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プラセボ効果は、効き目のある薬を服用していると本人が思い込むことによって、その薬に有効成分が含まれていないにもかかわらず、本当に病気が改善する効果のことだ。
そのメカニズムは今だに完全には解明されていないが、人間の思い込みの力が自然治癒力を高めていると考えられるが、今、さまざまな治療における心理療法の役割への関心が高まっている。
新たなる研究によると、患者の主観的な体験は、治療効果に対する医師の期待によって左右されるのだそうだ。要するに、医師自身が「良く効く」と確信をもつことで、患者のプラセボ効果が高まるのだという。
『Nature Human Behaviour』(2019年10月21日付)に掲載された研究では、このプラセボ効果は医師から患者へと伝染するという事実を示唆しているという。
医師と患者の両方に対して行った偽薬の効果実験
アメリカ、ダートマス大学のリューク・J・チャン氏らのチームが行った研究では、医師と患者の期待や信頼感といった心理的な要因が、治療効果に与える影響を掘り下げている。
この研究では、194名の参加者にランダムに医師か患者どちらかの役割を割り振り、それを演じてもらうという実験を行った。
医師役になった人には、「サーメドル」と呼ばれる軟膏か、特に効果もない軟膏のどちらかを配り、それを患者役に処方するよう伝える。
このとき医師役には、サーメドル軟膏については、痛覚受容体に作用して熱の痛みを緩和する効果があると説明される。
だがじつは、2つの軟膏は色を変えただけのただのワセリンで、どちらも本来治療効果はない。つまり両方ともプラセボ(偽薬)だ。
次に医師役の人に患者役の腕に軟膏を塗ってもらってから、その部分を47度で熱して熱痛を与える。そして、そのときの軟膏の効果を患者に評価してもらう。
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医師の期待が患者に伝わる? なぜか偽薬が効いてしまう不思議
その結果、サーメドル軟膏を塗られた患者は、そうでない患者よりも痛みを感じていないことが分かった。塗られたサーメドル軟膏は色を変えただけの偽薬なのにだ。
患者の表情からも、サーメドルを塗られた場合は、それほど痛みを感じていないらしいことも窺えたという。
これについてチャン氏は次のように説明している。
医師役が軟膏は効くと考えていたとき、患者役は医師が親身になってくれたと報告しています。もしかしたら医師役がより注意深いような印象を与えたのかもしれません。いずれにせよ、医師役が内心で思っていたことがなぜ患者役に伝わったのかははっきりしません。
医療関係者の考えや態度は治療効果に影響を与える
この結果は、治療を行う人間がその治療について思っていることや、患者とのやりとりが、治療効果に影響するということを示唆している。
これはあらゆる分野の医療において言えることだと、チャン氏は述べている。
プラセボ効果の神経生物学的メカニズムはいくつも知られていますが、それを実際に医療の現場でどのように応用できるのかについては、それほどでもありません。
この研究は、状況から醸し出されるサインや医療関係者の態度が患者に影響して、プラセボ効果を生じさせることを示す一事例にはなるでしょう。
偽薬でも効くと信じることで本当に効いてしまうプラセボ効果。まだまだ謎は多いが、更なる心理的効果を望むなら、まずは医師がその効果を信じ込むことが先決となってくるのかもしれない。
References:New study finds placebo effects can be 'socially transmitted' from doctors to patients
☆よっぽどのやぶ医者でない限りは信じるよな!