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PD-L1ヒト化モノクローナル抗体(PD-L1:Programmed Death-Ligand 1):アテゾリズマブ(遺伝子組換え)とベバシズマブ(遺伝子組換え)療法 切除不能肝がんに

2020年10月22日 | 肝癌の診断と治療
 
PD-L1ヒト化モノクローナル抗体(PD-L1:Programmed Death-Ligand 1)の併用療法が使えるようになりました。
2020年9月25日切除不能肝がんに対して承認取得後、使えるようになりました。
ノーベル賞も受賞したこの抗体に対する薬、2019年08月22日に小細胞肺がんに承認となってから肝がんに使えるようになるのを期待して待っていた薬です。

アテゾリズマブとベバシズマブと言う薬の組み合わせ。
点滴で行う治療ですが、3週間間隔で使います。ソラフェニブとの比較試験で、全生存期間(いろんな死亡原因を含めての生存できた期間)や無増悪生存期間(肝がんの悪化がない状態で生存した期間)の有意な延長が確認出来たというもの。
副作用も従来のソラフェニブなどと比べると少なくなっているようにも見えます。より効果があって副作用が少ない状態で使えるなら本当にありがたい薬になりそうです。

免疫の仕事の漫画がわかりやすそうなのでリンクしておきます。
https://oncolo.jp/news/20170215t-2?fbclid=IwAR2VGrvh7b3u-U4B4vTQUgfnPn8SMNGOzwY_XSBMxsK2qYRyAWVKTEL_9n0

以下添付文書から抜粋ーーーーーーーーー
17.1.6 国際共同第III相臨床試験(IMbrave150試験)
全身化学療法歴のないChild-Pugh分類Aの切除不能な肝細胞癌患者注9)501例(日本人61例を含む)を対象に、本剤1200mgとベバシズマブ(遺伝子組換え)(本剤併用群、336例)の併用投与の有効性及び安全性を、ソラフェニブ(対照群、165例)と比較する第III相ランダム化試験を実施した注10)。
中間解析の結果、501例(日本人61例を含む)のITT集団において、本剤併用群で対照群と比較して、主要評価項目の一つである全生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.58[0.42, 0.79]、P=0.0006[層別log-rank検定]、有意水準両側0.0033)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群で中央値未達[推定不能]、対照群で13.2[10.4, 推定不能]カ月であった。
もう一つの主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.59[0.47, 0.76]、P<0.0001[層別log-rank検定]、有意水準両側0.002)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群で6.8[5.7, 8.3]カ月、対照群で4.3[4.0, 5.6]カ月であった。
また、日本人患者(本剤併用群35例、対照群26例)におけるITT集団の全生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤併用群で中央値未達[推定不能]、対照群で14.9[推定不能]カ月であり(ハザード比[95%信頼区間]:1.71[0.50, 5.84])、無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤併用群で中央値未達[6.4, 推定不能]カ月、対照群で7.7[4.2, 12.7]カ月であった(ハザード比[95%信頼区間]:0.85[0.39, 1.86])。
本剤とベバシズマブ(遺伝子組換え)が投与された329例(日本人35例を含む)において276例(83.9%)に副作用が認められた。主な副作用(10%以上)は、高血圧78例(23.7%)、蛋白尿62例(18.8%)、疲労50例(15.2%)、AST増加46例(14.0%)、そう痒症43例(13.1%)、注入に伴う反応36例(10.9%)、下痢34例(10.3%)、ALT増加34例(10.3%)、食欲減退33例(10.0%)等であった13)。
注9)局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)の適応となる患者は除外された。
注10)本剤併用群では本剤1200mg及びベバシズマブ(遺伝子組換え)15mg/kgを3週間間隔で投与し、対照群ではソラフェニブ400mgを1日2回投与した。
IMbrave150試験の全生存期間のKaplan-Meier曲線(ITT集団)


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