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森男の活動報告綴

身辺雑記です。ご意見ご感想はmorinomorio1945(アットマーク)gmail.comまで。

ブローニングM1900(ACRO製エアソフトガン)の再仕上げ(その2)

2025年01月12日 | 銃の模型
ブローニングM1900の再仕上げの続きです。前回書いたとおり、予想通りといいますかあんまり進んでいません。でもまあ客観的に見ると全く進んでないわけでもないので(こういう言い回し多いよな、、)紹介します。

前回は本体の塗装が終わったところまででした。次は小パーツを仕上げていきます。といってもトリガーとセフティのみなんですけどね。セフティは製品の塗膜を落とし、研磨してからブルーイングしました。青くはなりませんでしたけど、意外と素直に染まってくれました。
トリガーは、左側面2箇所の突き出しピン(かな?)跡が結構深くて(1ミリくらい)それが消えるまで磨くのは大変だし、フレームとのクリアランスもでかくなっちゃうのでブルーイングはあきらめました。なので、プラリペアを盛ってピン跡を消し、トビカで塗装。プラリペアは粉はあるけど硬化液が先になくなっちゃった(っていうか長期間置きすぎて蒸発してしまった。プラリペアあるある)ので、さらさら瞬着で代用しました。

で、トビカのようなスプレーは溶剤が瞬着を侵すのか、綺麗に仕上げてもスプレーしたらそこだけがなんかガビガビになります。その辺をだましだましタッチアップしてから研磨します。でもやっぱり綺麗にはできません。まあ、よーく見たら変かな?くらいでなんとか収まりましたので(ハアハア、、、)まあいいでしょう。
ついでに、銀で塗ったブリーチ部のエキストラクターも他の部分をマスキングしてトビカで塗りました。こういうの、アクセントとして大事ですね。

バレルとブリーチは塗れたので、次はウェザリング。油絵の具のバーントアンバーを薄めて、模型用の錆色のピグメントを混ぜて塗布します。
油絵の具は乾燥すると塗膜が意外と強くて、かつスプレーの微細な凸凹にも流れ込んで以後案外そのまま全体的な色調を保ってくれます。

乾燥後、布とかで拭いたらこんな感じ。拭取ってもなんか銀の色調が変わってるのがお分かりになるかと。で、これが以後残ってくれるわけです。
もちろん、ずっとじゃないですけどね。トイガンの宿命ですけど、プラモと違って完成後触りまくっていじりまくるものなので、どう頑張っても塗装は剥げますわね。でもできるだけ残したいやん!ってジタバタあがいて踏ん張ろうとするのがガンスミサーの醍醐味でありましょう(多分)。

前回も書きましたけど銃口上の穴は、リコイルスプリングが収まる所
で、実銃はリコイルスプリングを抑えるパーツがあります。それをなんちゃってですけど再現してみました。
で、これなんていうパーツなのかな?って調べたんですけど分かりませんでした。ここがネジになってて、リコイルスプリングを押さえ込むんですね。なんて名前なんでしょうね。まあ、いいんですけど(笑)

で、せっかく作るなら金属パーツにしたいなあ、と。「でもこの穴にピッタリの金属棒ってなかなかないよな。ホムセンで真鍮棒を買ってもいいけどこんなちょっぴりのために買うのもなあ」って、思ってたらピッタリのがありました。マルシンM1910のモデルガンのカートのリムです。
新品とかのはもちろんもったいなくて使えないので、撃ちまくって洗いまくってファイアリングピンが錆びて溶けちゃったのが幾つかあるのでそれを使いました。マルシンの昔のPFCカートのここってこうなりますよね。手入れをちゃんとしてたらならないかもなんですけど、私はつめが甘いので最終的にはこうなっちゃいます。

んで、資料を見ながらそれらしく仕上げたのがこれ。ギザギザは、分解用のローレットです。丸いのは真鍮釘。頭の部分しか見えないのでこれでいいのです。
ほんとなんちゃってなんですけど、こういうのがあるだけでも違いますね。

ブルーイングしてみたら、ちょっとだけ色が乗ってくれました。アンティークぽくていいなあ、と悦に入ってます。

というわけでなんだかんだで本体は目処が付いてきました。最後はグリップです。前回書いたとおり、とっちーさん作のリプログリップを付けようと思ってたのですが、これをそのまま使うのはちともったいない。せっかくなのでこれを複製しようかなと。でもそうするとまだちょっと先になりそうです。他にも複製したいものがあって、その時同時にやりたいなあと。

なので、とりあえず木製グリップを作ることにしました。
材料はブナです。以前ベレッタM1934で作って一番加工しやすかったのです。柔らかくてチェッカリングが入れやすいんですね。

メーカーメイドの木製グリップはなかったのですが(多分)、まあこういうのもいいんじゃないかなあ、と。
今大体形が削り出せたところです。
もうちょっとアウトラインを削って整えてから、チェッカリングに入りたいと思います。形はあえてオリジナルと同じにせず、面積を増やしてみました。完成後、結構印象が変わるんじゃないかと思ってます。

その以前作ったっていうベレッタのがこれです。グリップだけでもこれだけ変わるんだなあ、と。車でいうならホイールに近いかも?本体は変わらなくても、ここだけで印象が変わるという意味では似てるかもですね。

さて、前回も書きましたけど、エアガンのグリップスクリューの位置はオリジナルと違います。オリジナルグリップをあてがってみると、少し下後ろのようです。
なので、オリジナルグリップで位置を決めて、木製グリップもそこに穴を空けました。HW材なので、タップでネジを切ったらちゃんと切れました。ああ、よかった。

あと、トリガーとセフティ下部のピンは両端を研磨しています。こういうのもいいアクセントになってくれます。

というわけで、出来上がりつつはあるんですけど、なんだかんだで長期戦になりつつあります。
はよ仕上げてパカパカ撃ちたいですねえ。より楽しくパカパカ撃つために、こういう再仕上げをしてるんですけど、長期化するとその楽しむ時間が先に先に延びていくわけです。なにやってんだか、ですねえ。でもまあ、いいか、、、。

というわけでまた。

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ブローニングM1900(ACRO製エアソフトガン)の再仕上げ(その1)

2024年12月01日 | 銃の模型
前に紹介したブローニングM1900のエアガンの再仕上げを進めています。今回はその過程を紹介します。

とりあえず、分解して表面を磨きます。HW素材ですが日本のそれと比べるとちと目が粗いです。ブルーイングはできそうですけど、今回はスプレーによる塗装仕上げをすることにします。
まず400番のペーパーで磨きます。

これくらいになるとテンションが上がってきますねえ。

目が粗いとはいえ、HW材ということもあってキラキラとなってくれます。多分、金属粉の粒子が粗いのかな?でもそれが逆に金属感を強めてますね。
このまま塗らずに、錆色でウェザリングして「カラシニコフバージョン」(前回参照)にしてみるのも楽しそうです。あと一丁欲しいなあ(笑)

磨くついでにディテールアップ。スライドとエキストラクターの溝を追加しました。スライド部は、実銃だとここが別パーツなので溝があるんですね。エキストラクターはモールドはされてるんですけどぼんやりしてるので溝を彫ってくっきりさせたというわけです。
工具はPカッターです。そういえば久しぶりにPカッター使いましたね。このコリコリした手応えがまた(笑)。セフティの軸のモールドも、ちょっと彫り込んでます。

フレーム後部の溝も追加しました。
ちとガビガビですけど、まあいいでしょう。いいんですったら!(笑)

全体が磨き終わったところ。
これだけでも、製品版よりもグッと実感が増してますね。塗装するので400番のみで番手は上げません。

スプレー塗料はトビカと艶銀。トビカは雨男さんという方(アルミ刀身の銃剣とか電動一〇〇式機関短銃を自作して販売されてます)が使ってるのをツイッターで見て、イイ感じなので真似することにしました。
トビカはいわゆる黒染めスプレーですね。艶銀はトイガン用に売られているものです。たまたま今回分くらいは残ってたので使いました。これ、塗膜が強くてバレルなどの可動部でも保ってくれるのでいいですよ。

銀を吹いたのはバレルとブリーチ部。実物のバレルはガンブルー仕上げなのですが、変化を付けるために銀にしました。ブリーチはガンブルーとシルバーがあるみたいです。まあ、なんであれこういうの雰囲気ですよね。
塗膜を厚めにしたかったので何度か塗り重ねます。後で1500番のペーパーで凸凹をならします。エキストラクターは後でトビカで黒く塗ってみようかなあと。

バレル正面はライフリングを入れてみました。
けどちょっとだけです。これまた雰囲気レベルですね。でもあるとないとで結構印象変わりますね。

さてトビカを塗り始めた頃、俳優&特殊効果のプロ、とっちーさんこと栩野幸知さんからDMが。なにかしら?と思ったら「実銃のリプロのグリップをこれから複製するので1つどうですか?」とのこと。こ、これは嬉しすぎる、、、。有難くお願いすることに。

これがそれです。うーん、ええですねえ、、。
比べてみると、エアガンのはやっぱりアウトライン含めちと違いますし、ボリュームも少ないようです。また、ネジの位置も少しずれてますね。

グリップ上部のM1900のレリーフの入ったタイプは初期型の特徴だそうです。そういう意味でも貴重ですね。再仕上げするのはいいけど、グリップもどうにかしないとなあ、と思ってたところだったので渡りに船でした。ほんとありがとうございました!

とっちーさんは、長年映画のプロップ製作などに携わっている特殊効果のプロで、ガンマニア界隈では知らない人はいないんじゃないでしょうか。氏は、私が高校生くらいのころアームズマガジンの連載でプロップの紹介などをされててふんふんと興味深く読んでいたものです。そのとっちーさんからこういうものを頂けるようになるとは、、。不思議なものですねえ。

さて、再仕上げに話を戻します。トビカは1度じゃなくて1週間くらいの間に何度も重ね吹きします。十分乾燥させてから全体をじわじわ磨いていきます。
1500番のペーパーで、凸凹が無くなるくらいにならしたら、6000番(クレオスのラプロス)で仕上げます。

全体が磨き終わったところ。うーん、ええですねえ、、、。
写真だと伝わりにくいかもですが、トビカはとてもいい色合いです。これにしてよかった、、。でもちょっと磨きすぎて、下地が出てしまいました。しかしHW材なのでガンブルーを塗ると黒くなってパッと見は分からないレベルにごまけました。そんなこんなでこのまま進めようかと思います。これで本体の塗装は大体目処が付いたので、次にウェザリングに入ります。

というわけで今回はここまで。こういうの、すぐできそうですけど結構時間かかりますねやっぱ。ちょっとづつやってるのでなおさらです。着手したのが10月上旬なのでほぼ2ヶ月。グリップの塗装とかも含めるとなんだかんだで終了まで半年コースかも?(笑)でもまあのんびりと頑張りたいと思います。

最後におまけ。M1900を磨いてたら、ついM1911A1(MGCのモデルガン)も磨いてしまいました。こういうの、勢いが付いたら他のにも手をだしちゃうんですよね(笑)。スチールウールで磨くだけの超簡易仕上げですけど、それっぽくなりました。うーん、イイ、、。ガバはこういう荒い感じが似合うですねえ、、(自己満足)。
しかしこれ未使用新同品を格安で手に入れて、オリジナルのままにしておこうと誓っていたブツなのですが、、。あー、、、。でもまあ売るつもりもないしまあいいか、、。

それにしても、ガバってホールドオープンしたときの方がカッコイイと思うんですけどどうでしょうかね。どーでもいーですか(笑)

このMGCのガバは傑作ですよねえ。もうこうなった以上(?)発火させたいけどそこはグッとこらえましょう(笑)。ただ手をつけちゃったので、トリガーガードは細くしちゃおうかなーと思います。ここ、MGCのはちと太いんですよね。

というわけでお終いです。いやー、トイガンいじるのはほんと楽しいですねえ、、。


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ブローニングM1900(ACRO製エアソフトガン)の紹介(その2・完)

2024年11月03日 | 銃の模型
というわけで第2回です。今回は、エアガンの紹介というよりは前回途中で書けなかった、原寸のエアガンを手にしていろいろ思ったことをつらつら書いてみたいと思います。

まずは前回チラッと書いたとこから。M1900はM1910よりもちょっと大きいんですね。重ねてみるとこの通り。

それは構造的に違うからです。1900はバレルの上にリコイルスプリングがあり、1910はバレルにリコイルスプリングが巻きつくように収められてます。その分コンパクトになってるんですね。
1900の銃身は下の穴で、上の穴にリコイルスプリングが収まってるわけです(実銃の場合)。

このリコイルスプリングなど、1910は1900の不具合(というほどじゃないですけど。まあ、至らない点、くらいですかね)を改良したものであることが伺えます。

1900の設計・構造は少し複雑で回りくどい感じがしないこともないです。しかしブローニング氏はとにかくなんでもいいからブローバック式の小型拳銃をいちはやくモノにしたかったんじゃないかな、と。

もちろん複雑といってもそれは後のブローニング氏の設計と比べて、ということですが。当時としてはかなりのものだったと思います。それはそれとして氏は「いろいろもひとつかもなのはわーってるけどよー、とにかくひとつ造って世に出したいの!」という感じだったんじゃないかなー、と。

なんでもそうでしょうけど、新機軸の初めての製品・商品ってとにかく作って売って使ってもらわないと長所も欠点もわかりませんからね。想定される不具合を全部潰したつもりでも、送り手が考えもしないような使い方をして、トラブルが起こったりする。そういうのを知るにはとにかく世に出すしかないですからね。

さて1900と1910ですが、実際のところ「別の銃」というくらい違います。

似ているのはトリガーとトリガーバー、シア、セフティの構成くらいです。ストライカー式は同じですが、1900のストライカースプリングはリコイルスプリングを兼ねており、1910は独立したスプリングとなってます。バレルの接合方法も違います。ブリーチ部は1900はスライドとは別パーツですが1910はスライドと一体化しています。などなど。

1910は1900の流れを受けて開発されたとさっき書きましたが、それはそうなんですが、あまりに違います。じゃあなんなんだ、というと間にいろいろはさまってるんですね。例えばM1903とM1906です。
この写真のはコルト25オート(M1908)ですがこれはブローニングM1906をほぼそのままコルトが生産販売したもので、同一品と捉えてもいいくらいのものです。

口径や大きさ、デザインなどが違うので気付きにくいのですが、1906と1910は構造構成が本当によく似ています。どちらかに習熟していればどちらかを全く問題なく扱える(と思う)ほどです。そしてM1903はハンマー式ですが1910のようなバレルの結合方式(くるっと回すだけで分解できる。バヨネット式、っていうのかな?)を採っています。

生産性、安全性、操作性などなど1903・1906はことごとく1900を上回っています。そして1906は大ヒットします(ウィキによると70年まで生産されて400万丁売ったとか、、)。で、これを受けて機械・構造的にも商売的にも自信をつけたブローニングは1910を開発発売した、と。

以上の流れは私の勝手な推測です。これらとは別にコルトM1900というガバの原型みたいなの(38口径で今回のM1900とは全く違う銃)もありまして、ブローニングM1900とほぼ同時期に完成しています。スライドとブリーチを一体化するアイデアはコルトM1900で既に形になってます。M1903はどっちかというとコルトM1900の流れにあるような感じです。なのでどれがどの原型かというのははっきりとはわからないんですね。各アイデアを必要に応じて適宜振り分けたような印象です。

で、まああれこれ書きましたが、こんな風にブローニング系の自動拳銃を眺めてるとなんかいろいろと妄想して楽しめるなあ、ってことですね(笑)。

そしてやっぱりブローニング氏は凄いなあ、と改めて思っちゃうわけです。

さて、1900は1889年から製造がスタートし、後継機の1910が発売されて生産が終了するまでに72万4450丁も生産・販売されました。10年間でですよ!例えばあのモーゼルC96でも全型式で44年間で100万丁ですから、この売れ方がとんでもないことがよく分かります。

なぜ売れたか、というと「こういう拳銃がこれまで無くて、そういう拳銃のニーズが潜在的にメチャクチャあった」ということなんでしょうね。

「こういう拳銃」っていうのは「携帯しやすく安全で、かつすぐ撃てる。しかも誰でも」ということじゃないかな、と。いまいちピンとこないんですけど、こういう小型自動拳銃ってそれ以前には存在してなかったんですね(当然ですが)。今は普通にあるのでちょっと想像できないですけど。

なので、最初見た人達はびっくりしたんじゃないかなーと思います。それまでの拳銃っていうのはリボルバーです(ボーチャードとかC96はありましたけど、出たばっかりですしほとんどの人は見たことなかったんじゃないかしらん)。1900は見た目も構造もなにから全く違うわけで。でも機能は十分だし、優れている部分も多い。

フレームやマガジンがプラ製というグロックが登場したとき、かなり驚かれたそうですけど、それに似た衝撃があったのかもなあと。ただ、1900のそれはグロックとは比較にならないくらい大きいものだったと思うのですが。

でも、リボルバーにも当然小型のはあったのでそういう市場をかっさらうほどのものだったのか?という疑問はありますよね。しかし、この点においても1900は優れてます。

上はニューナンブM60です。比較できるトイガンがこれしかないのですいません。でも、ニューナンブのベースはS&Wのチーフなので参考にはなるかと。チーフのつもりでご覧下さい(笑)。

さて両銃はサイズ的にはほぼ同じです。しかし、幅が違うんですね。リボルバーはシリンダーの分だけ分厚くなります。

ちょっとの差のように思いますけど、実際に手に持ったり腰に差したりしてみるとかなり感じが違います。懐に入れるとかした場合はなおさらです。リボルバーって、シリンダー部の出っ張りのせいでほんとゴロゴロするし、シリンダー部に重心が偏るので据わりが悪いんですね。携帯性という点で見ると、1900に軍配が上がるわけです。

さらに、安全性という点でも優れてます。リボルバーは弾を装填した状態で携帯し、トリガーを引いたらすぐ撃てます。これは長所なんですけど、常にそういう状態というのはちと怖いんですね。リボルバーにはハンマーを少し起きた状態にして雷管に触れないようにしておく機能(ハーフコック)やトリガーを引ききったとき以外は雷管を叩かないようにする安全装置(ハンマーリバウンド)がありますけど、常に射撃可能状態にあるというのは、例えば護身用に持ってたとしても、ずーっとその状態ですから、気になるといえば気になるわけです。それなら弾を抜いておけばいいんですけど、そうするといざという時は間に合わない。

1900の場合は簡単です。薬室に装填してなければ絶対に暴発はしません(当然ですけど。しかしこの「絶対」はでかいと思う)。撃つ時も直前にスライドを引いて装填するだけで撃てる。リボルバーの装填スピードとは比較にならない。いつ撃つかわからないような緊張した状況になりそうならば、まず装填しておいてセフティをかけておいたらいい。その状況が終了したら弾を抜いて、またマガジンに戻せばいい。非常に分かりやすい。

ただ、リボルバーと違い、作動不良という不安要素があります。リボルバーはトリガーを引けば必ず撃てますが、オートマチックはジャムる可能性が常にあります。ただ、この1900がどれくらいジャムるのかというとよくわからんのですが。その点の信頼性が高かったことは、先の販売数で証明されてるんじゃないかな、と。そして少なくとも初弾だけは必ず撃てる。

というわけで「安全に携帯しやすい・かさばらない・撃ちやすい」という点がヒットした大きな要因だったであろうと推察できるわけです。拳銃のユーザーって軍人や警官ばかりじゃなくて、例えばちょっと危険な地域に赴く政治家や役人、企業家、ジャーナリストなどの「素人」も多々いるわけです。当時は今よりも(今と同じくらい?)剣呑な地域が多々あったでしょうから、1900のような拳銃があるのなら「持っとこか」となる人は多かったでしょう。これだけ売れたというのはそういうことだったんじゃないかと思います。

さてこの長所ですが、護身用として最適なものばかりなのですが逆に暗殺とか強盗とかの得物の長所でもあるんですね。ヒットしたのは「そういうニーズ」にマッチしたというのもあるかも、と考えるとちょっと怖いですがこれまた実際そうだったでしょうね。

実際、有名な例として1900は伊藤博文氏の暗殺に使用されてます。入手経緯は不明なようですが、1900であったことは間違いないようです。1909年の出来事なので1900は世界中に十分に出回っていたでしょうしね。

ちなみに、犯行に使われた個体はシリアル(262336)まで記録に残っているようです。で、韓国の記念館にはこの個体のレプリカが展示されてます(現物は行方不明らしい)。そしてこのACROのシリアルもそれと同じなんですね。

ACROはどうも金属製のモデルガンバージョンも販売していたそうなので、展示レプリカはそれなのかな?ないしはレプリカ用に製作した金型を後にトイガンに流用したのかな?と思いましたが、記念館のレプリカの写真(撮影可能らしく、幾つか引っ掛かる)をみても判然としません。トイガンとはグリップとトリガーガードの形状が違い、スライドの銃身部も少し長いように見えます。ただ、写真はどれも小さいので断言はできないんですけどね。

なのでACROは展示レプリカとは無関係に、独自製品を作ったんかな?と。また、安重根パッケのバージョンもあるようです(これはさすがに日本では売れないか、、、)から、なんであれシリアルともどもこの件を意識して製作したのは間違いないと思われます。

なので、拳銃というか武器というものはそういう使われ方をするものでもある、ということを考えさせられるトイガンでもあるといえるでしょうね。ただ、拳銃はあくまで拳銃なので1900に罪はありません。そこんとこはきちんと分けて考えんとアカンでしょうね。

ちょっと話がずれましたけど、1900はまあこういう風に剣呑な使われ方を多々されたんだろうなあ、と。伊藤博文氏の件はVIPの暗殺として超有名なのですが、その他犯罪によって何人くらいが命を落としたないしは負傷したのか、集計は不可能とは思いますが古今東西、相当数が被害にあったんじゃないかと思います。

しかし一方で、この拳銃を携帯したおかげで助かった命も多々あったはずです。護身用拳銃として非常に優れていますので先に書いたように「これなら持っておこうか」という人は多かったんじゃないかと。また、拳銃の長所として、非力な人間でもかなりの力を持てる、という点があります。きちんと操作法射撃法を学んでおけば女性でも高齢者でも身を守ることができますからね。ナイフなど刃物での護身術は機敏な動きが必要なので、女性はともかく高齢者はマスターすること自体が困難です。この拳銃によって助かった命はこれまたカウントすることは不可能なのですが、相当数に上るのではないでしょうか。

要は、武器というのはそういうものなんでしょうね。どういう人間がどういう使い方をするかで全く違う結果をもたらす諸刃の剣、という。当たり前のことなんですけどね。けど武器というとやはりネガティブなイメージが強い(まあこれは当然ですから仕方がない)のでこの辺はちゃんと認識しておきたいですね。人類の永遠の議題といってもいいくらい難しい話なんですけど。

さて、この暗殺事件についてもうひとつ興味深い話があります。伊藤博文氏は初代韓国総監として出国する直前の1905(明治38)年、南部式拳銃を設計者の南部麒次郎氏本人から贈られています。

南部氏の自伝「捧げ銃」(ブイツーソリューション)にそのエピソードが綴られています。

それによりますと、ある日南部氏は「拳銃を持参してよく説明申し上げよ」と命ぜられて伊藤氏の元を訪れたとのこと。命じた主語が抜けてますが恐らく政府関係者で、総監着任前の護身対策の一環として、周囲が設定した上での贈呈・説明だったのでしょうね。

南部氏によると、伊藤氏は拳銃というとリボルバーしか知らず(まあそうですわね)南部式を見て「これはなかなか巧妙だ。よく命中するでせう。侵徹力はどうですか」と感心したとのこと。南部氏は分解結合法などを説明し、伊藤氏は熱心に聴いていたと。

帰り際、伊藤氏は「まことにご苦労様でした」と金製のカフスボタンを贈ったとのこと。以後南部氏はそれを愛用して氏を偲んでいたのですが、日中戦争での金買上の際に供出したそうです(実直な南部氏らしいですね)。

伊藤氏が受難時にその南部式を携帯していたかどうかは不明です。いずれにせよ、南部氏の拳銃は残念ながら役に立たなかったわけで、南部氏も「「折角公に差し上げた拳銃が護身の役に立たずして、満州の露と消えられたのは、全く感慨に堪へない次第である」と嘆いています。また、その後その南部式がどうなったのかは不明です。そのとき携帯はせずとも経緯的に持参はしていたはずですので、他の遺品と共に遺族の元に送られ、戦後警察に提出されるなどして失われたと考えるのが自然でしょうね。

さて、視点を変えてこの件を考えると、南部式は開発直後なのに高官の護身用拳銃として妥当と認定されてたわけです。当時なら外国製の拳銃(それこそ1900でも。でもそうなってたら、それはそれで凄いよな、、)でもヨシ!だったはずで。その点でも興味深いエピソードだなあ、と思います。
また、その南部式は大型か小型かは書かれてません。もちろん小型かな?とは思うのですが。

というわけで1900からずれてしまいましたが、まあ全く無関係でもない、という話題でした。ブローニングと南部式が意外なところで交錯していた、というのは非常に興味深いですね。

そんなエピソードはもうひとつあります。1900とカラシニコフ氏との関係です。カラシニコフ氏というと、いうまでもなくあのAKの設計者です。氏によりますと、子供の頃に1900に出会ってその後の人生が決まったんだそうです。

これは「カラシニコフ」(松本仁一 朝日新聞社)という本で、氏が語っています。氏はシベリアの片田舎に生まれました。14歳の頃友人宅で、布で包まれたサビサビの拳銃と弾丸を道具箱の中から見つけます。既に機械などに興味を持っていた氏は、それを譲り受けます。それがどうも1900だったようです。

インタビューでは「7・6ミリ口径のブローニング」とのみ語られていますが、当時彼の地に1910があり、既にサビサビで打ち捨てられてたとはちょっと考えにくい。そして、1900は帝政ロシア軍が購入して装備していましたから、まず間違いなく1900でしょう。

氏はこれを水で濡らした布に砂をまぶした「ヤスリ」で磨くなどして(片田舎なので紙ヤスリなどが手に入るわけがない)発射できるまで再生しました。氏はその巧妙な構造に心酔したそうです。そして以後、銃器への関心を失うことなくむしろどんどんと引き寄せられてAKの開発につながっていったとのこと。偶然出合ったブローニングが間接的とはいえAKに多大な影響を与えていた、というのは実に不思議かつ興味深いことですね。でも必然だったのかもなあ、とも。

これは、「人が作るもの」というのはそれ自体が「才能の伝達機能」を持っているということがよく分かるエピソードです。優れた人が作ったものを優れた人が受け取ったら、その良さを汲み取ってさらに別の優れたものを作る。そしてそれをまた次の人が受け取って、、という連鎖なんですよね。私もいちおうものを作る人間(なんちゃってなものばかりですが)ですので、こいう話を知るとほんとグッときますねえ、、、。

ちなみに「カラシニコフ自伝」(エレナ・ジョリー 朝日新書)でも同様のエピソードが語られています。ここでは「ドイツ製の拳銃」となっています。しかし、この本の著者は先の本の著者に比べると銃器の知識でいうとイマイチなようで、恐らくは聞き間違い・勘違いと思われます。ただ、エピソード自体は同様なものとなっています。日本語で読める自伝としては唯一ですしかつ良書と思いますのでお勧めです。

前述の「カラシニコフ」はアフリカやアフガンなど激変激動する新興国各地の様子をAKという銃をキーワードにして紹介するというルポルタージュです。こちらも非常に読み応えがあります。タイトルだけだと、先に書いた話じゃないですけど「AKのせいで世界がグチャグチャになった」みたいなことが書かれてそうな感じがしますが、もちろんそんなことはなくて、世界はもっともっと複雑で、銃を駆逐すればいいとかいう簡単な話じゃないんだなあ、ということがとてもよく理解できます。続編の「カラシニコフ2」(こちらにもカラシニコフ氏が再登場します)ともどもお薦めです。

あと、先の南部氏の自伝「捧げ銃」は当ブログで以前紹介しています。よろしければお読み下さい。↓
この本ももちろん超お薦めです。

というわけでお終いです。エアガンのレポートといいながらもほとんど関係なかったですね。すいません。まあでもいいでしょう(?)

さて、前回ちらと書いた再仕上げもボツボツやってます。
これはこれでまた改めて別立てで紹介したいと思います。

それでは。

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ブローニングM1900(ACRO製エアソフトガン)の紹介(その1)

2024年10月20日 | 銃の模型
今回はブローニングM1900のコッキングエアソフトガンを紹介します。韓国のACROというメーカーの製品です。ご覧の通り、とてもよく出来ています。
発売はちょっと前で、存在は知ってたのですが「まあ、エアコキだしそもそも買ってどうするだしなあ、、」と買うこともなくそのままだったのですが、先日ふと買ってしまいました。これとても安くて(販売者によって違うんですけど高くても9000円くらい)「安かろう悪かろうじゃ嫌だなあ」と購入を躊躇してたというのもあります。

でもいざ届いてみたら想像以上によくできてて、んじゃ紹介してみようとなったわけです。

箱はこんな感じ。シンプルでイイ感じです。
開けるとこう。
ちゃんとしてますね。取扱説明書は左の1枚だけ。小箱はBB弾が入ってます。オレンジのマズルキャップはなぜかリコイルスプリングガイドの穴に入るサイズで実際の銃身には入りません。「?」ですが、韓国の法令上こういうのを付けないといけないのかもしれません。

さてこのM1900は、その名の通り1900年に発売されました。設計者は言わずと知れたジョン・ブローニング。ブローニングは多くの自動式火器のシステムを発明しました。スライド式のブローバック式自動拳銃もその一つで、M1900はその始祖なんですね。この拳銃を皮切りに、以後世界中でスライド式自動拳銃がどんどん開発されていきました。スライド式って、要するにガバとかグロックとかベレッタとか今の自動拳銃のベーシックな機構ですからね。革命的な拳銃だったわけです。

なので銃器史的にはメチャクチャ重要な位置にある拳銃なのです。しかし、トイガン的には恵まれず、この製品が初めてじゃないでしょうか(ガレキなどはあったかもですが)。そういう意味ではとても貴重な製品といえますね。

まあそれはそれとして、とても渋い拳銃なので個人的にも好きなのです。でも先に書いたような理由でだらだら買うのをためらってた、というわけです。

さてこのエアガンは全体のフォルムもよく、ディテールもよく再現されています。各種刻印もキッチリ入れられてます。プルーフマークがちと甘い気がしますが、入れてくれてるだけでも嬉しいですね。この辺の刻印ってキッチリ再現するには細かすぎるので難しいと思いますから。

一方グリップはちと寂しい出来栄え。FNの紋章が薄いし、チェッカーはよく見たら凹モールドです。まあでも値段を考えると仕方ないなあ、という。

エジェクションポート周りもイイ感じです。モールドが甘いながらもエキストラクターを再現しているのがいいですね。HW材ということもあって、エッジも平面も比較的キッチリとしてますね。スライド上部の出っ張りはリアサイト兼コッキングインジケーター(前部の出っ張り)のベース。実銃はコッキングしていない状態ではインジケーターが出っ張って照準を遮るようになってます。このエアガンではその機能は省略されてます。
スライド部のネジなどもモールドで、セフティレバーのピンもそうですね。でもこれまた仕方ないですね。

銃口部です。下がバレルで、上は先に書いたようにリコイルスプリングが収まる穴です。実物ではリコイルスプリングガイドの先端が穴を塞いでいるのですが省略されてます。また自作して入れてみようと思ってます。でもこの状態は上下二連拳銃みたいでカッコイイなあ、とも(笑)
バレルはプラの無垢です。金属製のインナーバレルは入ってません。なので精度はよくないんじゃないかなーと。集弾テストをしてないのでなんともいえないのですが。とはいえ、こういうエアガンに精度などを求めるのはあれかな、とも。

マガジンキャッチはコンチネンタルタイプ。後のM1910などと違ってこじんまりとしててちと使いづらい。
でも実銃のをきちんと再現してるのです。たよんない感じですけどちゃんと機能します。ブローニングはこのM1900で分かった問題点改良点を以後の自作に反映させていったんだろうなあ、という気がしますね。

マガジンはモナカのネジ止め。背面の凹にマガジンキャッチがはまるわけですね。
BB弾はシングルカラムシングルフィードで10発が入ります。コッキング式なので十分ですね。

マガジン上端にはダミーカート風の真鍮の重りが入ってます。
こういう小技は嬉しいですね。わざわざしなくてもいいことですからね。

で、このエアガン、セフティの向きが逆になってます。実銃だとこの状態が安全状態。エアガンだと発射状態。セフティレバーの下側に小さくSとFが凸モールドされてるのが、エアガン用の表記というわけです。
構造上そうせざるを得なかったのか、単なるポカなのかはわかりません。こういうのは珍しいですね。このエアガンを使い慣れた後に実銃を扱うようになる場合は非常に危険なのですが、んなこた有り得ないので(笑)、これまたまあいいでしょう。


コッキングするとこんな感じ。コッキングはまあまあ重めです。けどメチャクチャ重いって程でもないです。まあ、こんなもんか、という感じ。さっきから「まあ」が多いですけどまあそんなもんです。
で、エアガンの威力としてはこれまた「まあ、こんなもんかな」という感じ。ポコンッっていう音でシューンとBB弾が飛んでいきます。6畳間くらいの距離なら真っ直ぐ飛ぶかなあ、という程度。安全安心、ですね。

買う前は「コッキングエアガンかあ、、。ガスブロならなあ、、」という感じでちょっと萎えてたというのも購入を控えてた理由の一つです。でも買ってみてポコンポコン撃ってると「ああ、ほんとはこういうのがいいのかも」となりました。

なんやねん、ですけど(笑)ガスガンって、どうしてもガスが抜けちゃうんですよね。短期間ならともかく半年スパンだとまあどんな製品でも抜けます(少なくとも私の持ってるガスガンでは。抜けないのもあるかもですが)でも、コッキング式はいつでも必ず撃てます。当然ですけど。弾だけあればいいわけで。

絵を描く机のそばに置いといて、絵を描くのに飽きたら手に取ってポコンポコンやってるとなんとなく楽しい、という(笑)モデルガンでも文鎮モデルもいいのですが、スライドを引いて弾が出る、っていうアクションが楽しいんですね。コッキングした時のちょっとした緊張感が実銃に似てるかも、とか(笑)そういや、マルイのSAAも欲しいなあ、、。あれも楽しかろうと思うんですが。

閑話休題。M1910(マルシン製モデルガン)との比較。こうやって見ると、M1900が意外と大きいということが分かりますね。
それは、ブローニングがM1900を開発したとき、、などと、手に取って見てわかったことなどをあれこれ書いていこうと思ってたのですが、ほんと長くなりそうなのでまた書くことにします。すいません。また、このメーカーがマイナーなM1900を出したのも理由があるようです。その辺についても書こうかなと思ってます。なんだかんだで語ってみたいことが多い拳銃なんですね。

で、それはそれとしてフォルムもディテールもよくて素材として申し分ないトイガンなので、表面を再仕上げしてみようと思ってます。
今少しづつ磨いているような感じです。これもこれでまた過程を紹介したいですね。

というわけでまた。

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モーゼルMkⅡ (ヨネザワ製エアソフトガン)

2024年07月28日 | 銃の模型
今回はヨネザワのエアソフトガン・モーゼルMkⅡを紹介します。

1980年ごろに発売された、最初期のエアソフトガンで、ツヅミ弾&カート式です。少し前に中古で購入したものです。
名前の通り、トリガー前部の弾倉、タンジェントサイト、グリップなどモーゼルC96をイメージさせる外観となっています。

しかしながら、このデザインは架空のもので、こういう実銃があるわけではありません。でもカッコイイですよね。オリジナルのモーゼルの風味を残しつつ、よく見ると同じところがほとんどないという。SFチックで素晴らしいデザインと思います。
子供の頃、存在は知っていたのですが実物を見ることも買うことも出来なかったのでした。どういうことかというと、近所のおもちゃ屋の窓に、なぜかこれの箱の絵だけが貼られてたんですね。商品はないんですけど。お店にいくたび子供心に「いいなあ、これ」って思ってたのです。

んで、あっという間に数十年が経ちました。ある日、たまたま特に目的もなくリサイクルショップに行ったら、これがドーンとショーケースに鎮座ましましてたのでした。状態もよくて「あー、これはワシに買えということやな、、、」と。でも、割といい値段だったので(とはいっても死ぬほどではない)速買いは出来ず数日悩んで購入。結局は買うんですけど(笑)、このちょっと迷ってる数日も楽しいのです。

もちろん、その間に売れてしまう可能性もあります。その時は「あー、お金を使わずに済んでよかった!この行き場を失ったお金でアレを買えばいいのね!」とポリアンナになればよいのです(笑) また、ほんとイヤらしい話ですが俺様くらいになると「このアイテムでこの値段なら、まあこれくらいの間(今回は数日。当然状況によって異なる)は売れないだろう」という計算も働くし、それは大体合ってる、という経験から来る予測も出来るわけです。一方で「あ、これは絶対今すぐ買わんとアカンやつや!店員さーん!!」というケースももちろんあります。いいですか、そういうときは迷ったら絶対ダメですよ!(何を偉そうに講釈たれてるんだコイツ、、)

で、今回のケースだと数日なら全然OK!と判断したのです。私くらいのオッサンになれば、こういう風にショッピングをエンジョイできるのです。あー、ほんとイヤらしい。まあでも、あっさりその計算とやらが裏切られることもあるんですけどね。まあ、ほんとどーでもいー話ですね。すいません。

閑話休題。で、このモーゼルは当時ストック付きと単体のみの2バージョンで売られていました。今回入手できたのはストック付き。後でざっと調べたら、今ネットオークションなどで出回ってるのは単体バージョンが多いようです。まあ、そうかもしれません。こういうの、いきなりフルセットで買える人はあまりいなくて、単体をまず買って、みたいな感じだったでしょうからね。
ストックも独自のデザインです。上はフジミのモーゼル(ガスガン)にマルシンのストックを付けたもの。これまた似てるようで似てないのがお分かりになるかと。Mk2がメチャでかいのもよくわかりますね。本体がでかい分、ストックが短くなってます。かつオリジナルのようにホルスター機能はありません。っていうかこの本体を収めようとしたらめちゃめちゃでかくなってしまうので、ホルスターストック化は無理でしょうね。。

さて、このエアガンは実によく出来てます。フレームはモナカのビス止めですが、表面はサンドブラスト風加工とツルッとしたままの2種の仕上げで変化を付けてます。

トリガー上部の凹み(実銃では重量軽減とデザインのため)は、機械で切削したような痕(ツールマーク)が付けられてます。これは実銃でも印象的な部分で、きちんと再現してるのが偉いですね。金型を切削した際の、そのものなんでしょうけど、あえて消さなかった、ということは実銃の特徴を分かった上でということです。偉い!

「MAUSER」のマークは実銃のそれを丁寧に模してます。フォントとかはちょっと違いますけど。当然、未公認なんでしょうねえ。他の刻印部はじめ、彫刻ではなくてマスキングによる塗装による表現です。なので表面よりちょっと出っ張ってますし、使ってるうちに剥がれていくでしょう。
この個体の「刻印」は全て残っているので、それだけでも程度がいい方であることが伺えます。大きな傷もありませんし。

右側。アッパーレシーバーの大半がシリンダーになってることがよくわかります。コッキングノブが大きいのも、この大きなシリンダーを引くためのものだということですね。
マガジンキャッチは下部後部のコンチネンタルタイプ。ちょっとロックが甘いです。この個体だけかもですが。

本体のモナカはビスと六角ナットで固定されています。今の目で見ると興ざめかもしれませんが、逆にナットがなんか頼もしい感じもしますね(笑)
モーゼルなのに、イギリス風のタイプ名「MARKⅡ」というねじれ方もなんかイイですね。そしてさらに「MADE IN JAPAN」と誇らしげにあるのもイイ。

リアサイトは上下だけでなく左右も調節可でオリジナルよりもゴージャス。でも距離の目盛りがないのが残念。またプラパーツなのもちと惜しいですね。リアサイトの後ろの出っ張りは、どうもオプションのスコープベースのようです。アリ状になってるのでたぶんそうかと。ただ、実際にスコープが発売されたかどうかはわかりませんでした。

リアサイトだけでなくトリガーなど他のパーツも全てプラなので意図的なものかな?という気もします。要は改造対策、っていうか当局に目を付けられないための保険、といいますか。

当時はモデルガンの規制直後くらいで、エアガンは対象外だったとはいえ、いつどうなるかわからないような状況だったのでしょう。逆に法律が無いのでメーカー的にどこまでOKなのかどうかもわからない、という手探り状態だったのかも。

最初期のエアガンは、モデルガンと違ってオリジナルのデザインのものが多く、そういうこともあってモデルガンとエアガンはなんとなく似て非なるもので、ファン層も微妙に違う、みたいな感じだったようです(ようです、というのは私の世代より5-10年くらい上だからなんですね。なのでこの辺のことは話半分でお読み下さい)

それで思い出しました。コミックボンボンの連載に「モデルガン戦隊」っていう漫画がありまして、主人公たち3人はモデルガンファンで仲良しなんですね。で、連載の後半くらいに、エアガンファンのちょっと乱暴なヤツが出てきます。ほんとは主人公たちの仲間になりたいんだけど、照れ隠しで粗暴にふるまっちゃう、みたいな。で、「エアガンの方が楽しいぜ」とかなんとか主人公にいう、みたいな。なんか、そういう場面がありました。これは当時の互いの「溝」みたいなものの空気をなんとなくよく表現してたような気がします。

あ、また横にそれました。すいません。で、当初エアガンが実銃を模さなかったっていうのは、弾が出るということからメーカーの方で遠慮・躊躇してたんでしょうか。もしくは純粋なスポーツとして普及することを念頭にしてたんでしょうかね。サバゲが出現するのはちょっと後で、当時はまだ射撃競技に順じた楽しみ方が主流だったみたいなんですね。で、まあ理由は何であれ興味深い現象だったと思います。

しかし、以後はご存知の通り、エアガンガスガンも実銃を忠実に模すことが前提になっていきます。まあ、その方が売れますものね。逆に、オリジナルデザインのものはほとんどなくなってしまいましたね。とはいえ、いいデザインのものなら今でも売れるかもしれませんから今後どうなるのかはわかりませんけど。例えば漫画やアニメ、ゲームなどの架空銃も人気があるものなら可能性はありますよね。このモーゼルだって、ガスブロにしたら案外売れるかも。いや、無理かな(笑)

閑話休題(すいません)。で、金属パーツはほぼ使ってないとはいえ、とてもしっかりした作りとなっています。カート式なので、カート周辺のエジェクターとかエキストラクターがキモとなるのですが、ほんとちゃんとしてます。
ボルトを前に押したときの装填もスムーズで確実ですし、排莢も完璧。

基本プラ製と書きましたけど、バレルだけは金属製です。まあここはエアガンとしては譲れないところでしょうね。
バレルは黒ずんでいるのか、もともと黒いのかよくわかりません。真鍮かスチールだと思うんですけどね。

ボルトは大きさの割りにコッキングは楽です。

コッキングピースの形状がいい、というのもあるでしょうね。

排莢した様子を頑張って撮りました(笑)
カートは「パチン、シュポーン!」っていう感じで綺麗に飛んでいきます。しかしながら、カートもツヅミ弾もそれなりの値段だったでしょうから使い捨てにできるわけがなく、当時のユーザーの苦労が偲ばれます(笑)それにしても、このアクションのスムーズさは素晴らしいです。設計がほんときちんとしてるんですね。

弾の威力はまあまあ、って感じです。銃口をダンボールに当てて撃ってギリ貫通しないくらい。今のエアガスガンと比べると非常にマイルドですが、当時としては強い方だったんじゃないかと。屋内で撃つ分にはまったく問題なく楽しめます。6畳間くらいの距離だとシューン、って感じで真っ直ぐ飛んでいきます。

ストックとグリップの結合部です。グリップ部には大きな凹みがあり、ストックを確実に咥え込みます。ストック部のネジで確実に固定されます。
拳銃自体のバランスからして、ストックありきなんですけど、先に書いたように本体のみの販売も多かったようなので、ストックの有無はあまり気にされなかったんでしょうね。で、この凹みを埋めるランヤードリングの付いたピースが別パーツとしてあって、拳銃として使うときはそれを入れるようになっていたようです。

マガジンはシングルカアラムシングルフィードの5連。すけなっ!ですけどまあ仕方がないです。
当然こちらも全てプラ。でもリップ部はとてもきちんとしてて、確実にカートを保持してくれます。

ツヅミ弾は軟質プラ製。なので、カートにはゴムパッキンはありません。弾に弾性があるのでカートに保持できるわけです。
そして、発射した際も、エアーの圧力でツヅミ部が膨張してバレルと弾の隙間をシールするんですね。要はミニエー弾みたいなものですね。かしこい!ですねえ、、。

で、さっき書いたようにカート共々一発ごとの単価はそれなりになるので使い捨てにはとても出来ないわけです。そう考えると、BB弾は革新的だったんですねえ。

こちらが箱です。箱の状態は良いとはいえず、発泡スチロールの凹みに治められてたであろうカートの箱とか取り説など全て失われてますけど、まあよく保存されてた方だと思います。
右上の2つの凹みはカートと弾の箱入れで左下の大きい凹みは、取り説入れのようです。トリガー下の小さい凹みは先に書いたグリップのピースのパーツ用の箱が納まってたようです。

箱の表記。この頃でも「18歳以上」という取り決め(法ではなく自主的な規定)があったことがわかります。「玩具基準外商品」という表記は何かそういう業界の基準があったんでしょうね。
「基準」とはいえ、今のエアガンと比べるとほんと威力の弱いものですが、このレベルでも気をつけて製造販売していたんだなあ、と。

さてこれをいじってて思ったのは、このモーゼルは拳銃弾というよりアサルトライフル用の短小弾を使うくらいのサイズだなあ、と。「重自動拳銃」として実銃であったら面白いかも、と思って描いてみたのがこれ。

三八式とかの6・5ミリ小銃実包を短縮した試製九五式実包を使用します(この弾は実在)。九五式の開発に係わった米澤中尉が開発した重自動拳銃です。九五式は試製の名のとおり、機関短銃用に開発されましたが威力過大ということで採用されませんでした(これも事実)。その後中尉は退官し、銃器研究所を設立します。中尉はかねてから九五式実包の実力にほれ込んでおり、不採用となったのを惜しんでいました。なので個人的に九五式実包用の重自動拳銃として開発したのがこれ、という設定(笑)

日本軍風にアレンジしてみたら、結構いけるなあ、という気がしませんかそうですか(笑)私のこのモーゼルをこういう風にしてみたい気もしますが、紹介したとおり結構程度がよくてもったいないのでやめときます(笑)いつかボロボロのジャンクでも手に入ったらやってみたいですねえ。

ただ、九五式含めドイツのクルツ弾でもAKの弾でも、このクラスの短小弾を拳銃にするっていうのはちと無意味ですね。まあ作れるのは作れるんでしょうけど、これみたいにどうしても大きくなるし、拳銃としては使えないしアサルトライフルにもなれない、という中途半端なものになるでしょう。要は作れたとて需要がないでしょうね。

実際、そういう銃ってないみたいですし(試作ならあるんでしょうけど)。とはいえ、フィクションの世界ではアリかなあ、という気がします。特殊部隊用とかいけるんじゃないかなあ、とかとか。個人的には自分の絵の小道具でなにか使えないかな、と思ってます。

というわけでお終いです。

このモーゼルは結局のところ、ノスタルジックな昔のオモチャ、なんですね。しかしそれだけではすまないだけの魅力がある逸品だなあと思っています。オモチャとしても、かなりの技術と労力をもって開発された商品であることはいじっているとよくわかります。なんつーか、これもひとつの技術・文化遺産なんですよね。ほんと買ってよかったです。たまたま、ですが状態がとてもいい個体を入手できたのも何かの縁でしょう。大事に持っておきたいと思います。



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杉浦式自動拳銃 1/1 A!CTION製モデルガン

2024年01月28日 | 銃の模型
今回は、A!CTION(ア!クション)製の杉浦式自動拳銃のモデルガンを紹介します。

先日お知らせしましたが、このモデルガンの解説漫画(A4二つ折り・3P)を私が描きまして、それが製品のおまけとして同梱されてます。で、有難いことにモデルガン本体をア!クションさんが贈呈して下さいました。「これはレポートしなければ!」というわけで今回のエントリーとなりました。

製品は無可動のいわゆる文鎮モデルですが、マガジンとマガジンキャッチはライブです。グリップは木製で、固定用ビスともども別パーツとなってます。杉浦式の刻印は深くはっきりと入れられててイイ感じです。
外観の雰囲気・再現度は当然バッチリです。実銃の各部のラインって、ほんと微妙な感じなんですよね。漫画を描くために、ずっと写真をガン見してたのでそれがよく分かります。

32ACPのダミーカート8発が付属。銃本体はABS樹脂の削り出し。古美塗装仕上げや、真鍮製の超豪華バージョン(それぞれ受注生産)もありますし、日活コルトバージョンとしても発売されてます。詳しくは公式HP↓をご覧ください。

で、杉浦式拳銃とはなにかをざっくり解説します。杉浦式は1941年ごろ、中国の北京にあった杉浦工廠(私企業で経営者は日本人)が製造した拳銃です。杉浦は経営者の苗字です。同工廠は現地の親日的な中国軍向けに小銃や拳銃を生産していたようです。杉浦式もこれらの軍隊や日本軍将校に供給されたようで、太平洋戦線で連合軍に鹵獲されたものもあるようです。ちなみに、工廠というと日本の砲兵工廠のような官営の大工場をイメージしてしまいますが、中国語では単に工場を工廠と呼ぶそうです。

1943年に経営者が変わり北支工廠(経営者は同じく日本人)となり、杉浦式と刻印されなくなりましたが製造は続けられ、杉浦式・北支型は現在数10丁(資料によれば39丁)が現存しています。確認されているシリアルのマックスは5839なので、多くとも1万丁も製造されてないでしょう。総生産数はじめ開発の経緯、設計者名などほとんどのことが不明で、はっきりとした資料もほぼありません。謎の多い拳銃なのです。

というわけで、当然ながら日本の十四年式や南部式のような知名度はなく「知ってる人は知ってる」、マイナーとされる拳銃です。とはいえ、ネットで情報量が爆発的に増えた今では、昔に比べると知名度は上がっているように感じます。

とはいえ当然ながら、杉浦式のトイガンはこれまで発売されたことがありません。ガレキでもなかったんじゃないかと思います。あの頑住吉氏ですらもリリースしませんでしたから(予定にはあったかもですが)。なのでこのモデルガンは世界初の立体化です。無可動ながら忠実に実銃を再現しているのは先に書いたとおり。それにしても、立体の杉浦式をこの手にできる日がくるとは、、、。
無責任なことは言えませんけど、まあ今後杉浦式がトイガン化されることはないでしょう。なので超貴重なモデルガンだと思います。

先に書いたように、マガジンはライブの金属製です。ダミーカートは実物の流用ではなくて、真鍮無垢削り出しのメーカー製(と思います)。袋開けろよ、かもですが勿体ないので開けません(笑)
文鎮モデルですけど、マガジンがライブというだけでも嬉しいですね。当然、マガジンキャッチもライブとなってます。

杉浦式のモデルとなったと思われる、コルトM1903(MGC製モデルガン)との比較。
確かに似てますね。ただ、世間で言われているように「まんまコピー」ではないようです。

ぱっと見は似てるんですけど、アウトラインが微妙に違います。でも全体的な印象は似てますね。どないやねん、ですが。
その辺は解説漫画でも描きました。似てるとこは似てるんですけど、似てないところは似てないですね。先にも書きましたけど私は「コピー」とは断言できないな、と思ってます。

グリップ下部のUP。マガジンキャッチにはスプリングのテンションがかかってますので、ここは可動式として楽しめます。
マガジンだけでも着脱できるのは嬉しいですね。

コルトとの比較。上がコルトで、下が杉浦式。
杉浦式のマガジンキャッチの幅が狭いことが分かります。また、マガジンボトムの受けのために、フレームが先細りに削り込まれてますね。

で、こういうマガジンキャッチは「コンチネンタルタイプ」といわれてますね。以前は「ヨーロッパタイプ」といわれてたような、、と思って調べたら「コンチネンタル」というのは「大陸風」という意味だそうです。イギリス視点の言葉なので、この場合の大陸は欧州を指すとのこと。なーんだ、という。要は「ヨーロッパの自動拳銃にありがちなマガジンキャッチ」っていうことですね。なるほど、、、。

閑話休題。銃口部です。バレルとバレルブッシング、リコイルスプリングガイドは金属製の別パーツ(分解不可)です。

この辺もコルトに似てますね。

後方から見た様子。左がコルト、右が杉浦式です。スライドとフレームの結合部断面(これ、何か呼称があるのかな、、)が違いますね。
杉浦式のここがどうなってるのか、長年疑問で不明だったのですが、こういう風になってたんですね。ずっとコルトと同じ感じだと思ってました。

杉浦式、コルトともども左側の凸はエジェクターの逃げです。コルトの右の凸はセパレーター用です。セパレーターはカートリッジの装填排莢をスムーズにするためのガイドですね。こういうのがある、ってのは知ってましたけど、それがセパレーターっていうの、恥ずかしながら知らなかったんです。詳しい人に教えてもらいました。

左側のグリップ部のUP。セフティは別パーツながら固定です。フレーム部の縦溝は、トリガーバー兼用のディスコネクターです。
コルトは、独立したディスコネクターがあるので(ガバと同じ)、ここも杉浦式と違います。

というわけでお終いです。今回あれこれいじってて改めて思いましたけど、銃って原寸の立体でないとピンと来ないことって多いですね。ほんとは実銃を触るのが一番なんでしょうけど、当然不可能です。アメリカですら幻の拳銃ですからね。そういう意味でも、今回のモデルガン化は素晴らしいことだと思います。ア!クションさんの英断に拍手を送りたいです。

最後に手持ちのトイガンと一緒に撮ってみました。

いやー、杉浦式が混ざって感無量ですねえ、、、。

で、先にコルトと杉浦式の違いをちらほら書きましたけど、解説漫画を描くためにあれこれ調べたり考えたりしてたら、いろいろ気付いたんですね。その辺のことはまた改めて書きたいと思ってます。

それでは。


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モーゼル・ミリタリーM96(エルエス 1/1)

2023年10月22日 | 銃の模型
今回はエルエスのプラモデルガン、モーゼルミリタリーを紹介します。先日久しぶりに箱を開けてみたのですが、やっぱりとてもよくできてて、ちょっと感動。これは紹介しなければ!となりました(笑)

エルエスは今はないプラモデルメーカーです。アラフィフ以上の方ならよくご存知かと思いますが、若い人は知らないかもですね。ウィキによると1992年にお店を畳んだそうです。でも、今も製品としては息づいてます。マイクロエースのプラモの多くは元々はエルエス製なのですね。例えば32の懐かし系の自動車キット(オーナーズクラブ)、72の日本軍機(96陸攻や彗星)などがそうです。

エルエスは1/1のモデルガンやエアガンも発売していて、この点は他のプラモデルメーカーとは少々違う立ち位置、という印象でした。今もマイクロエースがドイツ軍のM24や日本軍の九七式手榴弾を発売していますが、これらも、もともとはエルエス製です。モデルガンシリーズは完全ディスプレイモデルで、今回のモーゼルはじめS&Wやコルトのリボルバー、M16やAKMの長物まで多くのラインナップがありました。

今回紹介するのはそのラインナップのひとつ、ということです。シリーズの発売時期はウィキによると75年から80年代前半頃のようです。どのモデルも今では絶版で、ヤフオクやメルカリでもあまり出てこないです。私は世代的には少しずれてて、店頭で見かけたことはほぼありません。今回紹介するモーゼルも、大人になってから20年ほど前にヤフオクで入手したものです。

前置きが長くなりました。えーと、モーゼルの話ですね。箱はこんな感じ。うーん、ええですねえ、、、。背景の地図の演出がきいてます。
後述しますが、この絵、通常のモーゼルミリタリーとはちと違いますし箱の中身より銃身が短いです。ボロモーゼル(銃身が短くグリップが小さいタイプ。ロシア革命前後、ボルシェビキたちが愛用していたのでそう呼ばれている。ボルがボロになまったそうな)のようですが、グリップは通常型という「?」なイラスト。またM96とありますが、このタイプは通常はC96と呼ばれています。M96と呼ばれることはあんまり(全く?)ないような?

箱側面はこんな感じ。昔のプラモって、値段が印刷されていました。1500円だったんですね。
1970年代後半から80年ごろなら今でいうと3-4000円くらいの感覚でしょうか。子供がすぐ出せる金額じゃないですねー。

箱を開けるとこんな感じ。シュリンクパックでビッシィ!!とキメテます。
昔のプラモって、こういう風にパッケージが凄く凝っているものが多くありました。要は子供の購買欲をそそらせる、という技ですね。実際私も店頭でこういうのを見て「うおおお!」ってなってましたからよくわかります(笑)

現在はこういう演出はほぼないので、ちょっと寂しいですね。しかしこういうのをやろうとしたら、コスト的にちと厳しいでしょうね。逆にいうと、今はこういうことをしなくても売れるものは売れる、ってことなんでしょう。この辺でもプラモとしての商品の立ち位置の変遷を感じることができますね。

パーツ構成としてはこんな感じ。モナカの本体と、内部パーツのランナー、カートのパーツ、金属部品で構成。
後述しますが、かなり忠実に実銃を再現しています。開発時期を考えるとちょっとびっくりしますね。

主要パーツを仮組みしたのがこれ。本当によくできています。モーゼルは生産時期が約40年(1896-1937年頃まで)と長く、時期ごとに細部が変わっており、大まかに前期中期後期に分類できます。これは中期ごろの製品を再現しています。時期でいうと第一次大戦頃です。
キットの設計開発時、どういう風に資料を収集していたのかはよく分からないのですが、寸法的にも構造的にも実銃をリアルに再現しています。

とはいえ、「?」な点もあります。先に書きましたがフロントサイトの形状が変です。段付のフロントサイトは、ボロモーゼルなど小型タイプの特徴で、通常型では見ないものです。ライトモデル(リアサイトを固定式にしたタイプ)にはありますが、そもそも母体が初期型なので違います。

バレルの長さも、通常型より少し短いようでうす。念の為資料(各型式を紹介した「SYSTEM MAUSER」という、バイブルみたいな本。)を見てみたのですが、該当するような型はありませんでした。

このシリーズは既存のモデルガンをコピーした製品もあるそうなのでひょっとすると母体となるモデルガンがあったのかもしれません。しかし、モーゼルは当時でもMGCとハドソン製しかなかったはずで、どちらとも細部が違っています(現物がなく写真だけでの観察なので多分、ですが)。逆に少し変化させてコピーと指摘されることを避けようとしたのか?しかしそもそもコピーじゃないかもだし、、。というわけで例によってよく分からないのでした。今さら新事実が出てくることもないでしょうし、まあ、謎のままでしょうねえ、、。

フレームの中はこんな感じ。詳しい方ならお分かりかと思いますが、ほんとリアルです。例えばマガジンのベースプレートの固定のためのピン用の溝をみればおわかりかと。実銃はトリガースプリングがこのピンのスプリングも兼ねてるんですが、それをちゃんと再現しています。ストック溝もきちんと再現されてます。
また、このシリーズは銃身が「もろズッポぬけ」なのが特徴です。モデルガン好きからすると「うわわわ、、」ってなるんですけど(笑)、スチロールプラスチックの強度もへったくれもないモデルガンですから、OKなんですね。

せっかくなのでマルシンの木製ストックを付けてみました。
いやー、ええですねえ、、。ぴったりではないのですが銃の方の溝を少し削ればきちんと付きそうです。すぐ壊れるでしょうけど(笑) ちなみに、ストック付きのキットも発売されていました。確か3000円だったかと。ちなみにこのキットを落札した頃、そのキットも出品されて競になったのですが、ヒートアップして3万円くらいに(!) さすがに青くなって撤退しました。高値更新されてホッとしたのを覚えてます(笑)今だとまず出てこないでしょうね。出たら幾らくらいになるんでしょうね、、、。

何度も書きますが、このキットはほんとよくできてます。C96のグリップ部の厚みは、後部のストック装着部と前方では変わっています。M1930やM712では同じになってます。この辺が中期と後期の違いでもあります。

こういうのを見ると、ほんと何をモデルにしたのかな?と知りたくなります。

プラモデルガンではあるのですが、金属パーツが多用されています。これがその袋。うーん、なんか色々入っててゴージャスですね。
他のシリーズは十四年式しか作ったことないのですが、金属パーツは多いほうじゃないんでしょうか。十四年式はコイルスプリングだけでしたから(確か)。

今回、意を決して袋を開けてみました。構成はこんな感じ。いやー、凄いですね。
マガジンスプリング、シアバー、エキストラクター、トリガースプリング、セフティ、クリップがプレスのパーツです。接着剤が2種あるのは、プラパーツがスチロール(本体)とABS(ハンマーなど内部パーツ)に分けられているからです。

このエルエスのプラモデルガンの再販を熱望してる方も多々おられるかもですが、恐らくこれまで再版されたことはありません。金型が紛失や損壊、廃棄された可能性もあるのですが、金型というのは一種の資産だそうで、まあそうそう廃棄されるものではないそうです。金型どうこうよりも、こういった金属パーツが再販のネックになってるんだろうなと思います。

プラパーツだけなら金型があれば成型できるんでしょうけど、金属パーツはまた筋がちょっと違います。パーツごとのプレス型とかも必要でしょうし、外注する場合は最低ロット数がネックとなるでしょう。現在なら単価もかなり高くなるはず。そんなこんなで再版されないんだろうなあ、と。

それにしても、クリップまでプレスパーツなのにはびっくりします。とはいえ、実物とはかなり違ってるのですが。奥はマルシンのクリップです。これは実物同様の形状・機能を持ってます。

エルエスのはカートを後ろから押さえる板バネもありませんし、形状的にもかなり大ざっぱなものです。でも、あるとないとじゃ大違い。プラ製にしたらまあ持たないでしょうしね。凄いなあと思います。付属のカートもするりと入ります。

カートは金メッキを施されたものでイキフンチリバツ!です。
弾頭はプライマーまで再現されてます。これ、装填して撃ったら弾頭だけピョーンと銃口から飛び出しそうですけど、そういうギミックではないようです。最初期の製品(どのモデルかは不明。金型は別メーカのを引き継いだらしい)はそういうギミック付きだったとか。

インストはこんなんです。
さり気なくタンジェントサイトの機能を教えてるのが偉いですね。

1枚の紙で抑えたかったのでしょう、小さな絵で見開きで一気に完成まで解説していてびっくりします。おおらかでイイですね。
しかしこのスピード組み立て説明で子供たちがどれだけきちんと組み立てられたのか?というのはまた別の物語ですねえ、、。こういう可動部が各所に絡んでくる構造のプラモデルって、各パーツの機能と意味をきちんと理解していないとまあ難しいですから。手だれの高学年以上でないと難しかったんじゃないかと思います。

この分解図をみるとメチャクチャ忠実に再現していることがお分かりになるのでは。
シアバーなど、パーツ形状が違うものもありますが、機能的にはほぼ実銃どうりです。スゲーなあ、、。と思って見てたらロッキングブロックがないですね。キットにはちゃんと入ってますし、リストにも載ってます(26番)。描き忘れたんですね。

というわけで、こういうキットでした。ほんと作ってみたいんですけど、まあもったいなさすぎて無理ですね(笑)

他社とのモーゼルとの比較です。左からマルシンC96(M712改)、エルエスC96、マルシンM712(ドンガラ)、フジミM712です。

マルシンとエルエスの開発時期は結構差があるはずなのですが、エルエスがほんと頑張ってるのがお分かりになるかと。フジミのは、アウトラインがちょっともっさりしてますね。けどなんか渋くて好きです。これはこれで面白いガスガンなので、また単体で紹介してみたいですね。

というわけでお終いです。ほんとこのモーゼル、あともうひと箱持ってたらぜひ作りたいんですけど、もちろん持ってないのでそのまま死蔵しています。もし今出てきても見組み立て品なら余裕で万越えでしょうし、入手することはほぼ叶わないでしょう。うーん、残念、、。十四年式やAKMともども再販して欲しいなあ、、。十四年式は、先にも書きましたけど金属パーツはコイルスプリングだけなので、再販もやりやすいと思うんですけどねえ。今なら5000円くらいになっても売れるはず!(多分) 私はとりあえず2箱は買います(多分) でもまあ無理かなあ、、。

それでは。


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コルトポケット .25オート(コクサイ モデルガン)

2023年09月19日 | 銃の模型
今回はコクサイのモデルガン、コルト.25オートを紹介します。ちょっと前マルシンのブローニングM1910を紹介した際に「また今度これも」的に書いたのでそろそろ、というわけで。

コルト25オート、と書きましたが、コクサイの商品名としては「コルトポケット.25オート」です。実銃の呼称としては「ベストポケット」ともいわれてますが、どれが正しいのかよくわかんないです。

なんであれ、コルトM1908というのが正しい型式名です。ガンマニアには説明不要のジョン・ブローニング氏が設計した小型自動拳銃です。FNで発売したM1906をそのままコルトで出した(細部の差異はこれまたよくわかんないです。けどほぼ同じ銃のようです)のがM1908です。

呼称が「ポケット」であれ「ベストポケット」であれ、要はポケットに入れて隠してもっておける護身用拳銃ということですね。メチャ小さいです。手のひらに隠れます。
とはいえ、自動拳銃の機能としては完璧なもので、ブローニング氏の才能を十分に感じられるものとなってます。ガバや32オートなど「普通の自動拳銃」を縮小したようなデザインで、とても可愛い印象になってます。

小さいながらも安全装置はマガジン、マニュアル、グリップの各セフティが完備されてます。構造的にも小さいからといって省略したようなところはありません。とてもきちんとしてます。
後でも触れますけど、ブローニングM1910の雛形といっていいような構造・構成となってます。

で、このコクサイのモデルガンはM1908を非常に巧みに再現しています。決定版、でしょうねえ、、。発売は1982年ごろで、私が買ったのは2000年ごろ。ずっと入手難だったのですがこの頃久しぶりに再販されたので飛びつきました。なのでこれは初版ではないです。
実銃をどこをどう巧みに再現してるのかは、見てもらったらわかりますわね(コラ)。25オートは、シルバーとブラックのメッキモデルのみの発売で、ご覧の通りとても綺麗な色に仕上がってます。

トリガーやセフティのシルバーメッキも上質で、購入後20数年経ってますけどこの輝き。
セフティは、分解用ラッチも兼ねていてこのようにスライドを引いて、スライドの切り欠きに入れるとバレルが90度回転し、スライドとフレーム部を分離することができます。この辺もM1910と同じですね。

折角なので分解してみました。
マガジンやバレルのファイアリングピンなどを除いて、ほぼこれが完全分解の状態です。

実銃を完全忠実に再現しているわけじゃなくて、各部アレンジをしています。例えば、ストライカーやブリーチ周辺は実銃と全然違ってます。
これは法規制に対応してわざとそうしてるんですね。その他の部分はとてもリアルに再現されています。

これがブリーチ(インストではスライドブロック)部のパーツ群。
ブリーチ(左から3つめのパーツ)を見てもらえればわかりますが、改造防止のために強度を保てないように設計されています。また、スライドの裏側を見てもらえればわかりますが、メッキはシルバーで、黒色は吹きつけ塗装のようです。でも塗膜がかなり強くて今もってはがれてません。コクサイの技術の高さが伺えます。

ブリーチ部は、強度を保てないようにしながらも強度がないとダメなので(禅問答みたいですけどこれはモデルガンの宿命)かなり工夫しています。

ストライカー(インストではファイアリングピンブロック)の黒矢印部がブリーチの赤矢印に当たるようにしています。この部分をパーツ的に総合的に一番丈夫にして、衝撃を全て受け取るようにすることで、強度を保っているわけですね。かつストライカーのファイアリングピンに該当する部分(白矢印)も可能な限り変形しずらいように成型されています。
ストライカー式は、撃発時にストライカーが前進してブリーチに当たり、そこに衝撃が集中するという構造的宿命があります。鉄製だとぜんぜん問題ないんですけど、亜鉛パーツしか使えないモデルガン的には忠実に再現することは難しい。そもそも法規制というしばりもある。なのでそこのアレンジや強度が問題になるわけです。

このモデルガンでは可能な限り破損を避けつつ、かつ強度を維持するよう熟考されていることがわかります。

モデルガンというのは「丈夫にしすぎたらダメ、でもすぐ壊れるのもダメ」という非常にやっかいな製品なんですよね。ほんと禅問答です(笑)いやー、大変と思います、、。で、この25オートはそういう意味でも優れたモデルガンといえると思います。

こちらがカートリッジ。コクサイのオートマチックモデルガンは、マルシンともMGCとも違う「P.E.ピストンシステム」という独自のカートシステムでした。右の白いのがピストンです。要は、使い捨てのピストンですね。Gun誌のリポート(82年5月号)によると10回ほど使用できるとのこと。
Gun誌を読むと、どうもこの25オートからこのシステムになったようです(はっきりとはわかりませんが)。カートの箱は上の赤いのが発売時、下が後期のものと思います。

ではさてそれでは発火させてみましょう、、といいたいところですが、もったいないのでできません(笑)買った直後に何発か撃ったんですけど、どんな感じだったか覚えてません。

手動で作動させてみると、装填排莢はスムーズでスライドの動きも滑らかです。恐らくとても調子いいんじゃないかなーと。

Gun誌のレポートでは試作段階の製品だったので、不発や装弾不良が多かったとありますが、コクサイは製品段階では改良するとしています。

その後、コンバットマガジンではケンさんがマルシンの25オートと共にこのコクサイのをレポートしています。そこではマルシンのはかなりの調整をしたのですが(私もこれをみてやりました。結構調子よくなった)、コクサイのは調整する必要がなかったということを書かれてます。なのでやっぱり調子がいいモデルガンのようです。

で、「んなことくどくど書くなら撃ってみろよ!」って思ったあなたは正しい。でも、ヤダ!!(笑)壊れたらどーすんの!!責任とってくれんのあんた!!(おちつけ)

さて、私が25オートが好きなのは、映画「野良犬」が大好き(実銃がとても重要な役割として出てくる)なのと日本軍将校御用達だったというのが大きいですね。これは日本軍用ホルスター(中田商店レプリカ)です。
こういう日本軍風のホルスターと並べたとたんに、日本軍っぽく見えてくるのが不思議(笑)

蓋を開けるとこんな感じ。予備弾入れが西部劇チックでカッコいいですね。弾はダミーカートです。
ご覧の通りキツキツでさっと抜けるものではありません。ホルスターというと西部劇のようにとっさに素早く抜けるもの、というイメージがありますがそれが全てではないのですね。ドイツ軍のP08用とかもそうですけど「砂塵からまもるためのケース」という役割に重心を置いたものもホルスターなわけです。

で、25口径の拳銃というのは、ほんと豆鉄砲でそもそもが護身用レベルです。軍用の護身用としてはかなり心細いですね。でも、それなりの将校さんがこれを購入して装備していたようです。当時の日本軍将校さんは、制服から軍刀から拳銃からなにから、全部自費で購入しなきゃならんかったんですよ。ヒドイ話です(笑)

じゃあ給料がよかったからそうだった、というとそうでもなくて、下級将校さんはギリッギリの生活だったとのこと。「貧乏少尉、やりくり中尉、やっとこ大尉」という言葉がありまして、要は給料で賄えないだけの支出が必要となる職業だったようです。収入に比べると見栄えとかそういうのを維持することを常に要求される(どの国でも、当時の軍隊って今よりももっと、その国の威信を示すものだったでしょうから、各将校さんも「日本の代表」的にきちんとしてないとアカンですものね)バランスの悪い職業だったってことですね。この言葉の意味するところとしては、大尉になって初めてなんとか「普通の」生活が維持できる給料だったと。

例えば、学校の配属将校になって「よかった」という奥さんの話があります。それはなぜかというと「軍にいたときのような、歓送迎会とかの宴席がなくなったので、楽になった」と。要は飲み会が減って、交際費が減ったってことなんですよね。まあ宴席って、今でも一万二万すぐ飛びます。それが月何回もあったらアウトです(笑) そういうことですわね。なんて哀しい、、。軍人さんは大変だ、、、。

閑話休題。で、こういう非力な拳銃は、戦場で拳銃を使う機会がまあないであろう兵科(主計科など)の将校や高級将校にぴったりだったんでしょうね。拳銃って重くてうざいので、持たなくていいなら持ちたくないものです(多分)。なので持つことに意味のある拳銃として重宝されてたのかもなあ、と。

でも、とある憲兵さんの回顧録では「私服のときはこれを持ってた。何故かというと発砲音がメチャ大きくて脅しになった」という下りがありました。便衣兵に襲われたときこれで威嚇射撃をして追い払ったとのこと。

発砲音、そんなに大きいんですかね?そういやマルシンの25オートもメチャでかかったのでそうかもな?と(笑)銃身やブローバックのストロークが極端に短いので、大きくなるんでしょう。 なんであれ、そんなこんなの護身用なんでしょうね。

ダミーカートの比較です。左から.25(6.35ミリ)、.32(7.65ミリ)、8ミリ南部、9ミリパラ、7.63ミリモーゼル弾、です。
こうやってみると25の弾はかなり小さいですね。こんなんでどーにかできるのか?というレベル。でもこれでも拳銃として成り立つんでしょうね。だかこそずっと今でもこの口径の拳銃が作られ続けてるんでしょう。

例えば、こういう小さい弾は頭に入ったら、弾が弱いからこそ反対側に抜けなくて頭蓋骨の中を跳ね回って脳みそがグチャグチャになるそうです。コワー、、、。なのでバカにはできないんですよね、、。

すいませんなんか気持ち悪い話して。でもまあどんなものでもそれぞれにそれぞれの長所がある、ってことなんでしょう。

こちらはブローニングM1910()マルシンモデルガン)との比較です。
先に書いた通り、25オートが原型となったことがよくわかりますね。

中をみても一目瞭然。多分、ですけどブローニング氏は25オートの設計でこの構造の確信を得て、M1910につなげたのでしょう。
バレルの凸がフレームの凹にかみ合う構造は、アストラM400など以後多くの拳銃が真似してますね。でもこれがブローニング氏の発明なのかはよくわかんないんですけど、多分氏が発ではないかと。

ブリーチ部の再現度でいうと、マルシンM1910の方が実銃に近いですね。
コクサイもマルシンレベルまで再現しても大丈夫だったんでしょうけど、その辺は各メーカーの判断、ということですね。どっちがどう、じゃないんですね。

で、このモデルガンは普段こうやってケースに入れて展示してます。以前紹介したと思います。100均で売ってたのをオイルステインで着色したものです。なんかイイ感じでしょう。
ダンボールで詰め物をして、ベルベット風の布をあしらってみました。

壁に掛けるとアラ不思議、素敵なオブジェに(笑)
トイガンはむき身で置いてるとギョッとされることもありますが、こうするとオサレな装飾品となるのでええですよ。難としてはぴったりのケースが中々ないという点。この25オートのは奇跡的にぴったりでしたねえ、、。

というわけでお終いです。今回久しぶりにばらしたりいじったりして改めて「モデルガンってええなあ、、」って思いました。
モデルガンって実銃を持てない人の代替品、みたいな風に思われがちなんですけど、そうじゃないんですよね。エアガンともどもトイガンって、トイガンならではの面白さ・楽しみ方があるのです。奥が深いです。

手持ちのモデルガンは少ないながらまだあるので、また今回のように紹介したいですね。

で、コクサイさんは、残念ながら現在はありません。とても素晴らしいメーカーさんだったんですけどね、、、。当時は「リボルバーのコクサイ」と言われてて、リボルバーの傑作を多々出してたんですけど、この25オートのようにオートマチックのモデルガンも素晴らしいものをリリースしていました(ほかにはM1910とウッズマンがあります)。

今回この25オートを検分してて思ったのは「このテイストでガバとかP38とかを出してほしかったなあ」とほんと思いましたね。傑作にできるはずのメーカーさんだったからほんと残念、、。で、予算内で何とかなればM1910やウッズマンも手に入れてみたいです。でもどれも今高値なんですよねえ、、、。誰かくれないかな(コラ!)

それでは。

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ブローニングM1910(マルシン工業製モデルガン)の再整備

2023年04月09日 | 銃の模型
前回チラッと書きましたが、マルシンのブローニングが再生できたので紹介します。
再生、といっても破損・欠品パーツを組み込んで、すり合わせをしただだけなんですけどね。でもまあいいじゃないですか、というわけで再整備の過程とかこのモデルガンに付いてあれこれ書いてみます。

マルシンのモデルガンは子供の頃(小学校高学年くらい)からお世話になってます。モノ自体が良く出来てるというのもありますが、キットモデルが充実してて比較的安く買えた、というのも大きかったです。このM1910も例外でなく、確かキット版を2-3丁は買いましたね。

でもこれはメッキモデルなので完成品です。中学生のころでした。当時完成品を買った(買えた)のはこれだけだったと思います。確か、キットが4500円で、この完成品は6800円でした。
M1910はほんとすっきりしたデザインですね。直線と単純なアールだけで構成されてるんですけど、それが集まって「この銃そのもの」というオリジナリティになっている。凄いと思います。

30年以上前に買ったものなので、メッキがあちこちはがれてますけど、逆にリアルになったような。マルシンのメッキはとても綺麗でリアルですね。
ご覧の通り、外観は実物そっくりで非常に良く出来てます。内部ももちろん可能な限り忠実に再現されてます。傑作モデルガンと思います。

ただ、唯一残念なのが後部のここ(赤矢印)。実物はここはツライチで分かれてません。モデルガンの素材の構成上仕方ないのですね。スライド部(サブフレーム(パーツリスト表記。以下同様)が亜鉛パーツで、フレーム部はABS。ABSタイプだとなんとか直せる(外面だけABS板で置き換える)んですが、メッキタイプは当然無理なのです。
でもコクサイのはここは実銃どおりになってます。しかしコクサイのは戦後型で、マルシンの戦前型の魅力には勝てない。一勝一敗、ってとこですかね(そうか?)。

ただ、マルシンのは380ACP仕様で、戦前もこの口径があったかどうかはよくわからんのですが。なんであれ戦前は基本32口径タイプだったようです。グリップのロゴはマルシンが戦前、コクサイが戦後型なのですね。

銃身部もリアル。スライドリング(銃口周囲の、丸くてギザギザのある部品)を押して回すと、リコイルスプリングが前にでてきて外せます。バレル内が汚いのですが、これはホルスター(後述)のチリです。嬉しくて何度か入れてるうちに付いちゃったようです。
実銃だと、このスライドリングが欠点だったようです。ここにガタがくると、スプリングと共に飛び出ちゃうことがあったそうな。

アニメーターの大塚康生氏は、アニメーターになる前は厚生省の麻薬取締官事務局に勤めていて、拳銃を毎日のように清掃していたとのこと(「作画汗まみれ」(徳間書店)より)。捜査官は、職務上拳銃を携帯してるんですね。ただし大塚氏は捜査官ではなく、補助職の内勤だったそうです。その仕事のひとつが、拳銃の手入れだったとのこと。そして、氏の回想でこの欠点に触れてたような(記憶がおぼろげですけど。出典さがしたけどみつからなかった)。

で、不二子ちゃんがこのブローニングを持っているのは大塚氏になじみの深い「いつも分解掃除していた」拳銃だったからだとか。へー!ですね。(「作画汗まみれ」では大塚氏は「ブローニング・ハースタル22」と書かれてます。22口径のタイプだったのかもしれません。けど22口径のってあったのかな?)

まあ、そういう理由だけでなくて、このブローニングは綺麗ですし凸凹もなく隠しやすいしで不二子ちゃんにピッタリということもあったんでしょうけど。アニメのようにストッキングに挟んで隠すというのもまあ出来そうです(ほんとにやると重さで垂れ下がってきそうですけど。誰ですかそれがヨシ!って思った人は(笑))

上の写真でもわかりますが、フロントサイトとリアサイトは出っ張らないように極力小さくされています。そのためかなり狙いが付けにくいです。その気になればサイトをもっと大きくできたはずですが、あえてこうしたのは携帯性を優先したからなんでしょうね。

分解した様子。先に書いたとおり、ほんと良く出来てます。
ストライカー先端は安全対策上アレンジされてます。実物は当然先が針状になってます。それ以外はほぼ実物に沿ってると思います。私は発火させないので、ストライカースプリングを短い別のものに置き換えてます。ストライカーの黒いものはグリスです。

子供の頃何丁か買った、と書きましたが、当時のは全て壊れてしまいました。しかし、使えそうなパーツはとってあります。
ご覧の通りガビガビなのが多いですね。この中からましそうなやつを選んで磨きなおして使ってます。改めて見てみると、どうも4丁は買ったみたいですね。

こっちは新品のスペアパーツ。新品のストライカーは案外貴重かと思います。これ、発火してると変形していく消耗品なんです。
多分もう発火はさせないので、ストライカーやファイアリングピンがあっても仕方ないのですが、あるだけで嬉しいのでいいのです(笑)

再生に際して、とりあえず金属パーツを磨きます。比較的ましなパーツをペーパーで研磨して、コンパウンドで仕上げてからブルーイング。これはブルーイングの直前。
ブルー液がもう残り少なくて、チョビチョビとやったら染めが中途半端だったようです。先に上げた、後ろから撮った写真のグリップセフティを見てもらえれば分かりますが、すぐ下地がでてきてしまいました。またブルー液を買っても一回やってみます。

ブリーチブロックとストライカーは、擦過部を磨いてとにかく摩擦を減らします。
イメージとしては、スプリングの圧力が100パーセント部品にかかるような感じ。100パーというのは物理上ありえないのですが、まあそういうイメージを持って作業するのが大事、ということです。

要はこういうことですね。Aはパーツの摩擦のせいで、スプリングの力が100パー発揮されてません。これが作動不良の原因になります。そこでパーツを磨いてBのように摩擦を0にすると、スプリングの力が全てパーツに伝わるわけです。

しかし、磨きすぎるのも禁物です。Cのように研磨しすぎてパーツ同士の隙間ができると、今度はパーツが所定の動作をしなくなり新たな摩擦が生じてきます。むしろAよりCの方がアカンかもです。Bを理想にして、あとはグリスとかオイルで摩擦を極力減らすわけです。

つまり、ちょうどイイ感じのとこを探りながら、少しずつ磨くのがキモなんですね。上のブリーチブロックはまだ傷やスが残ってますが、これらがなくなるまで磨いちゃうとガタが出来始めます。なので、この程度で止めているわけです。

こういうのって「いちいち説明されんでもわかっとるわ!」ってレベルの話なんですけど、こういうイメージを持ってると持ってないでは意外と結果が変わってきます。理屈で理解するというよりは、個々人の経験や失敗からくる実感として会得できるかどうか大事じゃないかなあ、と思ってます。

この辺のパーツもきちんと磨いてやります。シアは、他のパーツと当たるところが少ないので、軸受けだけをツルツルに。
コネクター(シアを押すロの字型のパーツ)は、本体に入れると結構キツキツです。ここもきちんと削って磨きます。ディスコネクト用の出っ張りもツルツルに。ディスコネクトは最小限の力(スライドを軽く引いて解除されるくらいまで)で出来るようになるまで調整します。

パーツを組み込むとこんな感じ。メカニカルな感じがたまらんですね。こういうのがモデルガンの醍醐味のひとつでありましょう。
光りの当たり具合で、本物に見えないこともないです。うーん、うっとり、、。

今回入手したパーツで一番でかかったのがバレル。これ、発火するとすぐ割れちゃうんですよね。けど単体で出てくることはほぼないという。子供のころ買ったのも全て割れました。バレルは切込みが入れられており、本体の凹部と噛み合わさります。これで固定されるわけです。

本物は鉄なのでこれでOKですし、銃の構造として素晴らしいものなのですが、モデルガンはバレルがプラ。なので、火薬とストライカーの打撃、リコイルスプリングの圧力を全てここで受けるので強度的にキツイのです。だから割れやすいという。

しかし今回気付いたのですが、すり合わせなどをきちんとしていないと各部の摩擦抵抗は結構なものでした。それらを丁寧に取り除いてやるとかなりスムーズになりました。バレルへの負荷はその分減っているはず。

特に、ストライカーはコッキングすると仮固定されるため、ブリーチブロックとの間に摩擦が生じるのです。コッキング時のスライドの動きがこれほど鈍くなるとは、、。子供の頃は気付いていませんでした。前述の通り、ここも当然丁寧に研磨しています。

なので、バレルが割れたというのは単に私の調整技術が至らなかったということかもしれません。当時はスライドの動きを滑らかにするくらいしかやってなかったですから。この辺は、他のユーザーの方に経験談を伺いたいところ。で、発火してみるとその辺が判明・証明できるんですけど、また割れると立ち直れないのでやりません(笑)手動で装填排莢させてみた感じでは、かなり調子がよさそうなんですけどね。やりませんけど(笑)

バレルを入れたらこんな感じ。スライドを定位置で固定し、バレルを90度回転させるとバレルの凸がスライド側の凹にかみ合い、リコイルスプリングを抜くことなくスライドが外せます。
通常の清掃はこのレベルで十分ですね。この辺の設計も秀逸です。

スライドには切り欠きが2つあり、左側が分解時用です。この切り欠きにセフティをかけると上のようにバレルとスライドの凸凹がかみ合います。右がセフティ用の切り欠き。これとグリップセフティ(セフティ直下の握り部の出っ張り)とマガジンセフティと3つも安全装置があるのですね。これは銃の主な用途として、懐に入れたままにするような携帯用として想定されているからでしょう。
ストライカー式なので、装填・コッキングした状態で携帯し続ける場合の安全性にこだわったのかと。ただ、いくら安全装置がきちんとしてるからといって装填したまま懐に入れておくのはちょっと嫌ですねやっぱ。

コクサイのモデルガン、コルトポケット(M1908)との比較。よく似てますね。コルトですが、ブローニングM1906をそのままコルトが作ったような感じの銃です。似てるのは当たり前ですね。
M1910はM1900から発展改良したと思いきや、M1906が間にはさまってるんですね。もちろん全てジョン・ブローニング氏の設計。構造構成的には、M1910はM1906が原型になったといっていいようです。

内部はもちろん操作法もよく似てる、っていうかほぼ同じ。
コクサイのコルトポケットもとてもよく出来ているモデルガンです。これまた傑作です。またこれ単体で紹介したいですね。

で、なんでM1910が好きかというと、日本軍将校御用達だったからというのも大きな理由のひとつです。これだけで好き度が10割り増し(笑)。中田商店の日本軍用ホルスターも2つ持ってます。
右のは使い込んでボロボロです。ほつれとかも直したいです。左のはほとんど使ってない(使うっていってもサバゲとかしないので、普段いじってるかどうかレベルなんですが。)です。でも染みとかがあってちょっと残念なことに。それぞれまた手入れする予定。その際はこれまた単独で紹介したいです。

うーん、それにしても綺麗な拳銃ですねえ。下に敷いてるのはおフランスの新聞。こういうエレガントな演出(そうか?)が似合いますね。
ダミーカートはCAWのPPKのもの。32口径なんですがまあいいじゃないですか。予備マガジンが2つあるのは、当然昔のジャンクの名残です。うーん、3本フル装填させて発火させたい、、、(どないやねん)。

というわけでお終いです。
今回久しぶりにモデルガンの調整をしましたけど、ほんと楽しいですね。作業中は手が金属粉&油まみれになるのでうんざりするんですけど(笑)、部品を組み上げてガチャガチャ作動させて機能がきちんとしてるのを確認できたときはニコニコしてしまいますね。ちょっと他には替えられない醍醐味があります。コルトポケットはじめ、また折を見てあれこれ紹介したいです。

最後にお知らせです。

●中四国AFVの会が、4月16日に開催されます。

以下、概要です(実行委の告知を転載)

【第21回中四国AFVの会 開催のお知らせ】
日時:4月16日(日)10:00~16:00
場所:福山市市民参画センター
参加費:1000円(高校生以下は無料)
    ※見学のみの方は無料です。
投票による作品コンテストも開催!
今回はゲストをお招きしてのトークショーも予定しています!(実に4年ぶり!)
協賛クラブ「高松ニッパーズ」のメンバーで当会で通5度の大賞を獲得された故浮田直人氏の作品を高松ニッパーズブースにて特別展示予定!
【ご来場にあたってのお願い】
・会場内でのマスク着用
・手洗い消毒
・37.5度以上の発熱のある方の参加自粛
3月以降、公共の場でのマスク着用基準が緩和されました。
しかしながら、当会では参加者の皆様が心置きなく戦車模型を肴に歓談を楽しんでいただくために、今回は主催者判断として、会場内でのマスクの着用をお願いいたします。
春の1日、戦車模型で楽しく遊びましょう~。
奮ってご参加お待ちしています!
中四国AFVの会

以上です。

私は4年ぶりの参加になります。楽しみです。

というわけでまた。

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モデルガンをいじっててアレコレ思うことを書いてみました。

2021年05月01日 | 銃の模型
今回はモデルガンを糸口に、銃の話をつらつらとしたいと思います。日本のモデルガンはとてもよくできてて、実銃の構造をきちんと再現しています。もちろん、法律によって再現したらダメなところ(銃身を筒抜けにするとか)はあるのですが基本的に実銃のことを十分知ることができる「立体教材」のレベルです(実際、日本の関係官庁でも教育・訓練用に使ってるそうな、、)。昔の製品は外見だけ似ていて中身は独自にアレンジしたものもあったのですが、これは改造拳銃対策にわざとやってる意味合いもあったようです。でも、最近のはそういう遠慮が必要なくなった(もうモデルガンをわざわざ改造しなくても、むにゃむにゃ、、)のか、どれも凄い再現度です。

で、モデルガンをいじっていると「お、ここはこういうことなのか」とあれこれ気付くこともあるし、本に書いてあることを実感として理解することもあります。今回はその辺をちょっと書いてみます。

これはMGCのコルトM1911A1。いわゆるガバメントですね。
部品の構成はほぼ実銃どおりです。なので、これの分解組み立てができたらまあ多分実銃でも問題なくできるでしょう。グリップは実銃のが付きます。それくらいのレベルなんですね。モデルガンは強度がないので、それ用にアレンジしている箇所もあります。このガバだと、バレルブッシングがそうですね。でも、その違いを知っておくのもマニアのたしなみなのです(笑)

こちらはハドソンのトカレフ。ハンマーやシアなどがユニット状になってます。モデルガンはこれをイモネジで固定するのですが、実銃は本体に入れるだけです。
これはトカレフの特長なんですけど、写真とか動画ではいまいちピンときませんね。モデルガンを触って初めて「ほおお!こういうことなのか!」となるわけです。

真ん中のが九四式拳銃(ハートフォード製)です。この3丁は第二次大戦のときのソ連、日本、アメリカの制式軍用拳銃です。こうやって並べてみると、それぞれ違います(当たり前)
この違いは各国とも「こういうのが欲しい」という軍のニーズがあっての結果なんですね。過去の専門誌(今もかな?)では優劣を比較するという感じの記事が普通でした。「九四式よりガバが優秀」みたいな。そういうのもわかるんですけど「当時軍がどういう拳銃を求めてたのか?設計者は何を主眼に置いていたのか?」という視点も大事だと思います。優劣の評価って、結局は個人的な主観なわけです。車や自転車に例えるとわかりやすいですけど、人によって評価基準が違いますからね。ある人が「この車好き」でも真逆の評価をされることも普通にあるわけで、、。そういう個人的な主観にあわせて軍用拳銃を作ったわけではない。もっとこうなんちゅうか、シリアスなんですよね。その背景には歴史や政治、経済とかが複雑に絡んでいる(と思う)。

で、そういうのもモデルガンをいじってるとなんとなくわかります。例えば3丁のハンマーはこういう感じで構成されてます。
機能は同じ、なんですけど全然違いますね。トカレフはガバのコピーと思われてますけど「似てるとこは似てるけど、コピーというのはちょっと当てはまらないかな?」って感じです。

ガバのハンマーとスプリングなどの構成は堅実確実で、さすがブローニング氏(コルトですが基本設計はブローニングなんです。でもM1911の全てを設計したわけでもないらしくて、その辺よくわかんないです。ややこしい、、)、という感じ。
ハンマーのスプリングは、メインスプリングハウジング内に少し圧縮した状態でピン止めされてます。写真はピンを抜いてスプリングを出した状態。ピン止めしておくことで、分解時にスプリングが飛び出さないんですね。ほんとよく考えられています。

トカレフのハンマースプリングは、かなり簡素。ハンマーに縦に穴を開けてそこにスプリングを入れ、ピンで固定するだけ。
ハンマーが起き上がる動きに沿ってアール状の溝を掘り、そこにピンが入ってるので、スプリングにテンションがかかるわけです。か、賢い、、。ガバやP38タイプの拳銃はハンマーのスプリングを収めるスペースが結構広いです。そのためのコストを考えると、このトカレフ式は革新的ともいえるでしょうね。

びっくりするのが九四式。スプリングのみ。以上!!(笑)実にビンボ臭いんですけど(コラ)、これかなり凄いですよ。たったこれだけで、上記2丁と同じ機能を発揮してるんですからね。軍用銃として考えると、より少ない部品でかつ機能を損なわない、というのはかなり重要ですからね。そして、ハンマーにはローラーを付けて動作を滑らかにしています。これは確か多分世界唯一です。要は、スプリングで削ったコストをこっちに回してるわけです。
九四式はその他の部位もかなり簡素で、南部麒次郎氏は設計にあたりそういう意図を貫いていたことがうかがえます。っていうか、南部氏には「とにかくシンプルに」という基本スタンスがあったようです。他の銃を見てもそう思います。

ただ、この3丁、ハンマーを起こす時の滑らかさなどは違うかもしれません。この点は実銃を触ってみないとわからんです。しかし、軍用銃ですから各軍が望む所定の機能を果たせればいいわけです。なので、この3丁のシステムはそれぞれ「正解」なんですよね。

しかし、軍用銃としてはOKとしても、他国の軍に輸出したり民間で販売するとなるとちと話が違ってきます。ユーザーが変わるので、それへの配慮も必要になるわけで。ガバが安全装置などがキッチリしてるのは、そういうこともあったんだと思います。トカレフや九四式はそもそもそういう想定がないので、この点でも同列にして評価すること自体、ちとおかしいわけです。

トカレフのハンマー部のユニットは、ほんとよく考えられてますね。本体に収めるので、ハンマーピンなどの抜け止めは不要なんですよ。ガバなどは抜け止めにするため釘状にしたり、グリップで挟むようにしたりしてコストが上がってますからね。ピンをただの円柱状で済ませられるかどうかって、細かいことですけど大量生産する場合は凄く大事です。
エジェクターも、ユニットと一体化してます。エジェクターは磨耗前提のパーツなので交換可能にするのが普通なんですけど、磨耗したらユニットごと交換する、ということなんですね。そっちのがコスト高いやん!と思いきや「まあ磨耗する前に多分持ち主ともどもいなくなっちゃうからねえ、、」っていう発想なんでしょう、、(恐ろしい、、)

で、なぜこういう風にユニット化してるかというと、品質を維持するためなんですよね。このユニットは拳銃のキモなので、きちんとした部署できちんと作って、他で作った部位と合体する、という発想だそうです(出典明記したいんですけど、行方不明なのですいません。)。

先日紹介した「狙撃兵ユーリヤ」(ホビージャパン軍事選書)でも、ソ連の軍需工場の実情が克明に描かれてまして(著者のユーリヤ氏は一時期工場で勤労奉仕していた)、それを読むと兵士となる男性の代わりに女性や子供が動員され、短期間で熟練工の仕事をさせられるなど、結構なガタガタぶりだったようです(日本もそうなので偉そうなことはいえないけど)。なので、このユニット化は自国の実情を考慮したものなんですね。こういう点もやはり加味しないとわかるものもわからんでしょう。

トカレフは「とにかく簡素、簡単に、でもガバみたいなちゃんとした拳銃が欲しいからよろぴく」というムチャな要求にきちんと答えた拳銃なんだなあ、と思います。変なもの作っちゃうとある晩NKVDが戸口に来て自身が行方不明になっちゃうから、トカレフ氏半泣きだったんじゃないかなあ、とか(笑)
ネジの類も一切使ってないです。グリップも銀色のプレートをずらして固定するという。ロシア時代から御用達だったモーゼルC96はピンやネジを極力排するパズルのような構造だったので、それを念頭に置いていたのかな?とも。
でも、モーゼルは唯一グリップの固定だけはネジを使ってました。なのでトカレフのグリップは、トカレフ氏なりの先達へのイキリなのかも?とかあれこれ妄想してしまいます(笑)

スライドストップの固定は、割りピンを使ってます。これもかなり割り切った設計ですね(割りピンだけに)。マガジンキャッチは、ネジを使ってますがこれはモデルガンのアレンジ。実物はこれまた割りピン式になってます。
割りピンって、発想の転換なんですよね。銃器設計者の間では「こういうのって姑息」みたいな考えがあったのか、これまでの銃ではまあ使われてません。でも「使っちゃえばいーじゃん」って開き直れるというのは発想が柔軟な後発組ならではなのかも?と。先発組って、先行している分、逆に知識や経験やプライドが邪魔になって、発想の自由度を狭めることもあるんですよね。

こちらは右からグロック17(タナカ製)、P7M13(MGC製)、ベレッタM92SB(マルシン製)です。P7はガスガンです。
何でこの3丁かと言いますと、現代の拳銃の推移をよく表してるからなんですね。M92は黎明期から第二次大戦以降の自動拳銃の集大成・到達点のような拳銃です。開発は1975年ごろ(「ごろ」、ですいません。拳銃の開発年って、あやふやなんですよね。軍が正式採用する年とかはわかりやすいんですけど、銃自体の完成時期ってはっきりわからないんです)。内部構造はP38を改良発展させたような感じで、そこにブローニングハイパワーの多弾数マガジンを入れ込んだ、みたいな。構造の堅実さや火力、安全性など全ての点で優れていて、米軍も「力強いアメリカの伝統・象徴」みたいなガバを止めて採用したほどです。

しかし、その後(1982年ごろ)グロック17が登場します。フレームやマガジンにプラを多用してこれまでの拳銃と一線を画す拳銃で、しかも性能がよくあっという間に世界のトップになってしまいました。例えば米の官公庁は、ベレッタなどから一瞬でグロックに乗り換えたそうです。その理由も、モデルガンをいじってるとなんとなくわかります。
分解してみると、一見同じように見えます。まあ、自動拳銃なので結果的にどれも同じようなものになるんですね。でも、違うんですね。

グロックは、とにかく「扱いやすくて安全」なんです。プラ製であることがクローズアップされがちですが、実はそれよりも安全性に優れている点が凄い。しかも、これまでの拳銃のようなレバー式の安全装置がないんですね。
どうやってるかというと、ファイアリングピンロックがあり、トリガーを引いた時以外は絶対にファイアリングピンが前進しないようにしています。スライドの丸いパーツがそれ。トリガーを引くとここが押し上げられて解除されます。トリガーにはトリガーセフティがあり、トリガーを意図的に引かない限り、トリガーは後退することはありません。非常に簡単な構造ですが確実です。また、ストライカー式なので部品数もハンマー式より少ないです。

ファイアリングピンロックも、トリガーセフティも目新しい機構ではありません。ストライカー式も古典中の古典のシステムで、むしろ時代遅れとみなされていました。しかし、これらを組み合わせることで一気に最新型の拳銃となったわけです。

このグロックのシステムだと、薬室に弾が入っていても暴発の危険はありません。操作も簡単なのでちょっとレクチャーしたら誰でも扱えます。「装填して撃つ時まではトリガーに指を触れるな」だけでいい。しかもとても撃ちやすい。バレルとグリップの距離が近いので、反動が制御しやすいんですね。グァムで撃ったときも、ほんとバンバン撃てるのでびっくりしました。一瞬で50発がなくなりましたからねえ、、。

官公庁など、多くの人が拳銃を扱う場合「安全性」ってほんと大事なんですよね。誰が扱っても大丈夫なようにしないといけない。もともと銃が好きな人は意識的に勉強したり扱いに気をつけたりするんですけど、興味はないけど職業上銃を持たないといけない人が圧倒的大多数ですからね。すぐ暴発事故が起きてしまう。(そういえば、日本でも最近返納された猟銃の暴発事故がありましたね。Kさつの人が、薬室に弾が入ってるのを確認せずトリガーを引いたとか。マニアからすると有り得ないんですけど、実際は「プロ」でもそうなんですよ、、)。ベレッタもダブルアクションオンリー(つまり1発ごとにダブルアクションになるという、、。トリガー重いよ、、)にしたM92Dというタイプまであるんですが、これはそういう暴発事故に対応したものなんですね。事故はほんとそれくらい起こる、ってことなんでしょう。

フレームをプラにしたのも、とにかく軽量化のためでしょうね。銃ってほんと重いので、できれば持ち歩きたくないものの一つです(笑)。いつ使うかわからないのに持ってなければならない仕事の人たちからすると大歓迎でしょう。なので、グロック社はかなり明確な意図と目的をもってこの銃を開発したんだろうな、と。先行各社が「これでいい」というままにしてたあれこれをひっくり返してしまった。多分、ですけど各社の関係者はびっくりしたんじゃないかと思います。「やられたー!!」って。

グロック社は元々は軍用ナイフなどを作ってた門外漢のメーカーだったので、知識や経験がないけど逆に先入観にとらわれないというアドバンテージがあったわけですね。資料(Gun誌84年5月号・床井氏のレポート。グロックの詳細なレポートとして世界初だそう。グロック社長自らに取材してます)によると、グロックの開発期間はわずか2年で設計は社長自らが行い、その期間もわずか2ヶ月だったと。凄いなあ、、。氏はあらゆる拳銃を撃って、不満に思った点を改良すべく開発に当たったとか。なるほど、、。まあ、そういうことなんですよね。何かを新開発する際の普遍的かつ必要な姿勢、といいますか、、。

P7は1976年ごろ作られた、M92とグロックの間のような銃です。グロック以前も、新世代の自動拳銃を各社が試行錯誤しておりあーだこーだジタバタしてたんですね。P7は実に独創的な構造の拳銃だったんですが、残念ながら主流にはなれずとうとう2007年に製造中止になりました(つーか、ついこないだまで作ってたのにびっくり)。でも私はこれとても好きなんですよね。ジタバタ感がいい(笑)しかもカッチョいいです。モデルガン欲しいんですけどねえ、、。

で、グロックもP7も先に書いたように過去の先達のシステムを研究した上で開発されたわけです。特にグロックはポッといきなり浮かんできたみたいな印象がありますけど、先に書いたようにもちろんそんなわけではない。欠点が認識されないと改良もへったくれもないわけです。そしてその「欠点」は先達が必死で、最上のものとして作り上げたものです。グロックも多々無数の人が考え作り培ってきた流れの上にあるんですね。ガバもトカレフも九四式もそうです。いろんな技術者がいろいろ試行錯誤してたくさんの銃を開発してきたわけです。

モデルガンをいじってると、そういう人々の苦労苦闘がなんとなくですが伝わってきます。もの作りの大変さと魅力、を教えてくれるような、、。ガンマニアというとアブナイ、という誤解はまだまだあるようですけど(残念ながら、、)こういう楽しみ方もあるんですよ。兵器全般に言えることですが、兵器のことをより知ろうと思ったら、兵器だけじゃなくて地理、歴史、政治、経済、文化などあらゆる知識や理解が不可欠なんです。そういう多くのことを学びながら、好きなものの知識を増やしていく楽しみは他の趣味となんら変わらないと思います。

というわけでお終いです。なんか取り留めのないエントリーになったような気がしますけど、まあいつも通りっちゃあいつも通りなのでいいですよね(笑)
うーん、それにしてもホールドオープン状態の自動拳銃ってええですねえ、、。いつもと違う感じがするのがいいんですよね。うっとり、、。(やっぱアブナイよな、、)。

あ、あと九四式拳銃については、いろいろ言いたいことがたくさんあるので(笑)そのうちまた単独エントリーできちんと書きたいと思ってます。

それでは。

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