいことだと思いますが。
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