モデラーの方ならよくよくご存知でしょうが、模型・プラモデルを作るのは実に実に面倒くさくて鬱陶しいです。作ってる最中は「オレは何でこんなことやってるんだろ、、」と何百回も自問自答するという、とても変で困った趣味であります。
面倒臭いことが好きな人はまあいないと思います。もちろん、私も大嫌いです。しかし、プラモは好きだし作りたい(どないやねん)。なので、少しでもそういうネガティブな要素を減らせば、より模型を楽しく作ることができるのではないか?と考え、常々ちまちまと工夫しております。
今回はその工夫・アイデアをいくつか紹介したいと思います。もちろん、すでに誰かが考えて定番となってて「いまさら?」と思われることもあるかもです。まあでも、こういうのって知ってる人は知ってるし、知らない人は知らないものです(当たり前)。で、もしまだ知らない人がこれを読んで、ちょっとでもお役に立てれば嬉しいなあと思っております。というわけでスタート!
●ランナーに番号を張ると楽っすよ
昔と違って、最近のキットはとても精密になったのはいいのですが、それに比例してランナーの数も増えました。例えば戦車のフルインテリアキットとなるとかなりの枚数になります。組み立てながら、該当するランナーをいちいち探すのはほんとに大変です。
そこで、組み立て前に全部のランナーに印を付けると分かりやすいです。
これはミニアートのM3リーのフルインテリアキットのランナー。見ての通り「A」や「F」の一文字では処理しきれず「Dn」とか「Jc」とか2文字ランナーがてんこ盛りの「殺す気か!」キット(笑)
印は、自分がわかりやすければ何でもよいです。私はマスキングテープにマジックで記号を書いています。とはいえランナーを探す手間が一切なくなる、というわけではないのですが、見つけるまでの時間は確実に短くなります。それはとても大事です。完成までの両者の時間差はかなりのものになるんじゃないでしょうか。
また、探すという行為はストレスを感じるものですから、そういう時間が長くなればなるほどイライラは高まりますし、作る気持ちも段々萎えてきます。そういうマイナスな感情を少しでも減らす、というのは大事だと思います。
で、これはもうすでに定番となってますね。でもやったことのない人も多いのでは。ちょっとの手間ですがほんと楽ですよ。
●塗料の表を目の前に張っとくといいぞ
組み立て説明書の、各パーツの色指定をまとめて目の前に張っておくと便利です。これもM3リーのです。
メーカーによって異なりますが、特に海外メーカーのプラモは説明書の最初か最後に使用する塗料の表があって、組み立て説明の中では番号のみで記されてます。なので、組み立て中に各部の指定色を知りたければその表をいちいち見ないとアカンわけです。
各工程に進むたびに「②は何色だったっけ?⑥は?」と説明書をばさばさめくる、というのはほんとイライラしますよね。なので、こういう風に一まとめにしてすぐ見えるところに張っておくとよいわけです。
これも、先のランナーの目印と同じことですね。要は「『行って戻って』を繰り返すロスとストレス」を出来るだけ減らそう、ということです。ランナーの目印同様「こんなことすること自体面倒だ」と思われるかもですが、これらを最初にやっとくだけで、後々楽になりますよほんと。
●木工ボンド最強伝説
木工ボンドは、ほんといろいろな使い道があって重宝してます。ジオラマを作る場合なら特に、これがないと作れないほどですよね。
また、あちこちで書かれていることですが、案外プラと相性が良いです。エッチングなど金属パーツに対しても同様です。完全固定はできないのですが、逆にその点を逆手にとると利用範囲が広がります。
例えば透明パーツの固定には有効です。プラ用接着剤を使う場合、はみ出したりしたら一発でアウトですが、木工ボンドだと何度でもやり直しができます。やってみると分かるのですが、思ってるよりは強く張り付きます。「ほんとかな?」と思う人は一度試してみて下さい。
例えばこのM26A1の窓(透明プラ板)も木工ボンドで着けてます。キャビン本体はレジン、窓枠はエッチングなので、付けるとしたら瞬着かエポキシ系の接着剤くらいしかありません。どっちもはみ出したらアウトの一発勝負なので、男らしく木工ボンドでやってみました。
これ、もう15年くらい前の作品ですが、今でもちゃんと付いてます。要は、剥がそうとしたら剥がれるけど、剥がそうとしなければ剥がれないんですね(当たり前)。しかし、パーツの形状、接着面積などによっては使えたり使えなかったりしますし、少量だとすぐ剥がれることもあるので、いろいろトライしてその辺の按配を掴むのが大事ですね。
あと、この特性を利用して仮組みでも重宝してます。
とりあえず全体の形状を見たいときの仮組みにはとてもいいです。飛行機だと特に、操縦席など内部を完成させないと本体が組めないので、この方法は便利です。マスキングテープでもいいのですが、テープだとその色のせいで全体形が把握しずらく、かつ張ったり剥がしたりするのが面倒です。また、脚など小パーツの固定は無理です。木工ボンドだと、実際に接着したようなものが仮に作れるわけです。もちろん、仮接着時はテープなどで固定する必要があるし、乾燥までちょっと時間がかかりますが、速乾型だと案外すぐ付きます。
木工ボンドの一番いいのは、安くてどこでも売ってる、という点(笑)こういの、ほんと大事です。いくらいい道具や材料でも、高くて手に入れにくかったらそれだけでマイナスポイントになりますからね。「トータル」が大事だと思います。
●エコじゃないけどエコ(多分)
弁当用のおかず入れのアルミのアレ(カップとか皿とか、いろいろ呼ばれてます。正式名称はないのかな、、)を利用した塗料皿です。
塗料皿って、洗うのがとても面倒ですよね。塗料が乾燥しきってしまうと、なかなか落ちません。こういうのどうにかならんかなあ、と考えてて、絵画用の使い捨てパレットを見て思いつきました。
実にビンボ臭いのですが(笑)、これ以外と便利です。通常の塗料皿は、当たり前ですが洗浄用の溶剤が要りますし、もちろん洗う手間もかかります。これだと、溶剤も洗う手間もゼロ!捨てるだけです。
エコじゃないんですけど、でもまあちょっとのことですし、そもそも洗う溶剤が要らないという点ではエコでしょう(そうか?)
フィギュアや小物など、少量の多色を同時に塗るときは特に重宝します。仕切りが少ないので、隣の色と混ざりそうですけど、少量なら大丈夫です。もちろん、スミ入れなどシャバシャバの塗料を使う場合は使いにくいですけどね。とはいえ、スミ入れでもウォッシングでも基本単色なので、円の半分を全部使うつもりでやれば案外使えます。
これが下の台。適当な板で自作しました。縁と2分割用の出っ張りをつけてます。縁がないと塗料がこぼれます(当たり前)。
皿の下の台は、高さをつけるのと重りにするためです。ある程度重くないと、塗料を混ぜるときに皿が動くのでここ大事です。
アルミカップの大きさが基準となるので、丸型が面積をフルに活用できますが、面積内なら四角型にすることも可能です。左がそれ。
要するに、アルミがかぶされば何でもいいので例えばプリングルスの蓋とか身近な素材でいくらでも自作できます。自作だと、好みに応じて自由にカスタムできるのがいいですね。
もちろん、アルミホイルを切って使うのもOKと思います。でもそれだと事前に必要な大きさに切り出さないとアカンので、やる気がそがれてプラマイゼロかも(笑)
●すぐ出せるのでストレスレス
私はエポパテを多用するのですが、ご存知の通りエポパテはまず箱から出して、それぞれのパテを等量切って、練って、と実に鬱陶しい。もっとパパッとできんものか、と思って考えたのがこれ。エポパテケースです。
要は、この箱を開けたらすぐ取り出せるようにしているわけです。左はメンソレータム。練るときにこれを混ぜるとベタベタしないのはご存知ですね。パテのビニールは全部はがしてくるっと丸めてます。ビニールがなくても変質はしません。
こうすることで、蓋を開けて必要量をちょっとつまんで練ることができるわけです。「パテ使いたいけど、練るの面倒だなあ、、」と思って手が止まってしまうのを出来るだけ無くしたかったのですね。やってみると、想像以上にかなり気軽にパテを練ることができるようになりました。いやほんと。
箱は、100均で売ってたもの。形状材質に関係なく、蓋がすぐ開け閉めできるものなら何でもいいです。
蓋はとても大事です。パテがむき出しだと、当然ながらゴミや埃が付きまくります。実は、この蓋付きの前、むき出して置いて使ってたのですがすぐガビガビニなってしまいました(笑)そういう失敗を経てこういう形に落ち着いたわけです。
ちなみに、パテを練るときには主剤と硬化剤をそれぞれ団子状にすると等量にしやすいです。
量が多いときは、それほど神経質にならなくてもいいのですが、少量だとちょっとの差で硬化不良が起きるような気がします(細かく検証したわけじゃなくて、なんとなく、ですが、、)。団子状にするようになってから、その辺はかなり解消されました。
●偉いぞ凄いぞ浦和工業
浦和工業のマイクログラインダーHD10は、とても軽量で使いやすいモーターツールです。もう10年以上愛用しています。直しなおし使ってるので、ミイラみたいになってるのはご容赦を(笑)
安いので(2000円くらい)新しいの買えばいいんでしょうけど、外見はともかく基本機能は全然問題ないので、ずっと使ってます。ほんと凄いと思います。電源も単三電池2本と手軽で、軽くて使いやすいです。モーターツールを持ってない人は、入門用にまずこれを買ってみたらいいと思いますよ。
このモーターツールのチャックは単純な差込式で、すぐビットが交換できるのがよいです。かといって緩むこともないという優れもの。で、このチャック、市販の麺棒の軸がピッタシなんですね。
ある日、何気なくやってみたらジャストフィットでびっくり。ゆるくもなくきつくもなく、絶妙です。麺棒を適当なところで切って、差し込んだら使い捨てのバフになるんですね。飛行機キットのキャノピーとか、トイガンの金属パーツの研磨とかに活用してます。ちょっとダメになったらすぐ変えられるのもいいです。
コンパウンドが付けやすいのもいいです。口に押し込んでやるだけ。もちろん手で塗りこんでもOK。
ただし、回転直後は飛び散るので、最初は袋とか筒(トイレットペーパーの芯など)に差し込んでスイッチを入れて下さい。そうしないと、ほんと大変が起きますですよ。わたしゃ知りませんよ(笑)
このモーターツールは持ってる人多いかと思います。お持ちの方は一度試しにやってみて下さい。ほんと便利ですよ。
●紙コップは使い倒せるゾ
これまた使い捨てアイテムですが、紙コップも実に便利です。筆の塗料を洗う、エアブラシ用の塗料を希釈する、切り出したパーツをとりあえず入れておく、などなど用途がたくさんあります。値段も安いし、いくらでも変えがきくのもいいです。
紙コップというと、レギュラーサイズ(珈琲の自販機とかのやつ)のイメージが強いですが、模型用としてはミニサイズがとても便利です。レギュラーだと大きすぎて、例えば少量の塗料を希釈するのが難しかったり溶剤を必要以上に入れてしまったりするんですね。このサイズだと加減がやりよいです。また、机の上に並べても場所をとらないのもよいです。
右の白いカップは、アイスクリーム(エッセルスーパーカップのミニ。箱に6個入ってるやつ)のものです。これ好きでよく食べてるんですが、よくよく見るとこの容器、メチャ上等です。プラの質も高く、大きさもいい感じ。気付いてからは捨てずに取っておくようにしました。いろいろと使えそうです。こういう風に身近に使えるものって意外とあるので、常に意識的に周りを見るのも大事だなあと思います。
●釣りはせえへんけど、、。
釣り用の板鉛・糸鉛はほんといろいろ使えます。板鉛は、銃のスリングや兵士のベルトなど帯状の物体の表現に最適です。糸鉛は、エンジンのパイピングなどにとても便利です。何より安い(ひと巻きせいぜい数百円程度)ので重宝してます。
釣りはしないので、釣具屋さんに行くといろいろ珍しくて、何も分からないのにルアーを「ほぉー」などと眺めたりとかウロウロしてしまいますね(笑)それにしても、鉛だけまとめて買っていく(しかも釣りに詳しそうではない)客というのは、向うからしたら変でしょうねえ。
鉛は、強度はないですが逆にとても加工・変形させやすく、その特性を理解していれば結構幅広く活用できます。
これはリベットを作るビーディングツール。普通プラを打ち抜くものですが、鉛でも全然OKです。っていうか、プラより打ち抜きやすいかも。また、鉛は柔らかいのでデザインナイフの先が綺麗に刺さり、持ち上げるのが簡単です。
プラだとこの状態で「ポロッ」とこぼれることが多いんですよね。かといって強く刺すと割れたりしますし。なので鉛でリベットを作るようになってから、プラは使わなくなってしまいましたね。
糸鉛は、パイピング以外にもいろいろ使えます。この「MAZDA」のエンブレムは糸鉛です。文字の形に曲げて接着してから、押しつぶして整形しています。柔らかいからこういうことができるんですね。
つなぎ目も、デザインナイフの先でグリグリなでてやれば埋まってくれます。いやほんと、便利な素材です。
あと最近1/35のトタンが欲しいなあ、と思ってあれこれ考えてて、編み出したのがこれ。クレオスのビンの蓋の側面に板鉛を置いて、
もう一個の蓋を押し当てて、歯車みたいにグルグルーッと回します。
するとアラ不思議!トタン板が!
きちんと型が付くまで歯車を何度も回してやる必要がありますが、実に簡単かつ精密にできます。
ただもちろん建築用のトタンとしては幅が全然足りません。まあでも、私が欲しいサイズとしてはびっくりするくらいピッタリだったのでOK!(笑)建築用のトタンも、これの応用で歯車を自作できればなんとか作れるかもしれません。
とまあ、いろいろあれこれ書いてきましたがこれでお終いです。言われなくてもわかっていますが、どれも基本的にビンボ臭いですね(笑)でもまあ、お金をかけずにアレコレ工夫して、いいものができると嬉しいじゃないですか。そういう基本方針のもと、いろいろ知恵を絞ってます。
また、私は地方在住なので、都会に比べると入手できる道具や素材の選択肢は非常に限られています。通販はできますが、例えば使ったことの無い新素材を(しかも高価な)あれもこれもと買うことは心理的にも金銭的にもちょっと抵抗があります。買ってみてやっぱ使えないなあ、となるとほんと無駄ですからねえ、、、。もし何かを気に入ったとしても、補充も大変です。また、これは地方都会関係なく、いくら効果的で便利な素材でも、いつ絶版ないし入手難になるかわかりません。これも結構怖いですね。「アレがないからコレができない」という事態は出来るだけ避けたいですよね。
なので、まず身近でいつでも手に入るものを活用することを念頭に置いて考える方がいいのかな、と。自給自足モデリングというか、補給をあてにしない(っていうか補給があてにならない)日本軍モデリングといいますか(笑) まあ私は日本軍が好きなのでちょうどいいかなあ、と(なんか違う気が、、)
そして、これは大事なことですが、これらのアイデアってほぼ「面倒臭い」「億劫」「鬱陶しい」というネガティブな気持ちから生まれたものです。そういう気持ちって、普段何気なく感じてることで、なかなか表層に現れてきません。「この作業面倒くさいなあ」と意識できないと対策を考えることは不可能です。なので、そういう風に感じることはチャンスでもあるんですね。問題が可視化されてはじめてアイデアを考えるスタート地点に立てる、といいますか、、。
まあ、なんであれ今後もあれこれ工夫しながら知恵を絞っていいものを作っていければいいなと思ってます。最初にも書きましたが、今回紹介したことが、少しでもどなたかのお役に立てたとしたらとても嬉しいです。またネタが溜まったら、第二弾をやりたいですね。
※最後に2件お知らせです。
●来春の中四国AFVの会は中止になりました。
当ブログでも再々告知していた、来年4月松江にて開催予定だった中四国AFVの会は、コロナが依然沈静化の見込みが立たないため、中止となりました。非常に、非常に残念ですが、仕方ないですね、、。
また、再来年の開催については現在未定です。実行委から新しい情報が入り次第、お知らせしたいと思います。
●ギャラリーソラトさんの展示会に参加します。
今年私の絵を展示してくださった京都市の「ギャラリーソラト」さんが、今年の総決算的展示会「ソラト藝術考2020」を開催します。会期は12月22-27日です。私も2点出品します。興味のある方はぜひご来場下さい。出品するのは、以前「イラスト集」でも紹介したこの2点です。右の絵(「世界の終わり」)は、原画を展示します。また両方とも複製画を何点か販売してもらいます(一枚500円。通販可)。さっき発送準備が終わったところです。売れるといいな、、。
開場時間、アクセスなど詳細はこちらのギャラリーブログ↓からどうぞ。展示の様子は、開催日の直後こちらのブログにてレポートされると思いますので、ぜひご覧になってみて下さい。