ももすけの日記

品良きは背筋伸びたる夏帽子
ああ面白かったと言って死ねたらいいな

育ちの良さ

2019年03月12日 20時25分00秒 | ひとりごと

この年になって、時々、「育ちの良さがわかるわ」とか言われる。

ついこの前も「あなたのお母様、上手に育てられたのでしょうね」なんて。いやいや、そんな、お母様なんてもんじゃない。

母は「子供は勝手に育つもの。温かいご飯とふかふかのお布団だけで」と言っていたし、教育というようなことは何一つ覚えが無い。

築120年以上の家に住んでいた、というとすごいと思われるかもしれないけど、貧乏だったから建て替えできなかっただけだと思う。

高校も大学も日本育英会の特別奨学生だった。

もっとも、私自身は生まれてからこの方、お金の苦労はしていない。夫の商売ではいつもはらはらいらいらしていたけれど、ノータッチの今は、資金が尽きてお店をたたむのを待つだけ。その分、私は自由で気ままな生活ができている。

娘が高校生のとき、担任の女の先生から「上手にお育てになっていますね」と娘のことをほめられて、うっそー!と思ったことがあった。

中学のとき、一時不登校だったけれど、家庭教師について公立高校に入学できた。彼女は高校生のときが一番良かったのかもしれない。生徒会でも役員をしていたし、演劇会でうちの子が一番上手、と思ったことを思い出す。

そう、高校生なら「育ちの良さ」は誇りに思ってもいいかもしれない。とはいえ、それほど良く育てた意識もない。自分の母が言ってた、温かいご飯とふかふかの布団だけだ。不登校になって、はじめて何とかしなくては、と考え行動した。

それから、ずっと長い長い道のり。

朝、石鹸を泡立てて丁寧に顔を洗って、と、私は顔を洗うたびに、娘はちゃんと洗っているだろうかと思う。私がいなくなったら、娘は「顔を洗うたび、お母さんは丁寧に洗うねんよ、と言うてたなぁ」と思い出すだろうか。

さくらんぼの花とお隣からいただいた紅梅がいっせいに満開となった。ミモザの黄色が今年は無いのがさびしい。