書道家の武田双雲さん。
去年、ご自分がADHDであることを公表されています。
ご両親を含め、ご家族が皆、ADHDなんだそうです。
“今を生きる”両親で、今、やれることをやるという人たち。
いろんな習い事をしていたそうですが、基本的に反応だけで生きていて「目の前にあるから、それをやる」という感覚。好き嫌いや「やりたい」と「やらなきゃいけない」の区別がない。習い事の時間だから教室に行き、やることをやって、帰宅するというだけ。
どれがとくに楽しい、というのはない。3歳で始めた書道に対しても、特に思い入れはなく書道家である母も、双雲さを書道家にしようなんて1ミリも考えていなかったので、今、書道家であることに驚いている。
学校では、“多動”で、ずっときょろきょろ、ウロウロしていて全然集中できなくて、思ったことは言う子どもだった。
授業で気になることがあると、すぐに手を挙げて先生に質問してしまう。授業をスムーズに進めたい先生にしてみれば、「邪魔された」という気分にもなったかもしれない。
我慢して周りと合わせるということもできないので、学校生活では「なんだかうまくいかないな」と戸惑うことが多かった。授業中は、暇つぶしによく字を書いて遊んでいた。妙に明るい子で、周りからは「明るいよね~」と言われていた。
凹凸がとくに激しいタイプで、ある領域ではめちゃくちゃ明るいけれど、違う領域ではパッと殻を閉じてやる気がまったく出なくなってしまう。面倒くさがりで努力できない、言ったことを実行できない。ちゃんとしなければならない職場であれば、単なるポンコツであっただろう。
今は『武田双雲』として自分に合ったキャラクター、仕事スタイル、ライフスタイルで過ごしているから、よく見えるだけ。自分がいる環境を変えたら、周りからの見られ方、受け取られ方が変わるだけで、自分自身が何か変わるわけではない。
両親は子どものころから、何かやったり、話したりするたび「すごかー!」「天才やね」と絶賛してくれた。べつにテストで100点をとったとか、大会で賞をもらったからといった「成果を出したから褒める」のではなく、僕というキャラクターそのものをいつでも絶賛してくれていた。二人とも本気で、僕のことを「すごい!」と思っているから、「お前は何をやっても大丈夫!」としか言われない。
それは僕が47歳になった今も変わらない。両親が常にこういうスタンスだったから、僕は自己肯定感をもつことができたのかなと思っている。そんな両親に育てられた僕もやっぱり、自分の子どもに対しては「すげーな! 天才だな!!」しか言えません。自分が受けてきた教育しか子どもにできないし、僕もまた子どもたちのことを心から「すごい」と思っているからです。
改めて考えてみると、子育てをする僕の両親の頭の中には、“未来”という考えがなかったのだと思います。「ゆくゆくはこうなれたらいいね」とか「将来困るから、今、勉強頑張りなさい」というような先を見据えた話は、1秒もされたことがない。
二人が見ているのは、常に“今”だけ。
こういう親の姿勢は理想ではあるけれど、現実にはなかなか実践できないと思います。
子どものことが大事だからこそ、親はいろいろ心配になるし、放っておけないでしょう。
「このままだと、先生に怒られる」「将来、苦労する」といった心配ベースで、言葉を紡ぐ。でもそんなふうに言う親だって、ひとつの人生しか生きていないから、考え方は偏っているんです。僕らの狭い人生で遭遇した経験で、子どもにあれこれ言ってしまう。自分の人生だって、正解ばかりではないはずなのにね(笑)。これはネガティブな情報を優先してしまうという、人間の脳のシステムなんだと思います。
このような内容の記事でした。
また別の記事によると・・・
息子さん、去年、中学3年生の時、急に学校に行けなくなったそうです。
小学校、中学校と生徒会で活躍していたし、勉強もできて友達も多かったから理由が見つからなかった。
しかし、 朝起きられないし、学校に行こうと思うと体が動かなくなる。自分でも何で? って。
自分をどうにかしたい! とずっと悩んで……。それで、留学しよう! と。
そして日本から離れるのが唯一の選択肢かもしれないと思いアメリカへ。
お母様は、「最初は学校に行った方がいい」という意見だったそうですが、息子さんの話をじっくり聞いたうえで、学校にも掛け合ってくれたそうです。
アメリカに渡ってから強く感じたのは、世界は広くて多様性が認められていること。そして、学びに関しては自由度が高いけれど、格差が激しい。日本の教育は丁寧だから。日本を客観的に見る機会にもなって、電車は定時に走るし、清潔だし、おもてなし精神もあって、日本すげー! って、思ったそうです。
双雲 さんが言われていました。
人生で一番辛いのは、心まで引きこもってしまうこと。そこの土が合わなければ、違う場所を選べばいい。留学は、異なる土壌で子どもの心と感性を育てるチャンスなんだと思う。
ADHDは今、10人に1人の割合でいるそうですね。
どれだけの子が「生きずらさ」を感じているのでしょうか。
双雲さんのご両親の子育て。とても参考になります。
こんな親子関係だったら、どれだけの子が救われることか・・・
でも、ADHDだから、このように子どもに接するべき・・・ではないんだと思います。
全ての親子関係がこうであったらと思います。