今回はコクサイのモデルガン、コルト.25オートを紹介します。ちょっと前マルシンのブローニングM1910を紹介した際に「また今度これも」的に書いたのでそろそろ、というわけで。
コルト25オート、と書きましたが、コクサイの商品名としては「コルトポケット.25オート」です。実銃の呼称としては「ベストポケット」ともいわれてますが、どれが正しいのかよくわかんないです。
なんであれ、コルトM1908というのが正しい型式名です。ガンマニアには説明不要のジョン・ブローニング氏が設計した小型自動拳銃です。FNで発売したM1906をそのままコルトで出した(細部の差異はこれまたよくわかんないです。けどほぼ同じ銃のようです)のがM1908です。
呼称が「ポケット」であれ「ベストポケット」であれ、要はポケットに入れて隠してもっておける護身用拳銃ということですね。メチャ小さいです。手のひらに隠れます。
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とはいえ、自動拳銃の機能としては完璧なもので、ブローニング氏の才能を十分に感じられるものとなってます。ガバや32オートなど「普通の自動拳銃」を縮小したようなデザインで、とても可愛い印象になってます。
小さいながらも安全装置はマガジン、マニュアル、グリップの各セフティが完備されてます。構造的にも小さいからといって省略したようなところはありません。とてもきちんとしてます。
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後でも触れますけど、ブローニングM1910の雛形といっていいような構造・構成となってます。
で、このコクサイのモデルガンはM1908を非常に巧みに再現しています。決定版、でしょうねえ、、。発売は1982年ごろで、私が買ったのは2000年ごろ。ずっと入手難だったのですがこの頃久しぶりに再販されたので飛びつきました。なのでこれは初版ではないです。
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実銃をどこをどう巧みに再現してるのかは、見てもらったらわかりますわね(コラ)。25オートは、シルバーとブラックのメッキモデルのみの発売で、ご覧の通りとても綺麗な色に仕上がってます。
トリガーやセフティのシルバーメッキも上質で、購入後20数年経ってますけどこの輝き。
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セフティは、分解用ラッチも兼ねていてこのようにスライドを引いて、スライドの切り欠きに入れるとバレルが90度回転し、スライドとフレーム部を分離することができます。この辺もM1910と同じですね。
折角なので分解してみました。
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マガジンやバレルのファイアリングピンなどを除いて、ほぼこれが完全分解の状態です。
実銃を完全忠実に再現しているわけじゃなくて、各部アレンジをしています。例えば、ストライカーやブリーチ周辺は実銃と全然違ってます。
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これは法規制に対応してわざとそうしてるんですね。その他の部分はとてもリアルに再現されています。
これがブリーチ(インストではスライドブロック)部のパーツ群。
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ブリーチ(左から3つめのパーツ)を見てもらえればわかりますが、改造防止のために強度を保てないように設計されています。また、スライドの裏側を見てもらえればわかりますが、メッキはシルバーで、黒色は吹きつけ塗装のようです。でも塗膜がかなり強くて今もってはがれてません。コクサイの技術の高さが伺えます。
ブリーチ部は、強度を保てないようにしながらも強度がないとダメなので(禅問答みたいですけどこれはモデルガンの宿命)かなり工夫しています。
ストライカー(インストではファイアリングピンブロック)の黒矢印部がブリーチの赤矢印に当たるようにしています。この部分をパーツ的に総合的に一番丈夫にして、衝撃を全て受け取るようにすることで、強度を保っているわけですね。かつストライカーのファイアリングピンに該当する部分(白矢印)も可能な限り変形しずらいように成型されています。
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ストライカー式は、撃発時にストライカーが前進してブリーチに当たり、そこに衝撃が集中するという構造的宿命があります。鉄製だとぜんぜん問題ないんですけど、亜鉛パーツしか使えないモデルガン的には忠実に再現することは難しい。そもそも法規制というしばりもある。なのでそこのアレンジや強度が問題になるわけです。
このモデルガンでは可能な限り破損を避けつつ、かつ強度を維持するよう熟考されていることがわかります。
モデルガンというのは「丈夫にしすぎたらダメ、でもすぐ壊れるのもダメ」という非常にやっかいな製品なんですよね。ほんと禅問答です(笑)いやー、大変と思います、、。で、この25オートはそういう意味でも優れたモデルガンといえると思います。
こちらがカートリッジ。コクサイのオートマチックモデルガンは、マルシンともMGCとも違う「P.E.ピストンシステム」という独自のカートシステムでした。右の白いのがピストンです。要は、使い捨てのピストンですね。Gun誌のリポート(82年5月号)によると10回ほど使用できるとのこと。
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Gun誌を読むと、どうもこの25オートからこのシステムになったようです(はっきりとはわかりませんが)。カートの箱は上の赤いのが発売時、下が後期のものと思います。
ではさてそれでは発火させてみましょう、、といいたいところですが、もったいないのでできません(笑)買った直後に何発か撃ったんですけど、どんな感じだったか覚えてません。
手動で作動させてみると、装填排莢はスムーズでスライドの動きも滑らかです。恐らくとても調子いいんじゃないかなーと。
Gun誌のレポートでは試作段階の製品だったので、不発や装弾不良が多かったとありますが、コクサイは製品段階では改良するとしています。
その後、コンバットマガジンではケンさんがマルシンの25オートと共にこのコクサイのをレポートしています。そこではマルシンのはかなりの調整をしたのですが(私もこれをみてやりました。結構調子よくなった)、コクサイのは調整する必要がなかったということを書かれてます。なのでやっぱり調子がいいモデルガンのようです。
で、「んなことくどくど書くなら撃ってみろよ!」って思ったあなたは正しい。でも、ヤダ!!(笑)壊れたらどーすんの!!責任とってくれんのあんた!!(おちつけ)
さて、私が25オートが好きなのは、映画「野良犬」が大好き(実銃がとても重要な役割として出てくる)なのと日本軍将校御用達だったというのが大きいですね。これは日本軍用ホルスター(中田商店レプリカ)です。
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こういう日本軍風のホルスターと並べたとたんに、日本軍っぽく見えてくるのが不思議(笑)
蓋を開けるとこんな感じ。予備弾入れが西部劇チックでカッコいいですね。弾はダミーカートです。
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ご覧の通りキツキツでさっと抜けるものではありません。ホルスターというと西部劇のようにとっさに素早く抜けるもの、というイメージがありますがそれが全てではないのですね。ドイツ軍のP08用とかもそうですけど「砂塵からまもるためのケース」という役割に重心を置いたものもホルスターなわけです。
で、25口径の拳銃というのは、ほんと豆鉄砲でそもそもが護身用レベルです。軍用の護身用としてはかなり心細いですね。でも、それなりの将校さんがこれを購入して装備していたようです。当時の日本軍将校さんは、制服から軍刀から拳銃からなにから、全部自費で購入しなきゃならんかったんですよ。ヒドイ話です(笑)
じゃあ給料がよかったからそうだった、というとそうでもなくて、下級将校さんはギリッギリの生活だったとのこと。「貧乏少尉、やりくり中尉、やっとこ大尉」という言葉がありまして、要は給料で賄えないだけの支出が必要となる職業だったようです。収入に比べると見栄えとかそういうのを維持することを常に要求される(どの国でも、当時の軍隊って今よりももっと、その国の威信を示すものだったでしょうから、各将校さんも「日本の代表」的にきちんとしてないとアカンですものね)バランスの悪い職業だったってことですね。この言葉の意味するところとしては、大尉になって初めてなんとか「普通の」生活が維持できる給料だったと。
例えば、学校の配属将校になって「よかった」という奥さんの話があります。それはなぜかというと「軍にいたときのような、歓送迎会とかの宴席がなくなったので、楽になった」と。要は飲み会が減って、交際費が減ったってことなんですよね。まあ宴席って、今でも一万二万すぐ飛びます。それが月何回もあったらアウトです(笑) そういうことですわね。なんて哀しい、、。軍人さんは大変だ、、、。
閑話休題。で、こういう非力な拳銃は、戦場で拳銃を使う機会がまあないであろう兵科(主計科など)の将校や高級将校にぴったりだったんでしょうね。拳銃って重くてうざいので、持たなくていいなら持ちたくないものです(多分)。なので持つことに意味のある拳銃として重宝されてたのかもなあ、と。
でも、とある憲兵さんの回顧録では「私服のときはこれを持ってた。何故かというと発砲音がメチャ大きくて脅しになった」という下りがありました。便衣兵に襲われたときこれで威嚇射撃をして追い払ったとのこと。
発砲音、そんなに大きいんですかね?そういやマルシンの25オートもメチャでかかったのでそうかもな?と(笑)銃身やブローバックのストロークが極端に短いので、大きくなるんでしょう。 なんであれ、そんなこんなの護身用なんでしょうね。
ダミーカートの比較です。左から.25(6.35ミリ)、.32(7.65ミリ)、8ミリ南部、9ミリパラ、7.63ミリモーゼル弾、です。
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こうやってみると25の弾はかなり小さいですね。こんなんでどーにかできるのか?というレベル。でもこれでも拳銃として成り立つんでしょうね。だかこそずっと今でもこの口径の拳銃が作られ続けてるんでしょう。
例えば、こういう小さい弾は頭に入ったら、弾が弱いからこそ反対側に抜けなくて頭蓋骨の中を跳ね回って脳みそがグチャグチャになるそうです。コワー、、、。なのでバカにはできないんですよね、、。
すいませんなんか気持ち悪い話して。でもまあどんなものでもそれぞれにそれぞれの長所がある、ってことなんでしょう。
こちらはブローニングM1910()マルシンモデルガン)との比較です。
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先に書いた通り、25オートが原型となったことがよくわかりますね。
中をみても一目瞭然。多分、ですけどブローニング氏は25オートの設計でこの構造の確信を得て、M1910につなげたのでしょう。
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バレルの凸がフレームの凹にかみ合う構造は、アストラM400など以後多くの拳銃が真似してますね。でもこれがブローニング氏の発明なのかはよくわかんないんですけど、多分氏が発ではないかと。
ブリーチ部の再現度でいうと、マルシンM1910の方が実銃に近いですね。
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コクサイもマルシンレベルまで再現しても大丈夫だったんでしょうけど、その辺は各メーカーの判断、ということですね。どっちがどう、じゃないんですね。
で、このモデルガンは普段こうやってケースに入れて展示してます。以前紹介したと思います。100均で売ってたのをオイルステインで着色したものです。なんかイイ感じでしょう。
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ダンボールで詰め物をして、ベルベット風の布をあしらってみました。
壁に掛けるとアラ不思議、素敵なオブジェに(笑)
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トイガンはむき身で置いてるとギョッとされることもありますが、こうするとオサレな装飾品となるのでええですよ。難としてはぴったりのケースが中々ないという点。この25オートのは奇跡的にぴったりでしたねえ、、。
というわけでお終いです。今回久しぶりにばらしたりいじったりして改めて「モデルガンってええなあ、、」って思いました。
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モデルガンって実銃を持てない人の代替品、みたいな風に思われがちなんですけど、そうじゃないんですよね。エアガンともどもトイガンって、トイガンならではの面白さ・楽しみ方があるのです。奥が深いです。
手持ちのモデルガンは少ないながらまだあるので、また今回のように紹介したいですね。
で、コクサイさんは、残念ながら現在はありません。とても素晴らしいメーカーさんだったんですけどね、、、。当時は「リボルバーのコクサイ」と言われてて、リボルバーの傑作を多々出してたんですけど、この25オートのようにオートマチックのモデルガンも素晴らしいものをリリースしていました(ほかにはM1910とウッズマンがあります)。
今回この25オートを検分してて思ったのは「このテイストでガバとかP38とかを出してほしかったなあ」とほんと思いましたね。傑作にできるはずのメーカーさんだったからほんと残念、、。で、予算内で何とかなればM1910やウッズマンも手に入れてみたいです。でもどれも今高値なんですよねえ、、、。誰かくれないかな(コラ!)
それでは。