mitumine 夢幻庵日記

夢うつつで過ごしている日々、趣味の絵・旅行・写真・ハイキング・読書などを写真を交えて気ままに記しています。

[アンネの日記 完全版] アンネ・フランク 深町真理子 訳 文春文庫 を読んだ

2018-02-07 13:24:05 | 読書
 本の表紙(20数年前の購入)

捲ると。アンネの写真がある


アンネは両親・姉と共にドイツに住んでいたが、ユダヤ人を迫害するヒトラーに追われオランダのアムステルダムの隠れ家に移り住んだ(1942年7月~1944年8月4日留置所に連行された。後、強制収容所に送られた)。

このとき13歳だったアンネは、15歳の44年8月1日つまり連行の3日前まで日記を付けていた。アンネは姉と共に45年2月から3月にかけて収容所内でチフスに罹って亡くなった。何と悲運なことに、この強制収容所が英軍によって開放されたのがほぼ一か月後の45年4月12日のことだったという。

中学生に当たる年頃の少女が遺した日記とも思われない同宿者(両親・姉・他に二家族)との葛藤が歯に衣を着せない辛らつな言葉で綴られている。人間観察も鋭いものがあり、自分の性格まで的確に記述しているのには驚かされる。ジャーナリスト志望で将来は小説家になりたいというのも宜なるかなと思わせる。早世が惜しまれる。

ドイツ降伏時唯一の生存者はこの8人の内アンネの父オットー・フランクだけだった。散逸を免れたアンネの日記を大切に保管していたのはフランクの会社の人(ミープ・ヒース)だった。
フランクはその日記を大事に保管し、アンネの遺した平和へのメッセージを廣く人類に知らしめるため生涯を捧げたという。日記の短縮版は関係者に配慮したもので、フランクの判断で不都合と思われる文の削除や人名変更などが行われた。日記はその後、オランダ国立戦時資料研究所に一括して寄贈された。
 
本書は1994年(奇しくもアンネ達8人が《隠れ家》からゲシュタポに連行されてから満50年)にオランダ版〈完全版〉を底本に翻訳された。
従来の同名の本は〈短縮版〉ということで関係者の人名や性にかんする記述などは意識的に変えたり省略されていたという。従って4分の1ほど量も増え、本書は580頁ほどある。


本書の巻末にあるアムステルダムのアンネハウスの案内図
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