森男の活動報告綴

身辺雑記です。ご意見ご感想はmorinomorio1945(アットマーク)gmail.comまで。

コルトポケット .25オート(コクサイ モデルガン)

2023年09月19日 | 銃の模型
今回はコクサイのモデルガン、コルト.25オートを紹介します。ちょっと前マルシンのブローニングM1910を紹介した際に「また今度これも」的に書いたのでそろそろ、というわけで。

コルト25オート、と書きましたが、コクサイの商品名としては「コルトポケット.25オート」です。実銃の呼称としては「ベストポケット」ともいわれてますが、どれが正しいのかよくわかんないです。

なんであれ、コルトM1908というのが正しい型式名です。ガンマニアには説明不要のジョン・ブローニング氏が設計した小型自動拳銃です。FNで発売したM1906をそのままコルトで出した(細部の差異はこれまたよくわかんないです。けどほぼ同じ銃のようです)のがM1908です。

呼称が「ポケット」であれ「ベストポケット」であれ、要はポケットに入れて隠してもっておける護身用拳銃ということですね。メチャ小さいです。手のひらに隠れます。
とはいえ、自動拳銃の機能としては完璧なもので、ブローニング氏の才能を十分に感じられるものとなってます。ガバや32オートなど「普通の自動拳銃」を縮小したようなデザインで、とても可愛い印象になってます。

小さいながらも安全装置はマガジン、マニュアル、グリップの各セフティが完備されてます。構造的にも小さいからといって省略したようなところはありません。とてもきちんとしてます。
後でも触れますけど、ブローニングM1910の雛形といっていいような構造・構成となってます。

で、このコクサイのモデルガンはM1908を非常に巧みに再現しています。決定版、でしょうねえ、、。発売は1982年ごろで、私が買ったのは2000年ごろ。ずっと入手難だったのですがこの頃久しぶりに再販されたので飛びつきました。なのでこれは初版ではないです。
実銃をどこをどう巧みに再現してるのかは、見てもらったらわかりますわね(コラ)。25オートは、シルバーとブラックのメッキモデルのみの発売で、ご覧の通りとても綺麗な色に仕上がってます。

トリガーやセフティのシルバーメッキも上質で、購入後20数年経ってますけどこの輝き。
セフティは、分解用ラッチも兼ねていてこのようにスライドを引いて、スライドの切り欠きに入れるとバレルが90度回転し、スライドとフレーム部を分離することができます。この辺もM1910と同じですね。

折角なので分解してみました。
マガジンやバレルのファイアリングピンなどを除いて、ほぼこれが完全分解の状態です。

実銃を完全忠実に再現しているわけじゃなくて、各部アレンジをしています。例えば、ストライカーやブリーチ周辺は実銃と全然違ってます。
これは法規制に対応してわざとそうしてるんですね。その他の部分はとてもリアルに再現されています。

これがブリーチ(インストではスライドブロック)部のパーツ群。
ブリーチ(左から3つめのパーツ)を見てもらえればわかりますが、改造防止のために強度を保てないように設計されています。また、スライドの裏側を見てもらえればわかりますが、メッキはシルバーで、黒色は吹きつけ塗装のようです。でも塗膜がかなり強くて今もってはがれてません。コクサイの技術の高さが伺えます。

ブリーチ部は、強度を保てないようにしながらも強度がないとダメなので(禅問答みたいですけどこれはモデルガンの宿命)かなり工夫しています。

ストライカー(インストではファイアリングピンブロック)の黒矢印部がブリーチの赤矢印に当たるようにしています。この部分をパーツ的に総合的に一番丈夫にして、衝撃を全て受け取るようにすることで、強度を保っているわけですね。かつストライカーのファイアリングピンに該当する部分(白矢印)も可能な限り変形しずらいように成型されています。
ストライカー式は、撃発時にストライカーが前進してブリーチに当たり、そこに衝撃が集中するという構造的宿命があります。鉄製だとぜんぜん問題ないんですけど、亜鉛パーツしか使えないモデルガン的には忠実に再現することは難しい。そもそも法規制というしばりもある。なのでそこのアレンジや強度が問題になるわけです。

このモデルガンでは可能な限り破損を避けつつ、かつ強度を維持するよう熟考されていることがわかります。

モデルガンというのは「丈夫にしすぎたらダメ、でもすぐ壊れるのもダメ」という非常にやっかいな製品なんですよね。ほんと禅問答です(笑)いやー、大変と思います、、。で、この25オートはそういう意味でも優れたモデルガンといえると思います。

こちらがカートリッジ。コクサイのオートマチックモデルガンは、マルシンともMGCとも違う「P.E.ピストンシステム」という独自のカートシステムでした。右の白いのがピストンです。要は、使い捨てのピストンですね。Gun誌のリポート(82年5月号)によると10回ほど使用できるとのこと。
Gun誌を読むと、どうもこの25オートからこのシステムになったようです(はっきりとはわかりませんが)。カートの箱は上の赤いのが発売時、下が後期のものと思います。

ではさてそれでは発火させてみましょう、、といいたいところですが、もったいないのでできません(笑)買った直後に何発か撃ったんですけど、どんな感じだったか覚えてません。

手動で作動させてみると、装填排莢はスムーズでスライドの動きも滑らかです。恐らくとても調子いいんじゃないかなーと。

Gun誌のレポートでは試作段階の製品だったので、不発や装弾不良が多かったとありますが、コクサイは製品段階では改良するとしています。

その後、コンバットマガジンではケンさんがマルシンの25オートと共にこのコクサイのをレポートしています。そこではマルシンのはかなりの調整をしたのですが(私もこれをみてやりました。結構調子よくなった)、コクサイのは調整する必要がなかったということを書かれてます。なのでやっぱり調子がいいモデルガンのようです。

で、「んなことくどくど書くなら撃ってみろよ!」って思ったあなたは正しい。でも、ヤダ!!(笑)壊れたらどーすんの!!責任とってくれんのあんた!!(おちつけ)

さて、私が25オートが好きなのは、映画「野良犬」が大好き(実銃がとても重要な役割として出てくる)なのと日本軍将校御用達だったというのが大きいですね。これは日本軍用ホルスター(中田商店レプリカ)です。
こういう日本軍風のホルスターと並べたとたんに、日本軍っぽく見えてくるのが不思議(笑)

蓋を開けるとこんな感じ。予備弾入れが西部劇チックでカッコいいですね。弾はダミーカートです。
ご覧の通りキツキツでさっと抜けるものではありません。ホルスターというと西部劇のようにとっさに素早く抜けるもの、というイメージがありますがそれが全てではないのですね。ドイツ軍のP08用とかもそうですけど「砂塵からまもるためのケース」という役割に重心を置いたものもホルスターなわけです。

で、25口径の拳銃というのは、ほんと豆鉄砲でそもそもが護身用レベルです。軍用の護身用としてはかなり心細いですね。でも、それなりの将校さんがこれを購入して装備していたようです。当時の日本軍将校さんは、制服から軍刀から拳銃からなにから、全部自費で購入しなきゃならんかったんですよ。ヒドイ話です(笑)

じゃあ給料がよかったからそうだった、というとそうでもなくて、下級将校さんはギリッギリの生活だったとのこと。「貧乏少尉、やりくり中尉、やっとこ大尉」という言葉がありまして、要は給料で賄えないだけの支出が必要となる職業だったようです。収入に比べると見栄えとかそういうのを維持することを常に要求される(どの国でも、当時の軍隊って今よりももっと、その国の威信を示すものだったでしょうから、各将校さんも「日本の代表」的にきちんとしてないとアカンですものね)バランスの悪い職業だったってことですね。この言葉の意味するところとしては、大尉になって初めてなんとか「普通の」生活が維持できる給料だったと。

例えば、学校の配属将校になって「よかった」という奥さんの話があります。それはなぜかというと「軍にいたときのような、歓送迎会とかの宴席がなくなったので、楽になった」と。要は飲み会が減って、交際費が減ったってことなんですよね。まあ宴席って、今でも一万二万すぐ飛びます。それが月何回もあったらアウトです(笑) そういうことですわね。なんて哀しい、、。軍人さんは大変だ、、、。

閑話休題。で、こういう非力な拳銃は、戦場で拳銃を使う機会がまあないであろう兵科(主計科など)の将校や高級将校にぴったりだったんでしょうね。拳銃って重くてうざいので、持たなくていいなら持ちたくないものです(多分)。なので持つことに意味のある拳銃として重宝されてたのかもなあ、と。

でも、とある憲兵さんの回顧録では「私服のときはこれを持ってた。何故かというと発砲音がメチャ大きくて脅しになった」という下りがありました。便衣兵に襲われたときこれで威嚇射撃をして追い払ったとのこと。

発砲音、そんなに大きいんですかね?そういやマルシンの25オートもメチャでかかったのでそうかもな?と(笑)銃身やブローバックのストロークが極端に短いので、大きくなるんでしょう。 なんであれ、そんなこんなの護身用なんでしょうね。

ダミーカートの比較です。左から.25(6.35ミリ)、.32(7.65ミリ)、8ミリ南部、9ミリパラ、7.63ミリモーゼル弾、です。
こうやってみると25の弾はかなり小さいですね。こんなんでどーにかできるのか?というレベル。でもこれでも拳銃として成り立つんでしょうね。だかこそずっと今でもこの口径の拳銃が作られ続けてるんでしょう。

例えば、こういう小さい弾は頭に入ったら、弾が弱いからこそ反対側に抜けなくて頭蓋骨の中を跳ね回って脳みそがグチャグチャになるそうです。コワー、、、。なのでバカにはできないんですよね、、。

すいませんなんか気持ち悪い話して。でもまあどんなものでもそれぞれにそれぞれの長所がある、ってことなんでしょう。

こちらはブローニングM1910()マルシンモデルガン)との比較です。
先に書いた通り、25オートが原型となったことがよくわかりますね。

中をみても一目瞭然。多分、ですけどブローニング氏は25オートの設計でこの構造の確信を得て、M1910につなげたのでしょう。
バレルの凸がフレームの凹にかみ合う構造は、アストラM400など以後多くの拳銃が真似してますね。でもこれがブローニング氏の発明なのかはよくわかんないんですけど、多分氏が発ではないかと。

ブリーチ部の再現度でいうと、マルシンM1910の方が実銃に近いですね。
コクサイもマルシンレベルまで再現しても大丈夫だったんでしょうけど、その辺は各メーカーの判断、ということですね。どっちがどう、じゃないんですね。

で、このモデルガンは普段こうやってケースに入れて展示してます。以前紹介したと思います。100均で売ってたのをオイルステインで着色したものです。なんかイイ感じでしょう。
ダンボールで詰め物をして、ベルベット風の布をあしらってみました。

壁に掛けるとアラ不思議、素敵なオブジェに(笑)
トイガンはむき身で置いてるとギョッとされることもありますが、こうするとオサレな装飾品となるのでええですよ。難としてはぴったりのケースが中々ないという点。この25オートのは奇跡的にぴったりでしたねえ、、。

というわけでお終いです。今回久しぶりにばらしたりいじったりして改めて「モデルガンってええなあ、、」って思いました。
モデルガンって実銃を持てない人の代替品、みたいな風に思われがちなんですけど、そうじゃないんですよね。エアガンともどもトイガンって、トイガンならではの面白さ・楽しみ方があるのです。奥が深いです。

手持ちのモデルガンは少ないながらまだあるので、また今回のように紹介したいですね。

で、コクサイさんは、残念ながら現在はありません。とても素晴らしいメーカーさんだったんですけどね、、、。当時は「リボルバーのコクサイ」と言われてて、リボルバーの傑作を多々出してたんですけど、この25オートのようにオートマチックのモデルガンも素晴らしいものをリリースしていました(ほかにはM1910とウッズマンがあります)。

今回この25オートを検分してて思ったのは「このテイストでガバとかP38とかを出してほしかったなあ」とほんと思いましたね。傑作にできるはずのメーカーさんだったからほんと残念、、。で、予算内で何とかなればM1910やウッズマンも手に入れてみたいです。でもどれも今高値なんですよねえ、、、。誰かくれないかな(コラ!)

それでは。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

森男のイイ感じの建物探訪(その2)

2023年09月10日 | 街の建物探訪
今回は旅先などで見かけて写真に収めた古い建物を紹介する「イイ感じの建物探訪」です。何がどう「イイ感じ」かどうかは、もちろん私の主観です。でもほんとイイ感じなのでご覧になっていってくださいな。

さて昔の建物がいいのは、木がメインなところですね。中も外も、とにかく木なので、ヤレてきたときの存在感が半端ナイスなわけです。この家のヤレ具合もなかなかのもんじゃないかと。

これはどこで撮ったのかもう覚えてないですね。20年くらい前だったかと。多分地元のどっかです。

これは高山だったかなあ、、。上の家と違って、なんかお金持ちっていうか、全体的にキッチリしてますね。
外壁の板が白くなってるのが風格があっていいです。
窓の建具もそうですけど、木だと時間が経つと隙間ができたり割れたりで金属製のアルミサッシやトタン板の耐久性にはかないません。でも、だからこそ出てくる風格もあるわけで。


とはいえ、トタンはトタンでいいですね(どないやねん)。これは地元からかなり南に行ったとこの街の家。
写真を撮った場所は堤防の上の道路で、背中は海です。こうやって見ると、海の方向はあまり窓を大きくしてないのがわかりますね。

で、なんつーか、海の近くの家ってどれも似たような佇まいがありますね。
どこがどう、と総括することはできないのですが。全体的に乾いているような感じがします。この家の物干し台はイイ感じです。そういえば、物干し台自体も過去のものになっちゃいましたね。物干し台に寝そべり椅子とか置いて、ビールを飲んだりすることに憧れていたんですけどねー。

これは近所の家。今はもうありません。土手のすぐそばの家だったので、こういうアングルの写真が撮れるわけです。
瓦の具合を見てもわかりますけど、新築時は比較的豪勢な方の家だったのでしょう。ほんのちょっと前までは、こういう家ってあちこちにあったんですけど、ある時期を境にどんどん潰されてしまいました。この10年くらいが境目だったように感じます。

ご覧の通り、撮影時でも住んでる人がいなくて、かなりヤレてました。
家って、構造がよくわからないのでこういう風に少し壊れている物件は本当に有難いですね。この写真だと雨戸の収まる部分の構成がよくわかります。(わかってどうする、かもですが、、)。あとツタとかの繁殖具合が素敵ですね。

これは、近所で道に迷ったときに出会った建物。会社兼倉庫みたいな感じなんですかね。
壁に張り出した、三角の部分が珍しいですね。北海道とかにありそうな。

道に迷って困ってた時に、これに出会って「ほう」と。クルマを停めて、バシバシと写真を撮ってしまいました。そんなことやってる場合じゃなかったんですけどね(笑)
二階の部分はワンフロアになってるっぽかったです。裁縫とかそういう何かの工場だったのかもです。

で、こういうディテールも素敵でした。
電気関係のことはよくわからんのですけど、このメーターの位置って何か決まりがあるんですかね。あとメーターの後ろには大体こんな木の板があります。これも何か理由があるんでしょうね。

こちらは私の住んでる県のかなり山奥にあった建物。撮影時期は20年ほど前です。今もあるのかなあ、、。
山奥って、今でもこういう建物が普通にありますね。とはいえさすがに減ってはきてるでしょうね。

ここは多分、台所。レンガをあしらってるのが素敵です。
タイル壁の下のスリットとか、レンガを一部斜めに積んでたりとか、ほんと興味深いディテールが詰まってます。

そういえば、この地域の廃部落に足を踏み入れたことがあります。聞けば部落の人口がどんどん減ってきて維持できなくなり、もっと便利のよい山のふもとに一斉に移住したとのこと。でも建物はそのままで畑も区分けが残っていて、ほんと不思議な場所でした。写真も撮ったはずなんですけど見つからなかったです。

マリーセレステ号じゃないですけど、ふっと一瞬で村から人が消えてしまったような感じで、なんかちょっと怖い気がしました。古い建物だけじゃなくて、ガードレールとかコンクリの排水路とか、最近のものも残ってたというのも大きかったですね。人の気配があちこちに残って漂ってたっていうのがポイントだったのかなあ、と。それが20年ほど前でしたから、今はさらにそういう場所が増えてるのかもしれません。だからなんなんだ、ですけど、、、。

これは自宅からすぐの場所の空き地。これまた今はもうありません。建物が主役じゃないんですけどね。
建物と空き地と壁が作り出すこんな空間っていいですよね。クルマともどもいい場所だったんですけどねえ、、。ジオラマでこういうの作りたいですがほんとに「作ってどうする」ですねえ、、。

これは岡山の奉還町の商店街の入り口。多分ここは今もほぼ変わってないはず。
いいですよねえ、、、。この商店街はわりと活気があって、歩いててとても楽しかったです。懇意にしてもらってる岡山の模型クラブさんがこの近くで毎年展示会をしてて、この商店街の定食屋さんとかラーメン屋さんとか激シブの食器屋さんとかに行ってるうちに、なんか馴染みになってしまったという。

入り口右側の二階の事務所っぽいスペースが素敵です。こういうところで探偵事務所とか開きたいですね。
商店街で毎週起こる珍事件を解決したりするのも楽しそうです(笑)

というわけでお終いです。今回の物件もそうですが写真を選んでるときに「ああ、ここもうなくなっちゃったなあ」ってことが多いです。残念ですが仕方ないですね。

このシリーズ、とっても地味なんですけど楽しいのでまた続きをやりたいと思います。まだまだ写真あるんですよね。最近出不精に磨きがかかってるのですが、また出かけて新作(笑)も収穫したいです。

それでは。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする