4月16日、福山市で開かれた「第23回中四国AFVの会」に行ってきました。簡単ではありますが、今回はそのレポートです。上の写真は浮田直人氏の「1944・6・6 サン・メール・エグリース」です。
ご存知の方もおられると思いますが、この会はコロナの影響で2020、21年は中止。昨年から再開しました。昨年私は欠席しましたので、今回は4年ぶりの参加となります。
聞くところによると、昨年はコロナを受けてこじんまりとした会にしたそうです。しかし今年はコロナ前の通常運営に近いものになりました。
そのこともあって、来場者、コンテスト参加者ともどもコロナ前とまではいかなくとも、十分な数で盛り上っていたと思います。会場も終日にぎわってました。
さてまずコンテストの入賞作を紹介します。大賞はこちら。森さんの「WELCOME TO HAMBURGER HILL」。
ご覧の通りの迫力で、会場でも目を引いてました。
こういう感じでヘリと地上が構成されているんですね。ヘリの大きさ、荒れ果てた地面、そしてその地面のベースが斜めになっていたり、下のタイトル部も立体的になっていたりと、トータルのインパクトが凄いです。
というわけで納得の受賞でした。下に置いてあるのが大賞盾です。
情景部門金賞が伊勢さんの「アサルト(強襲)」。伊勢さんは中四国AFVの会の常連ですね。
伊勢さん作とすぐ分かる個性的かつ見事な作風です。フィギュア、車両、建物のトーンが合わせられていて、ひとつの世界を確実に形作っているのが凄い。
銀賞は眞田さんの「Break through」。柵を突っ切るKVと兵士、それぞれがかもし出す躍動感が素晴らしいです。
鶏もいいですねー。写真には写ってないのですが、鳥の糞がきちんと再現されていたのが個人的にはよかったです。こういう細かいところ、とても好きです。
こちらは銅賞の「エルアラメイン」作者はこれまた眞田さん。つまり情景部門W受賞です!これは凄い!
カーロアルマートの塗装が素敵。砂漠の質感もリアルです。
単品部門金賞は戸嶋さんの「バラトン湖219大隊」。
戸嶋さんも常連ですね。戸嶋さんならではの色合いと、細やかな工作がとても魅力的な作品です。後ろのフィギュアの密度感も印象に残りました。
こちらは銀賞の大山さん作「A34コメット」。落ち着いた色合いが渋くて、車両にとても馴染んでて素敵です。フィギュアの視線が同じなのもカッコいいです。
大山さんは中四国名物の司会者の方ですね。当然受賞は本人には知らされておらず、びっくりされてました。セルフで授与をしていて、なんかほほえましくてよかった(笑)
銅賞の井上さんの「タイガー(P)実戦配備型」。内部の丁寧な再現がスゲーでした。
塗装や工作の技術の凄さだけでなくて、見せ方のセンスがよくて車内に引き込まれるような作品でした。
以上が情景単品の入賞作でした。
こちらはせんしゃん賞です。健さんの「AIが考える恐竜戦車」。
こういうの、やろうと思う人はいたとしても実際にはなかなかやらないですよね(すいません)。でも、こうやってやるところがメチャいい!し、そもそもカッコいい!と思い選ばせてもらいました(私が選者なのです)。あと、タイトルもよかった。読んだ時フフってなりました(笑) タイトルって大事ですよね。
あ、せんしゃん賞というのはありていにいうとネタ賞のことです。模型を作る労力は、ネタであろうとシリアスな題材であろうと変わらないですよね。でもネタ作品って展示会場では人気があってもそれきりで、それはそれで寂しいなと思ってました。
で、中四国の会で形に残る賞を作ってもいーんじゃないか?と実行委の方々に提案して、採用してもらったのです。言いだしっぺなのと、せんしゃん作者ということでいつのまにか選者に(笑)
次はせんしゃんシャンソン賞。松永さんの「せんしゃん戦隊ゴセンジャー」。ご覧の通りの作品。パーペキです。説明不要でしょう。
いやー、マジで腰が抜けましたね(笑) 松永さんは過去いくつもせんしゃんキットを作って下さってて、それらを全て展示してタイトルの「ゴセンジャー」ということでした。これがその最新作ということですね。
あ、いまさらですが、せんしゃんとは中四国AFVの会のマスコットです。以前そのレジンキットを作りまして、この会でいくつも頒布したのです。で、それを作った出品作から選ばせてもらうのが「せんしゃんシャンソン賞」というわけです。
で、そのキットの素組み状態はこれです。
これを見ると松永さんの凄さが理解できるのでは。ごく控えめに言って魔改造です(笑) キットは一応1/35で、大きさは、なんとなくぼんやりとそれなりに決めたのですが、松永さんの作品ではキャタピラなどの流用パーツがジャストフィットしてますね。さすが俺!って感じです(コラ)
中四国の会では、毎年豪華ゲストが招待・参加されます。昨年は招待はなかったそうですが、今年は山田卓司氏と土居雅博氏の両氏が来場。恒例のトークショーもあり、盛り上がりました。
こちらは土居氏が持参されたタミヤ88ミリ砲。
いやー、素晴らしい、、。
「あのハチハチ!」っていう感じがにじみ出ていて、ほんといいなあ!と思います。
土居氏は最近初期タミヤ作品を作られてて、どれも実に素敵です。こちらは初代シュビムワーゲン。
ハチハチもこのシュビムも作りたいと思ってるので、生で見れてほんとよかったです。
こちらは、土居氏の作品の隣に展示された山田和紀氏の 「SHIT,LOOK!LOOK AT THAT! The Marines raise the flag on Mount Suribachi」。
2019年のキヤコン金賞受賞作です。密度から来る圧力が凄いですね。これが見られるとは思わなかったです。こういう予期せぬ眼福があるのもこの会の魅力であります。山田氏とも久しぶりにお話できてよかったです。
で、毎年のことなのですが折角同じ会場にいるのにほとんどお話できないまま、となる方が多々おられます。こちらがいろいろとバタバタしてることもあって、ろくにご挨拶もできないまま閉会、ということが少なくないです。本当に申し訳ありません。またの機会にはよろしくお願い致します。
最後の話題です。今回の特別企画として浮田直人氏の追悼展がありました。浮田氏は第2回から大賞を通算5度も受賞された方です。もちろん会の歴史では唯一無二です。しかし、非常に残念なことに2020年に逝去されました。
今回、浮田氏の奥様と氏の所属する高松ニッパーズさんのご助力で大賞作など6点が展示されました。
こちらは「反撃作戦を検討する指揮官たち」(第3回大賞)。当時見たとき、この出来栄えにびっくりしたことを覚えてます。
私が初めて参加したのがこの回で、これを見て「はー、凄いなあ、、、」となりました。もう丸20年も前なんですね、、。
これは「海を渡りて、空から舞い降り、道に迷う」(第11回情景部門金賞)です。
村の一部を効果的に切り取り、建物を省略することなくフルサイズで製作。建物や路地を徹底的に作りこむことで「ノルマンディの世界」を再現しています。タイトルにピントが合ってないのは、それだけもの凄い奥行きがあるからなんですね(もちろん私の腕のせいもありますが)。
受賞時のコメントだったと思うのですが、ギリギリまで製作していて「まだ塗料が臭うんです」と笑って話されてました。優しそうな風貌からは伺えない、内側の情熱の一端に触れたような気がして、気圧されたことを記憶しています。
こちらは「1944・6・6 サン・メール・エグリース」(第5回大賞)
分かる方はお分かりでしょう。ロバート・キャパの有名な写真をモチーフにしたものです。
このアングルだと「あっ!」ってなる方も多いのでは。なんと現地に行かれて取材をされたとのこと。その調査が反映された建物のリアリティと丁寧に再現された兵士がかもし出す銃撃戦の緊張感は、本当に凄い。
私は当時の会は不参加で見てなくて、結構後の協賛クラブ展示で拝見して腰が抜けました。AM誌の大会レポートでも載ってたのですが、生でみて初めて凄さが分かったのです。その頃には浮田氏とは知己を得てまして、直接製作についてのお話を伺えたのでした。「これは凄い!凄い!」を無遠慮に連発する私に、氏が恥ずかしそうに微笑んでいたのを覚えています。
コロナのこともあって、浮田氏と最後にお会いする機会がないままだったのが本当に残念です。ただ、直接お会いした時だけではなく、SNS上でもコメントを良くいただき、いろいろとやりとりさせていただいたのが唯一の慰めとなっています。
今さらながらで大変恐縮ではありますが、この場をお借りして、浮田直人氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
最後にいくつかお知らせです。
中四国AFVの会は、5月13、14日に開催される静岡ホビーショーの合同作品展に参加します。今回の受賞作など、会の関係作品が展示される予定ですので、ぜひお越し下さい。ただし、今回紹介した受賞作含め、何が展示されるかは現時点では不明です。ご了承下さい。
そして、今回の会の様子を紹介する「中四国AFVの会ニュース」を発行・配布(もちろん無償)する予定です。こちらは4年ぶりの復活となります。会の卓にて配布しますので(多分協賛クラブさんの卓にも置いていただけるはず)、興味のある方はぜひ。
もうひとつ。会場でも発表されたのですが、来年の中四国AFVの会は島根県松江市で開催されます。開催は4月21日(日)、会場は島根県民会館です(これらは決定済み)。
私もいろいろとお手伝いさせてもらう予定なので、今から頑張りたいと思います。気が早いかというと全然そんなことはなくて、1年ってあっという間ですからねえ、、。
というわけでお終いです。会の様子は、例年のようにアーマーモデリング誌にて紹介されると思います(ありがとうございます)のでぜひご覧になって下さいね。