息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

バベル島

2011-06-01 14:32:54 | 著者名 わ行
若竹七海 著

怖い。
ドロドロでもなく、舞台設定がどうとかでもなく、絡まりあうごく普通の要素が怖い。
日常的な物語が進み、そこに小さなエピソードがちりばめられる。
それはパズルのピースであったり、たくさんの扉のうちのひとつのカギであったり。
一つずつは何の意味ももたないのだ。
でも、それがすべてそろい、役割を果たしたとき、それは恐怖の物語となる。

うまいなあ。
11編それぞれがこんな話なのだから。
それも読みやすく面白く、さらっと読めてしっかり怖い。

表題作は最後にあるが、きれいにまとまる。
そうきたか、という感じで。

あまり本を読みなれていない人にも、おすすめしやすいかも。

依頼人は死んだ

2011-01-13 11:07:14 | 著者名 わ行
若竹七海 著

シニカルでシュール。
そこらへんにある人間の悪意をうまくすくって、きりっとまとめた短編集。

有能な女探偵が挑む数々の謎は、切なかったり微妙だったり。
まちまちのサイズのダークな秘密が、白日にさらされ解決されていくのだが、
そこは知らなかったほうがよかったような事実もあるわけだ。
でも、このさばさば感や徹底したプロ意識は悪くない。
湿気のない、研ぎ澄まされた感覚が、読後感を重さから救い出す。

でも、読み進めるうちに怖さは増してくる。
とくに最後の最後、えっ?という終わり方は、ぞくっとさせられる。