mitumine 夢幻庵日記

夢うつつで過ごしている日々、趣味の絵・旅行・写真・ハイキング・読書などを写真を交えて気ままに記しています。

ナンド・パラード、ヴィンス・ラウス 共著 「アンデスの奇跡」 海津正彦 訳 山と渓谷社 を読んだ

2009-04-05 20:06:10 | 読書


今から30数年も前1972年10月13日に、ウルグアイのモンテビデオ空港からチリのサンチャゴへ向けて飛び立った、ラグビー選手達45人を載せた空軍機がアンデス山中に墜落した。
墜落地点は3500㍍もの雪の上。両翼・尾翼とも失った胴体だけの状態の中に、奇跡的に27人が生き残った。

その27人の中に、本書の執筆者で救出劇のリーダーとなったナンドがいた。事故数年後に生存者16名からのインタビューで構成した「生存者」という著作が評判を呼び、その後映画化も数度されている。遭難者自身がこの事故について語ったのは、これが始めてのようだ。

結局、72日後に16人全員(11人はその間に死亡)が救出された。何故あんな過酷な条件の中から生還できたかはひと言では言い表せないが、著者は「愛」だという。家族、友人に対する愛がそれだ。それが不撓不屈の精神に繋がり、まさに生き地獄の中でも己を失わず、9日間にもわたるロベルトとの救難要請のための山行を成功させた(この山行も凄い-地図も、経験も装備も無い二人が、4000㍍もの山を越えて牧場へたどり着いた)。

想像を絶する環境の中でも、希望を見いだしそれを灯火に頑張る。著者の姿勢に心打たれる(私など、こんな環境では、直ぐめげてしまいそう。そして、そういう人達は、やはり、生存が難しかった-生存者のうち、11人が亡くなった)。

生存者全員が、社会的地位や名誉を得て、社会に貢献しているという。例えば、高名な心臓小児専門医、建築設計家、化学薬品会長、酪農家、会社重役などなど、そして著者もレーシングドライバーとして成功を収めた後、赤い糸で結ばれたモデル(ベロニーク)と結婚し、父親の事業を引継ぎ国内有数の金物チエーン店のオーナーである。

この実話を元に製作され、世界各地で賞を受けた映画「アライブ-生還者」が、4月11日から渋谷で公開される。行ってみたいと思っている。

コメント (3)
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