息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

身辺怪記

2010-11-23 13:26:57 | 坂東眞砂子
坂東眞砂子 著

土の匂い、風の匂い、草原や雑木林の湿った薄暗い雰囲気。
そんなものを感じさせる人だ。

高知県の伝承や民俗信仰をベースに、じんわり怖さを秘めた作品を発表しているが、
これは、その執筆中に起こった怪奇現象や、旅先で出会った出来事がおさめられ、
著者の人となりが感じられて好きな一冊だ。

学園祭での出来事をテーマにした「田舎娘の悪夢」はちょっと毛色が違うのだが、
人と同じことをしたり、盛り上がることに価値を見出すことが、高校生当時から
苦手だったのだなとほほえましい。
きっとこのあたりの違和感が、のちの独特な創作活動へとつながっていくのかもしれない。
軽くさらりと読めるのは、文章がしっかりしているからなんだろうな。