今回は、ごっつええ感じの銃選手権です。これはちょこちょこ続けてるシリーズでして、今回で4回目となります。このシリーズは、私の好きな銃をイラストに描いて、「いーでしょー、これ!ここがいいんですよ!!」と個人的な想いをギウギウ押し付け、しかも銃器に関する知識についてのフォローはほとんどしていない、という不親切極まりない内容となっております。この猛暑に便乗するかのような非常に暑苦しいエントリーですが、もしよろしければご覧下さい。
●カローラ アニチュア Charola y Anitua
1898年ごろ、スペインで作られた拳銃です。「こち亀」の1巻で登場したので、わりと有名なんじゃないかと思うんですけど、どんなもんでしょう。もちろん私もそれで知りました(笑)。漫画では大型拳銃として紹介されていましたが、ほんとは小さいです。モーゼルC96よりも1回りくらい小さいです。口径も7ミリor5ミリの6連発となってます。
当時としては新式の自動拳銃なのに、19世紀のリボルバーのテイストも混ざっていて、その新旧のケミストリー(笑)が実に素敵です。カリオストロ伯爵とかが懐に入れてそうな(笑)。
口径は小さいのですが、ショートリコイル式となってます。アウトラインはモーゼルに似てますけど、構造的には少し違うようです。リアサイト回りのバレルアッセンブリーとフレームの結合部、コッキングピースの形状が十四年式拳銃に似ているのが興味深いですね。十四年式の参考にされたような、たまたまのような、微妙なところも素敵です。
固定マガジン式と着脱マガジン式(イラストはこれ)があるなど、いろいろバリエーションがあるようですが、例によってよくわかりません(笑)。そんなこんなでやっぱり素敵です(笑)
グリップは、こち亀や書籍や画像検索ではS&Wのリボルバーみたいな形状のタイプとなってます。これが基本形らしいんですが、昔のアームズマガジンの記事で、この絵のようなグリップのタイプが紹介されてました。どうも、ブローバック時にハンマーが親指の付け根を挟んでしまうのを避けるために作られたバージョンっぽいです。C96もグリップのしかたが甘いと、そうなってしまうそうです。このグリップのタイプはこの記事以外では見当たらなかったのですが、これはこれでカッコいいので絵にしてみました。
それにしても、黎明期のオートマチック拳銃ってほんといいですよねえ、、。これもモデルガンorガスブロで欲しいんですけど、やっぱ無理ですね(笑)
グリップは、こち亀や書籍や画像検索ではS&Wのリボルバーみたいな形状のタイプとなってます。これが基本形らしいんですが、昔のアームズマガジンの記事で、この絵のようなグリップのタイプが紹介されてました。どうも、ブローバック時にハンマーが親指の付け根を挟んでしまうのを避けるために作られたバージョンっぽいです。C96もグリップのしかたが甘いと、そうなってしまうそうです。このグリップのタイプはこの記事以外では見当たらなかったのですが、これはこれでカッコいいので絵にしてみました。
それにしても、黎明期のオートマチック拳銃ってほんといいですよねえ、、。これもモデルガンorガスブロで欲しいんですけど、やっぱ無理ですね(笑)
●ニューナンブM57B NEWNAMBU M57B
1950年代に日本で試作された拳銃です。鉄道公安官や空港警察向けを想定して開発されました。この時期、官公庁向けの国産拳銃はこれを含む3種が試作され、そのうちの1種があの有名なニューナンブM60となったそうです。あとの1種は自衛隊向けのM57Aです。これはガバメントに似てる自動拳銃で、割と有名ですね(私の「有名」とか「マイナー」とかの基準って、あくまで主観なのでご了承下さい。でも、それなりにいいポイントを突いてると思うんですけど、どんなもんでしょう、、)。で、このM57Bは最近まで知りませんでした。以前ちらっと紹介(それがどないしてんニュース 2018年7月号)した、ロシアの拳銃のイラスト本の、日本製拳銃のページにこれが載ってて「こんなのあったの?」と調べたら、ほんとにあったという。
ブローニングM1910に似てますが、シングルアクションのハンマー式です。ブローニングとワルサーPPKを足して2で割って、3を引いたような(3はあくまで個人的な所感(笑))拳銃ですね。
なんかちょっと貧乏臭いなあ、という気がしないこともない(笑)んですけど、実によくまとまった拳銃だと思います。優秀といわれるブローニングの欠点(一度コッキングすると、空打ちしないとストライカーをリリースできない、など)をちょこちょこ潰しつつ、PPKのちょっとコストが高そうで凝りすぎなところ(セーフティ周りとか)をそれなりにさっぴいて、おいしくいただけるように二度揚げしたような感じがします(ってやっぱ貧乏臭いぞ(笑))。でもなんというか「いろいろ組み合わせて、オリジナルのよさを生かしてさらによくする」という実に日本的な拳銃じゃないかな、と。案外、こういう拳銃ってないんですよね。
グリップは透明の樹脂製で、マガジンの残弾が確認できるようになってます。この辺もなんというか、貧、、いや、日本的だなあ、と。銃口周りの面の処理もかなり凝ってて(あまりにメンドクサクて納得できるまで描ききれなかった、、)、これまた日本的です。こういうのを見ると、戦前からの「伝統」というのは途切れずに続いてたんだなあ、としみじみ思います。
日本では50年代後半から60年代中盤にかけて「兵器を国産化しよう!」というキャンペーン(みたいなもの)があったらしく、61式戦車とか64式小銃など、続々と日本製の兵器が開発・制式化されました。でも、この57Bのように試作で終了したものも多々あるんですね。
先に57Bは「鉄道公安官と空港警察向けに試作された」と書きました。これらは比較的一般市民と常に身近なところで勤務する職種です。なので「拳銃を持っている」という威圧感を少しでも減らすという目的で、小型で目立たない拳銃が求められたようです。でも、そこまでの配慮が必要なのか?ということになったのか、配備数とコストが見合わないことになったのかは分かりませんが、没になってしまいました。
警察の拳銃ってとても興味があるんですけど、本など一つにまとまった資料がないので断片的にしか知ることができないので残念です。でもまあ、仕方ないといえば仕方ないですね、、。ウェブ上では「日本警察拳銃史」というめっちゃ詳しいブログがありますので、興味のある方はご覧になってみて下さい。M57Bについてはほぼここから情報を得ています。休止中なのが残念ですね。
●ウィンチェスターM1895 Winchester Russian Model 1895
第一次大戦ごろにロシア軍で使われた、レバーアクション式の軍用銃です。
ウィンチェスターのレバーアクションといえば西部劇なんですけど、M73とかと違ってこの銃はロシアの軍用ライフル弾(7.62ミリ×54R)仕様です。M73などは、ライフル弾じゃなくて拳銃弾(44-40弾など)を使用するのですね。なので、銃種としてはちょっと違う訳です。じゃあ、何がどう違うのかというと、、、えー、説明がメンドクサすぎるのでオミットします(コラ)
で、このM1895はボルトアクションライフルのように、薬室上部からクリップでライフル弾を装填するようになってます。Wikiによると、ウィンチェスターがロシア軍から「騎兵が片手で操作できる銃が欲しい」という注文を受けて、開発したそうです。レバーを下げたときのメカニカルな感じが実に素敵です。ついレバーを大きく描いてしまいましたが、まあそれもいいじゃないですか、という(笑)
ロシア軍の54R弾仕様以外にも、米軍用の30-06弾や英軍の.303ブリテッシュ弾仕様とかもあるようです。でも軍で広く使われたのはロシアタイプのみのようです。というわけで、軍用のレバーアクションライフルは、多分この銃だけなんですね。なんかもう、それだけで「たまらん!」という。何がどう「たまらん」のかは、分かる人にしか分からん、というたまらんさです(笑)
レバーアクションは、連射性能はボルトアクションよりは優れてたんでしょうけど、構造的に複雑だし、砂塵にも弱そうだし、兵士たちへの教育も大変そう(一般市民が機械自体になじみのない時代に、銃器の分解結合を教えることがどれだけ大変だったか、というのは今では想像もできないくらいでしょう)だしで、なんだかんだで軍用には向いてなかったんでしょうね。でも、ロシア方面では結構使われてたみたいです。フィンランド軍が使ってる写真もありました。
余談になりますが、先に「レバーアクションは構造的に複雑」と書きました。レバーアクションは、単純で堅牢とされるボルトアクションに比べると、自動小銃に近いです。ボルトアクションは、ボルトとロックシステムが一体となってますが、レバーアクションはそれが分かれてて、レバーを操作することでロックを解除する方式です。で、マキシム(世界初の自動式機関銃を発明した人)は、機関銃の開発前にレバーアクションライフル(ウィンチェスターM1866)を反動式の自動小銃に改造してます。彼はこれで自動火器開発の手応えを得たようです。また、M1866を開発したブローニング本人も、ガス式の自動小銃にしています。そして、後にそれぞれが別の機構の機関銃を開発しました。クラシカルでロマンチックな西部劇の銃が、戦争の様相を一変させた新兵器につながってたわけです。こういうの、ほんと興味深いですね。
閑話休題。M1895は、映画「オーロラの下で」で役所広司さんがこの銃を狼の群れに向けてバンバン撃つカットがあります(うろ覚えですけど、多分そうだったと思う)。結構使い込まれた感じの銃で、とてもカッコよかったです。今でもシベリアとかで猟銃として使われてるのかもしれないなあ、と思うとほっこりしますね。
それにしても、この銃はアクションといいデザインといいほんと素敵です。マルシンさんくらいで、金属製のライブカートガスガンで出たらたまらんのですけど、これまた、まあ無理か(笑)。でもほんと欲しいなあ、、。
●東京造兵廠製試製自動短銃 Japanese Experimental Machine Pistol
恐らく、日本で初めて作られた機関短銃です。資料が少ないので、断定はできないのですが昭和2年(1927年)に作られたとのこと。当時は自動短銃と呼称されてました。弾丸は8ミリ南部弾で発射速度は1200発/分(MG42と同じ!)。東京砲兵工廠で作られました。設計者は不明。
機関短銃の始祖であるMP18/Ⅰから10年も経たないうちに、日本も開発に着手して形にしていた、というのはまあたいしたもんだな、と思います。これまでのエントリーでもちょこちょこ書いてますけど、日本の新兵器への関心はほんとに高くて、機関短銃に関しても、タイミング的に欧米の情報を入手してすぐ動いたような印象です。
この辺の例としては十一年式軽機が一番わかりやすいですね。採用年は1922年です。この時期に新規に独自で軽機関銃を開発・採用していた国は、実はほとんどありません。世界最速レベルです。いやほんと。他の例としてはルイスくらいしか思い当たりません。んが、開発者(米)と採用国(英など)が違います。BARがあるじゃないか、といわれそうですが、あれは名称の通り「自動小銃」なんですよねえ、、、。フランスのMle1924も、BARに影響を受けた銃なので自動小銃です。じゃあショーシャは(略)、ドイツのMG08/15は重機のダイエット版です。どうだ!!(といわれても困るか(笑))。まあ、ひいき目にみてるのは自覚してますけど(なんやねん)、要するに「日本軍は保守的で新兵器への開発に不熱心だった」「三八式と銃剣に固執していた」というようなイメージはほんとにウソなんですよ、って言いたいわけです。日本軍はただただ、とにかく、ボンビーなだけだったんです(笑)←笑うな!
閑話休題。で、この銃の製作時期を考えると、サブマシンガンとしてかなり先進的なデザインじゃないかと。十一年式じゃないですけど、この時期にこれだけのものを作ったというのは凄いと思います。コンセプトとしては、とにかくコンパクトに作ろうとしていたことが伺える上に、日本的なセンスがキッチリ盛り込まれてるのも素晴らしい。銃身の冷却用の溝とか銃床のラインとか、素敵すぎて頭がクラクラします(笑)
完成後、トンプソンとベルグマンとこの銃で、比較試験があったそうです。つまり、開発時にこの2丁が参考とされた可能性もあります。そのつもりで見ると、トンプソンの影響が大きかったんじゃないかなあという気がしますね。グリップとフォアグリップの感じとか、銃身がむき出しとか、ドラムマガジンとか。ストックの曲線も、トンプソンっぽいといえばぽいです。
で、試験の結果、発射速度が速すぎる(まあそうですよね)、強度が足りない(試験中に破損)などいろいろ不具合があって、没になりました。うーん、カッコいいのに、ほんと残念です。
で、試験の結果、発射速度が速すぎる(まあそうですよね)、強度が足りない(試験中に破損)などいろいろ不具合があって、没になりました。うーん、カッコいいのに、ほんと残念です。
で、この銃で特筆すべきは、保弾板仕様という点。ドラムマガジンは50連です、10発単位の保弾板を繋げるという機構です。保弾板用の切り欠きも銃にあります。古今東西、保弾板を使う機関短銃というのは他に例がありません(多分)。トンプソンの試作型は、ベルト給弾式だったというのはマニアの間ではよく知られていますが、その辺もどこかトンプソンとの類似性を感じます。でも、さすがにトンプソンの試作型のことを日本が知ってて、これも真似したとは思えないんですけどね。シンクロ二シティじゃないかなー、と。
で、現在公に目にできるこの銃の写真は2枚です。それを見ると、ドラムマガジン部の円の中心部には軸が見られません。トンプソンやPPSHなどのドラムマガジンは、中心部に軸があって、その軸にゼンマイやコイルスプリングなどの機構を組み込んで、弾丸に装弾のテンションを与えています。
その辺から察するに、この銃のドラムマガジンは、MG34や42の50連マガジンと同じく、中身は空っぽなんじゃないかという気がします。10連の保弾板を5つ繋げて(保弾板の両端には、九二式重機のそれのように連結用のラグがあります)、くるっと丸めたものを収めてるだけなんじゃないかなあ、と。
こうすると、ドラムマガジンの製造コストは最小限に抑えられます。ただの空き缶みたいなものですからね。しかし、本体に給弾用の装置を備える必要が出てきます。つまりマガジンが単純な構造になる分、本体の構造が複雑になってしまうわけです。弾丸を多数保持できるドラムマガジンは、自動銃としては理想的なのですが、結局はどこかで帳尻を合わせる必要が出てくるんですね。ドラムマガジンは古今東西各国で製造されましたが、いまいちメジャーになれず、マガジンの傍流に収まっているのはこういう理由があるからなんでしょう。イラストにも描いてますが、ドラムマガジンだけでなく、ボックスマガジンも作られています。でも、装填数は20連程度に見えますので、この発射速度では一瞬で空になります。なのであくまで参考程度に作られたんじゃないかと。後に、銃本体を少し大きくして強度を増した二次試作型が作られたそうで、それは18連の箱型マガジンだったとか。なので、二次試作型は発射速度を落としていたのでは、と推察されます。
で、この自働短銃は外観を見ると十四年式拳銃の拡大・応用版にも見えます。クローズドボルト&ストライカー式じゃないかと。2枚の写真を見ると、ボルトは閉鎖した状態で、コッキングピースが前後しているものが各1枚ずつとなってますので、FG42のようにコッキングピースとストライカーが連動してるんじゃないかなと思います。機関短銃なので、ストレートブローバックかと思ってたんですが、資料を読み直したら銃身後座式とあったので、何らかのロック機構が組み込まれているようです。コッキングピースとの絡みもあるので、その辺は十四年式と同じとは思えないし、じゃあそれならどういうロック機構だったのか、と考えたらよく分からないし、、。というわけで謎が多い銃なんです。でもほんと素敵ですね。たまらんです。
謎が多い、という意味では日本軍の機関短銃自体が謎だらけです。開発経緯を含めてきちんと知りたいのですが、なにぶん資料が少なすぎてよくわかりません。そもそも、唯一制式化された一〇〇式機関短銃の総生産数すら分かってない、という点だけでもいかに「謎だらけ」なのかがわかっていただけるんじゃないかと。うーん、ほんと知りたいことだらけですね。
というわけでお終いです。今回も絵よりも文章が多かったですね(笑)。ほんとすいません。このシリーズ、ネタはまだまだありますので、またそのうちUPしたいと思ってます。っていうか、銃に興味のない人からするとめちゃくちゃ「置いてけ堀」なシリーズ(笑)でほんと申し訳ないです。でも、書き出したら「あれもこれも、あ、それも書かなきゃ!」ってなっちゃうんですよねえ、、、。すいません、ほんと。
というわけでまた。お盆の季節ですが、全然まだまだ暑いですね。皆様、何卒ご自愛下さい。
※第1回から3回まで、リンク貼っておきますのでよろしければご覧下さい。
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