80年代に入って中型排気量に劇的な変化が起こり新たなムーブメントが発生するのですが、
当時それを「レーサーレプリカ」と世間では言っていました。
限りなく「WGPのマシンに近い市販車」というコンセプトのバイクを指すのですが、
400ccクラスでも4ストでのスズキ「GSX-R400」の登場を皮切りに各社一斉に同一のモデルを発表します。
当初ホンダからは「CBR400F」が投入されるのですが、
「レーサーレプリカ」という視点から見るとイマイチ世間が求めるバイクではありませんでした。
そこに登場したのがこの「NS400R」です。
発売開始は1985年からで2スト250ccクラス「NS250R」の400cc版といった位置付けになります。
しかし、V型3気筒エンジンとしては「MVX250F」からの流れを組むものでした。
市販車として4ストが主流の400ccクラスにあって2ストの「NS400R」は異質な存在で、
より「レーサーレプリカ」に近いイメージを持っていました。
当時、WGP500ccクラスで戦っていたV型3気筒エンジン「ホンダNS500」からのフィードバックで、
かなり洗礼されたスタイルが印象的だったんですよね。
「NS400R」に搭載されるエンジンは水冷式2スト90度V型3気筒ピストンリードバルブエンジンで、
排気量が387cc、最高出力は59psで6速MT、機械式キャブとの組み合わせです。
最大の特長は擬似的可変システムの排気デバイス、
ATAC（オートコントロールド・トルク・アンプリフィケーション・チャンバー）が搭載されてたことです。
また、フロント2気筒、リア1気筒の後方排気システムとなっており、
より速いエンジンだったのですが、この後方排気のおかげで背中がオイルまみれになってしまうという、
欠点を持っていました。
この時代の2ストはまだまだ未発展だったんですよね。
ガソリンタンク容量は19リットルで市街地走行での平均燃費が約12km。
1回の給油で走れる航続距離は約228kmという計算になります。
タイヤサイズはフロント100/90-16 54H、リア110/90-17 60H。
まだ、バイアス時代だったので今とは違いかなり細いタイヤです。
ボクはこの「NS400R」を買いかけたことがあって、
今でもかなり記憶に残っています。
ちなみに現在の中古市場を見ると高もので70万円あたりとレア価格になっています。
250ccでも十分なパワーを持つ2ストエンジンなので、
この「NS400R」以降、ホンダから250cc以上の排気量を持ったバイクは作られていません。
それだけに貴重な1台になってる感じなのかもしれませんね！（笑）
