~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

初女先生の椅子

2016-02-09 22:16:48 | 日記

初女先生のまわりをお花で飾り、出棺を待っている間

k子さんが、お台所の一つの椅子を指差し

「先生は座っていた椅子よ。直さん座ってみたら」と

言って下さったので、私は初女先生が食事の度に

座っていた椅子に、そっと腰掛ました。

その時、k子さんが「食器棚の中に芳信さんの

写真があるでしょう」と言うのです。

目を凝らしてみると、沢山の茶碗間から微笑む芳信さん

のお顔が見えました。

いつだったか初女先生が「朝、芳信のところに行く

時間もないの」と、言われたことがありました。

私は、祭壇まで行けず息子の芳信さんに手を

合わすことも出来ないんだなーと受け取りました。

確かその時、食器棚に写真を入れているとお聞きした

と、思います。

私は、先生の椅子に座りながら、先生はこんなふうに

芳信さんを見て、心の中で手を合わせていたんだなと

思いました。

茶碗の陰から、遠慮するように芳信さんはこちらを

見ていました。

先生のお家の台所は、「お勝手」という言い方の

方が似合うような台所です。

去年の1月22日、先生が糠漬けを教えて下さると

言われ、きゅうりの皮のいぼいぼを、包丁で剥いた時

先生の手が震えていました。

その震える手を見た時、私もランディさんも先生の

いのちの炎が、あと僅かのような気がして

何ともいえない不安に包まれました。

ランディさんは、それから1年先にはしておけない

と言って、凄い勢いで「いのちのエール」を

書き上げました。

でも、8月にイスキアでお目にかかった時も

10月の北海道でお会いした時も、あのお勝手で

感じた不安はなく、これからのイスキアに向かって

行動しようとしている先生の情熱に、私の心は

熱くなりました。

暖かくなったら先生の体力は回復して、

新しいかたちの森のイスキアが始まると信じて

いました。

最後の最後まで希望を胸に歩き続けていた

初女先生でした。

1年がこんなにあっという間だったとは…

でも、先生にとっては、少しもあっという間ではなく

時は刻まれていたのでしょうね。

淋しがってはいけないけれど、やっぱり淋しいです。

悲しがってはいけないけれど、やっぱり涙がでます。

色んなことは分っているのに…

息子のことで涙していると、「何年経っても涙がでるよね」

と、言って下さった初女先生

新しい一歩を歩き出すためにも、溢れる涙は

ぬぐいません。

私の中の初女先生に語りかけられる

その日まで、あと少し時間を下さい。

 

 

コメント (4)
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