さすらうキャベツの見聞記

Dear my friends, I'm fine. How are you today?

新月の桜

2011-04-04 22:11:51 | 日々の雑感
 仕事のあと、


 よいこらしょっと、
 自転車をこいで、街へひとっぱしり向かった。
 近道は、3/11の地震で、墓場がそこまで崩れ落ちて、
 ふさがったまま。


 街はまだ若干明かりが消えている。

「新宿が、全然違う」
うしろを歩いていた男女がそう驚いていた。


       ********


 帰る道すがら、箱根山に登りたくなった。

 いや、
 正確に言うなら、

 箱根山のベンチに寝そべって、夜空を見上げたくなったのだ。



 ・・・そうすれば、周りの煌々と光る街灯に

 -東京都内としては-それほど邪魔されずに、

 夜空を感じられるのだ。・・・


       ********



 だが、そこに行くことはできなかった。



 いつものように、自転車を置き、のんびり歩いて向かうと、
 そこはオレンジの網で入り口もおおわれ、
 「立ち入り禁止」
 と、なっていた。


         ~~~~

 「3月11日に発生した地震にともない、
  箱根山頂上部の敷石に亀裂が発生したため、
  しばらく立入禁止にさせていただきます。

  ご迷惑をおかけしますが、ご協力お願いいたします

         東部公園緑地事務所 戸山公園サービスセンター」


       ********


 しかたがないので、来た道を戻ろうと歩いて行くと、

 街灯がぽつぽつとあるだけの、うす暗い静寂の中、

 ぽお~~~っと、白い小さな桜が

 浮かび上がってみえた。





 見上げてみると、

 だんまりとした黒く太い幹の、

 細い枝に、小さな花花を咲かせ始めているのだった。

 ここにも、そこにも。


          ********


 この木は、自分で動けない。


 人のような足をもたず、

 自分で動くこともできない。

 地震が起ころうとも、

 逃げることもできない。

 動くこともでき、自分で好きなところへ行ける“”が

 浮足立つのとは対照的に、

 黙って、冬を耐え、風雪や地震にも耐え、

 そうして、春を告げる。

 静かに、ひそやかに、美しい花を咲かせて。


          *********


 詩編19編1-3節。
 詩編40編16節。

 どうか、神様が造られた、素晴らしいものを、
 また、そのみわざを、皆で、ともに味わえますように。



 

             

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